スキル決め、そして相棒の召喚!
メニュー画面から呼び出したマップを見ながら『B&R』におけるスタート地点である「始まりの街」の中世風な街並みを通り抜けてフィールドに出ようとすると、プレイヤーたちが通りで買い物をしたり集団で一緒に走って行ったり、中には小さなワンコを連れている女性プレイヤーがお店の店主と話しているのを見かけた。
恐らく、彼女も召喚魔法を使っているんだろう。
いーなーワンコ、モフモフだ。
俺の最初のパートナーはなんだろなー。
そんな事を考えながら街の門を潜りぬける。
歩きながらスキルもしっかり取っておいたため、俺はもう準備万端だ。
《スキル》
《召喚魔法LV1》《調教LV1》《杖術LV1》《水魔法LV1》《魔力回復速度上昇LV1》《革鎧装備LV1》《鑑定LV1》《調合LV1》《料理LV1》
9/10
SP:1
『《水魔法》
水属性の呪文を使用するためのスキル。
レベル向上で高度な呪文を覚える。
(金属製の装備にペナルティが発生します。)
(呪文の効果は、MATKが付いた装備で変動します。)
《調教》
レベルに応じた確率で野生モンスターを仲間にできる。
召喚獣・テイミングモンスターに対して、レベルに応じたステータスボーナスを発生させる。
《魔力回復上昇》
MPにレベルに応じた自然回復効果を付与する。
《鑑定》
オブジェクトやモンスター、アイテムを鑑定する。
レベルに応じて開示される情報が増える。
《調合》《料理》
素材を使って生産行動を行う為のスキル。
《調合》で主に回復系アイテムを、《料理》で主に食物系アイテムを製作できる。
レベルにより、高度なアイテムを生産できるようになる。
(専用の生産器具が必要です。)』
最終的な俺のスキルはこんな感じ。
生産系統スキルがとれるような人型のパートナーとは限らないし、人型だとしても生産スキルが取れないタイプだといけないので、要りそうなスキルは取ってみた。
主に、と入ってるのは……例えば《調合》なら毒薬とかも生産できるのかな?
金属製の装備は魔法を減衰させると書いてあったので革とかの装備を揃えないと、ということで急遽革鎧スキルを取ろうとして知ったけど、防具装備系は取得に必要なSPが5だった。
そのために計算が狂い、《錬金》等の他の生産スキルが取れなくって更に一個スキル枠に穴が空いてしまったけど、これはまあ後にスキルを取るための楽しみにしておこう。
調教とかの補助系スキルはSPが2、お得かな?
採集行為は、『採取』以外それに相応しいアイテムを所持していれば可能らしい。
『採集』は素手、例えば鉱石なら『ツルハシ』を持っていれば可能ということだ。
魔法は回復モノも取りたかったのだけれど、それらしきモノが見つからないので各属性魔法の中に組み込まれてると思う事にしよう。
《フィールド・緑風の草原》
さて、初フィールドに辿り着いた。
辺りは草原、風が心地いいね。
攻略サイトに載っていた情報によると、このフィールドに現れるのはラビムーとジェリースライム、オーナレスドッグ。
ちょうど少し向こうで、パーティらしき人影が犬の様な影と戦っているのが見える。
いやそれは今置いといて、重要な俺のパートナーを召喚しよう。
召喚魔法を使用しようとメニュー画面を弄ると、唐突に目の前に文章が現れた。
……え、これを読めってか?
「えーと、『契約の履行を求む。この声に従うならば応えよ』?」
厨二臭い文言を言わされたと思ったら目の前の地面に魔法陣みたいなエフェクトが描かれ、その模様から小さな狐が飛び出してきた!
「キュン!」
名前:
種族:子狐
性別:♀
HP:70
MP:15
STR:5
VIT:6
INT:7
MND:6
AGI:8
DEX:5
LUK:6
親愛度10/100
《スキル》
《火魔法LV1》《幻魔法LV1》《噛みつきLV1》《爪LV1》《回避LV1》《野生の勘LV1》
おお、狐だ!
モフモフだ!
可愛いなぁ、よしよし。
「キュウ……」
このゲームにおいて、非戦闘時に召喚獣や従魔に対して『撫でる』というコマンドを使うことができると攻略サイトに書かれてあった。
撫でる事で直前の戦闘などでの行動を褒めることができ、だんだん賢く、どんどん強くなっていく、という説明文だったけど、恐らく戦闘AIが『撫でる』コマンドで成長する様にプログラミングしてあるんだろうなぁ。
あと、アンデッド系とかの撫でるに相応しくなさそうなのはどうやって褒めるんだろ?
それはともかく、目の前のモフモフを撫でないという選択肢は無い。
その場で座ってしばらくモフモフを楽しんだ。
まあ、この子も嫌がっては無い様だし問題無いだろう。
「あー、堪能した!これからよろしく、君の名前はー……よし、『ミク』だ」
「キャウ!」
ゲームのキャラクターとはいえ中に入っている俺に合わせてか、ポリゴンめいた硬さは無く動物系のモフモフをしっかり味わえた。
満足したところで立ち上がり、初めてのパートナーに名前をあげた。
名前は藻女……みくずと読む、九尾の狐であるとされた名高い玉藻前の幼名から取った。
その様な悪女になって欲しいわけでは無いけど、そのくらい強力な相棒にはなって欲しいと思い、この名前をつけた訳だ。
気に入らなかったらどうしようと思ったが、喜んでくれた様なので良かった。
ミクとしばらく草原を歩き回る。
腰には《杖》スキルを取得した時に支給された《見習い》武器を携えて、少しだけ自信も出た。
『《見習いの杖》
その道に入った者が最初に扱う、扱い方に慣れる為の杖。
ぱっと見、完全にただの八尺棒。
練習用のため、スキルLVが5になるまでの間しか装備できない代わりに耐久度は存在しない。
使い終わったら、ちゃんと武器屋に返そう。
ATK+5 MATK+5
耐久度-/-』
どうせなので初戦闘は危険な状況にならない限り杖……というより棒を使ってみようと思った。
早々に慣れておいた方が自衛にも使えるし、俺の今の体は俺の体、つまり『ユースケ』のアバターではなくて『俺』の体なのかもしれないから、その場合システムで定められたモーションで攻撃なんてできるわけ無いし、それならその時は『俺』の体に使い方を染め上げて仕舞えばいい、もし体が勝手に動くようならそれはそれでよし、とこういうわけだ。
「というわけでスマン、暫く棒術の練習をさせてくれないか」
「キュウン……」
早速活躍できないとテンションだだ下がりのミクだったけど、最終的には了承してくれた。
さあ、ちゃっちゃと棒に慣れて早いとこミクの勇姿も見てやらねば!
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