学校での日常、そしてモフモフ


「すげえ、ほんとゲーム様々だ……」


 今日の4時間目、体育の授業内容は持久走。

 去年はすぐに息が上がって持久どころじゃなかったんだけど、やはり全く息が上がらない。

 少し速度を上げてみても問題無し、むしろ辛くない分走りながらポケーッとできて楽でいいねコレ!


「6分43!おお、鍛えたな?」


「いえ全く!」


 結果以前の記録を2分近く更新してしまった。

 今朝思ってた事、すっかり忘れてたぜ……。

 去年の俺の醜態を覚えてたのか先生がニヤッとしながら声をかけて来たので、軽く返事しながらバディ(持久走をしてるバディの状態観察と結果を耳をそばだてて聞く役)の所に戻った。




「なあ本郷、最近運動でもしてたりするのか?」


 放課後、母さんが持たせてくれた弁当を食べてると、去年から同じクラスの縁で時々話をする澤村って男子が話しかけて来た。


「ん?いや、してないけど……なんで?」


「だってさ、持久走やった後ほとんど息上がってなかったろ?去年はめっちゃ疲弊してたのに……と思ったら、持久力をつけるために運動したのかなと思ってさ」


「そうか?でも俺は至って典型的なインドアなんだが……そうか、もしかしたら俺の時代キタのかも知れないな」


「ハハハ、ならいいや!今の内に走りこんで、しっかり体力つけておけよ!」


 去年から同じクラスのヤツは意外と多いし、更に周りの人間をよく観察するタイプの澤村に見られる事を想定するべきだったな……。

 でも澤村は俺の冗談に乗ってくれたので意外と真剣に捉えてないのかも知れん、良かった。


 ワイワイワイ


 話題が無くなって一瞬お互いに無言になり、「うわーやべー気まずいぞこれー」と思ってた矢先、不意に廊下が騒がしくなった。

 やった話題だー!

 早速この騒ぎについて聞いてみよう。


「んー、廊下が騒がしいな……なんかあったのか?」


「お前知らんのか?こういう時には大体な…ほら来た」


 澤村が指し示す方向から何やら人集りが移動してくるのが見える。

 なんだありゃ?


「うわぁ一段と人が集まってるな、こりゃ中身が見えねぇわ……あの中にはな、この高校1の美少女が内包されてるんだ」


「あー、今のでなんとなく分かったぞ……大体その女の子の目にとまりたくてアピールしまくってるバカ共って構図か、ファンクラブ云々の集まりが護衛してる的な感じの構図なんだろ?」


 ラノベとかでよくあるよな、そういうの。

 そして大体の場合中身の美少女は取り巻き共の存在に困ってる感じなのがテンプレ。


「よく分かったな、正解だ!まあ此処を通るのは珍しいし今年度に他県から転入して来たらしいからな、お前が知らんのも無理はないか」


「ふーん、別クラスに転入生か。まあ、俺が関わり合いになる事は殆ど無かろう」


「達観してるなぁ……その落ち着き具合、あのむさ苦しい連中に爪の垢煎じて飲ませたいわ」


 むさ苦しい男の塊から苦笑いしている澤村に視線を戻す瞬間、塊にできた隙間から一瞬だけ銀色の光が見えた気がした。






 ガチャッ


「ただいまー」


 学校が終わって家に帰ると、ミクがすぐさま走って来て出迎えてくれた。

 すごい勢いで尻尾をぶん回してる辺り、寂しかったのかな?


「よしよし、留守番頑張ったねー」


「クニャーー♪」


 頭や背中を撫でてやると甘えてすり寄ってきたので、その場に座り込んでしばらくモフモフタイムにしよう……とその前に!


「全部やる事済ませてからゆっくり遊ぼうぜ」


「ワン!」


 ミクと連れ立って台所へ行き、弁当箱を出して洗って拭いて仕舞う。

 次に洗濯物を庭から取り込んで、山のまま床に置いておいた。

 これは母さんに日課として義務づけられた事。

 舞衣がこれを畳んで仕舞うのだ。

 残る母さんはといえば、料理番である。

 それと今度から自主的に日課にするのが、


「ふんっ!」


 ブンッ


 杖の素振りだ。

 アイテムボックスから見習いの杖を取り出して素振りをしてるわけである。

 これで少しはスキルのレベルの上がりが早くなればいいのになぁ。

 今日始めたばかりの日課だし、どうせ今日も向こうに行って使うので素振りは30回くらいにしとくかな。


 ブンッ


「よし、これでいいかな……よっしゃミク、俺の部屋へ行くぞ!」


 今日1番でやるべき日課を済ませた俺はミクと一緒に自分の部屋に上がった。





 この後めちゃくちゃモフモフしました。






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