救出、そして新しい出会い
明けましておめでとうございます。
1月になっての投稿となりました。
こないだから2ヶ月かかりましたね。
うん、知ってた(´-ω-`)
今月頑張ろ…
ーーーーーー
横殴りをやらかして急いで離脱した後、俺は急いでカラスの後を追い続けて少し開けた場所にやってきた。
「やっと追いついた…」
「キュー!!」
広場の向こう側は森の密生地帯なのか、暗がりになって見通すことは出来ないようになっており、広場の中心に少し大きめの木が立ち、そこに先程のカラスが巣を作っており、そこにミクが載せられて啄かれ抵抗している。
よく見るカラスの巣の端っこから柔らかそうな毛皮やファーなどが覗いている限り、ミクが食料兼巣の材料として連れてこられたのは想像に難くない。
まずは、
「カラスを撃ち落とす!『撃ち抜け』!」
「ケァーー!!?」
ティアバレットをカラスに叩き込んで巣から落とし、杖を上段に構えて振り下ろす。
耐久力は無かったのか、クリティカルが入った表示と共に動かなくなり、光となって消えた。
『《ファークロウ》を倒しました。
3Expを獲得!
4tmを獲得!
ドロップアイテム《鴉の羽根》×3を獲得!』
よし、上手いこといった!
飛び降りてくるミクを受け止めるながらリザルトを確認する。
今回はミクが戦闘に参加出来なかった判定のようだけど、そこはしょうがないか。
HPも減衰してないようだし、どうやらあのカラスはこの場所にミクを無傷で連れてきたかったようだ。
なんでだろ…まぁここはゲームの中なんだし、少しの不思議や不条理、現実との差異はあって当然と思ったらいいのかな。
「とりあえず、カラスは収集癖があると聞くし巣でも探ってみるかー」
ミクを地面に下ろし、目の前のカラスの巣がある木によじ登ってみる。
遠目から見ても少しデコボコした木だったため、さして苦もなく巣の高さまで到達。
サッと巣ごと回収して木から下り、ミクと一緒に木の根に座りながらアイテムボックスを確認してみる。
『ファークロウの巣
巣に動物の毛皮を敷き詰める習性があるファークロウの巣。
ただ、卵を温める事ができる様なモフモフした物なら何でも集めるため、毛皮だけという訳でもない。
ファークロウの卵×4
まだ孵っていないファークロウの卵。
食べ物としては量・味共に下の下だが、様々な町の情報収集系ギルドが必要としているため、なかなか高価に取引される。』
なるほど、高値の換金アイテムが手に入ったらしい。
情報収集…という事は、新聞的なのと盗賊的なのとどっちなんだろうか?
まあ、どちらにしても今の俺には関係無い事、高額換金アイテムだし町に帰るのが楽しみだ。
そして巣の方だが、どうやら解体できるようだ。
もしかしたら、巣に使われた材料の1部とかを手に入れる事ができるのかもしれない。
というわけで解体を実行してみると、『ラビムーの毛皮』を2つと『オーナレスドッグの毛皮』を1つ入手できた。
「よし、これも帰ったら売れるな」
「ワン!」
ガチンッ!!
「…なんだ?」
「?」
メニュー画面を確認して町に戻ろうと立ち上がった時、後方から強い金属音が聞こえた。
強く大きい音というのは、遠方から聞こえるくらい激しい音か近くで生じた音のどちらかである。
幸いどれ程の危険があるとしても最悪『死に戻り』はできる様だし、どちらとしても少し気になってしまったので、ミクと音のする方へ向かい周りを探索すると、すぐに音の正体は分かった。
《ワァー…》
「なるほど、ワナの音か」
「アァー?」
クマの子がベアトラップにハマっていた。
クマの子とは言っても今トラップにかかって座り込んでいる状態で俺のふともも位の大きさではあるけれど、大人のクマは全長2メートルとか普通にいるようだし、基準は分からないけど多分子供だ、と思う。
足下のトラップはギザギザした歯がびっしり並んでいてとても痛々しいし、トラップに引っかかった当人(当熊?)が痛そうな様子なので気の毒だけれど、問題は『ここにトラップがあるという事』だ。
「クゥー?ワン!」
《ワァー!ワァー!》
ミクがクマの子と交流しているのを横目に、俺は周りを見渡した。
ここにトラップがある、つまり『ここを狩猟場にして生計を立てている狩人がいる』ということだ。
自分がここに立っている以上、そういう人達がいるという『ゲーム上の設定』であるとしても無視は出来ないし、そもそも俺はもうこの場所はゲームじゃないと思い始めてるしね。
「…とりあえず、周りに人影は無いな」
ただ、これは自戦力を増やす良い機会なのでは無いかとも思っている。
コミュニケーションを取っている感じミクとの相性も悪くないし、母さんの条件にも合致している。
このままトラップから外して、ドロップしまくったアリの足とかを挟んだら良さそうな気もするんだ。
周りをもう一度見回しても、念の為木の上とかも確認しても誰も居ない。
「…よし、狩人さんには悪いけど仲間にさせて貰おうか」
「ワン!」
そうなると手早い作業が必要だ。
まずはすぐにトラップに差し込める様に、ミクにアイテムボックスから出したバイトアントの足を咥えてもらう。
それからトラップに手をかけ、全力で開…固っ!?
「クァ〜?」
《グォッ》
そんな何やってんだコイツみたいな顔しないでくれ…どちらにも手助けを頼めないのがまたどうしようもない。
手でダメならと、ちょっとクマくん(ちゃん?)の肩に手を置かせてもらって隙間に足をねじ込んでみた。
やっている事の意味が分かったのか、肩を借りたクマくん(仮)も大人しくしてくれている。
足の裏にトラップのギザギザがグサグサ刺さって地味に痛いけど、今履いている靴も頑丈なのか貫通されてないし、これで戦力拡充と思えば…!
「ぐおおっ…よし、早く足を出すんだクマくん!」
《グォッ》
靴の足の裏部分を犠牲に無理矢理ベアトラップを開き、クマくん(仮)に声をかけた。
クマくんは賢いらしく、言われるまでもないとスッと足を退ける。
しかし、下手に物を挟んで発動した状態になんて戻せるような生易しいものでは無かったため、そのまま気合いでベアトラップを発動前の状態に戻し、一息ついた。
「は~キツかった…よし、傷の治療をしようか」
《グ?》
首を傾げるクマくんに『リキッドヒール』をかけ、ストレージに入れていたアッポの実を差し出すと、クンクン匂いを嗅いでから両前足で持って食べだした。
流石に先程狩ったコレクトアントの腹袋の中身では無いが、何か食べる基準みたいなのがあるんだろうか。
「よしよし、もう一個あげような…ん?」
食べ終わってこちらを見つめているクマくんに追加のアッポを渡したその時、ミクが何かに反応してアリの足を吐き捨て威嚇を始めた。
数秒後、森の向こうに先程見えた密生地帯と思しき方角からガサガサと大きな移動音が聞こえてくる。
その音と気配は、どこか気圧される空気感と共にどうやらこちらへ向かってくるようだ。
「なんだか穏やかじゃないぞ…?クマくんも気を張っておくんだ」
ミクが連れ去られたりクマの子を助けたり、なんか今日はやたらイベントの密度が濃い気もするが、とりあえずここを無事に切り抜けてから考えよう。
今は目の前からゆっくり迫ってくる謎存在に集中だ!
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