マッチ売りの少女(再翻訳前)
ちびまるフォイ
マッチ売りの少女(うろ覚え)
それは大みそかの夜のこと。
「おい! いいか、このカゴのマッチを売ってくるんだ!
全部売り切るまでは家に入れないからな!!」
「はい……」
少女は父親に持たされたマッチのカゴを持って、寒い夜の街へと向かいました。
「マッチ、マッチはいりませんか?」
「火をつけると歌いだすんですよ」
「ギンギラギンにさりげない夜のお供にどうですか?」
しかし、24世紀の現代。
マッチを使う人など誰もいない。
少女の肩には雪が積もり、手はかじかんできました。
「ああ、寒い……。もう手の感覚がないわ。
そうだ、マッチをすって温まろう」
少女はマッチを1本手に取って火をつけました。
細いマッチ棒からは暖かな火がともります。
ゆらめく炎の向こう側に蜃気楼のようなものが見えてきました。
「ああ……これは……七面鳥かしら……」
マッチの火からはテーブルいっぱいにならんだご馳走が見えました。
お腹の空いていた少女は思わず手を伸ばしました。
「あっ……」
マッチの炎が消えてしまうと、広がっていたご馳走も消えてしまいます。
少女はマッチをもう一度すって火をつけました。
「ああ……暖かい……暖炉が見える……」
一瞬、ブリーフ一丁の男がサンオイルを塗っている映像が見えたものの
すぐにその汚らしいものは、暖かそうな暖炉のシーンへと切り替わりました。
おそらくチャンネルを間違えたのでしょう。
炎がくべられた暖炉を見ていると、こっちまで暖かくなるようで
マッチの火が消えてしまうと暖炉の日も消えてしまいました。
「もう一度……」
少女はまたマッチをすってみました。
今度はクリスマスツリーが飾られた部屋に、
たくさんのプレゼントとおばあちゃんが見えました。
「おばあちゃん……!」
昔、少女に優しくしてくれたおばあちゃん。
世界を守るために超合体ロボ・サンボルダーとその身を一体化し、
ついぞその消息を絶ってしまった祖母の姿が見えました。
マッチの火が消えかかると、懐かしい姿も薄れていきます。
「待って! 待って、おばあちゃん!!」
少女は慌ててほかのマッチを束で手にし、一気に火をつけました。
たくさんのマッチの火で見えた祖母の姿は鮮やかになり、
まるで4Kフルハイビジョンのようです。シミまでくっきり。
「おばあちゃん……会いたいよ……」
涙を流す少女にマッチの火の中のおばあちゃんはそっと少女を光で包みました。
あたたかな光に包まれる少女はやがて意識が薄らいで……。
「ああ、火が消えるわ!!」
マッチの火が消えかかるとわかった少女は近くの家に火をつけました。
時代錯誤の木造建築の家々は次々に燃え上がり、町はひとたび火の海に。
「ははははは!! こんな町燃えてしまえばいい!! なにもかも!!」
天まで昇る火をみながら少女は悪落ちまっしぐらの表情をしています。
火の中で見えるおばあちゃんは、ついに3Dで見えるようになりました。
「超合体!! サンボルダー!!」
「その声は!?」
鮮やかすぎる火の映像はついに時空をも超越し、
銀河と一体化したはずの祖母を現世に召喚しました。
やがて少女を抱きしめるとそのまま天へと召されて行きました。
なお、この大規模な火事の被害者に本物のマッチ売りの少女がいたとかいなかったとか。
―――――――――――――――――――――――
↓ドイツ語を経由してみたver↓
『Das kleine Mädchen -エキサイト再翻訳マッチ売りの少女-』
マッチ売りの少女(再翻訳前) ちびまるフォイ @firestorage
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます