Episode 01-5.5

 玄関を出て、ただひたすら家から遠ざかる。


 だが、私が正気に戻るのに、さほど時間は掛からなかった。


 なんてことを、してしまったんだろう。

 爪弾きにされた私を受け入れてくれた、大切な場所を、自ら手放してしまった。


 なんて、自分は愚かだったんだろう。


 気づいた時には既に遅く。


 涙が、私の頬を伝い。地面に跡を残す。


 自分の愚かさを呪い、誰もいない街道を彷徨う。


 白と青で装飾された軽鎧は、その輝きを放つことはなく。


 鉄が擦れ合う音だけが、虚しく辺りを響かせた。


 そして私は、改めて実感する。


 最早、私の居場所はどこにも無いのだ。

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