なんか入っちゃった!?……まあいいか、これはこれで面白そうだ
「……ん?んんん!!?」
あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!
「俺がゲームをスタートしたと思ったら、いつの間にかどこか分からん街の噴水広場っぽいところのベンチに座っていた」
な……何言ってんのかわからねーと思うが、俺も何が何やらサッパリピーマン……。
ちょっと待て、落ち着こう。
まずは状況の確認からだ。
取り敢えず、健康状態はオッケー。 なんか怪我があるわけでも無し、気分が悪いとかも無いな。
次、体の動きに違和感も無し。 どこか動かない、可動域が小さくなっているなどの支障は無い、大丈夫。
次、服装。 着なれない、けどどっかで見たような格好……『B&R』のサイトに載ってた服か!
ここってもしかしていや、情報が足りなさすぎる。 早計はいくない、うん。
次、今こっちに来てるおっちゃん。鎧着てるよねアレ?やたらいかついんだけど大丈夫かな……主に身の安全的な意味で。
けど逃げ出すのも相手を無駄に刺激してダメな気がするので、話だけ聞いてみようそうしよう。
「こんにちは、旅人かい?そんなとこで船漕いでたら噴水の水で風邪引くぜ」
「こ、こんにちは……すいません、寝ぼけてるのかなんなのか頭がフラフラして。記憶が曖昧なんです」
こういう状況は記憶喪失ネタが1番楽チンって偉い人が言ってた。 そして俺も実感してる、完全に慌てた感じになったもんおっちゃん。
ただちょっと罪悪感はあるよね、これ。
「なに?すまん落ち着こう、頭を楽にして……まず、自分の名前は思い出せるか?」
俺の言葉を信じてちょっと焦ったおっちゃん、少し落ち着いて俺をベンチに横にならせた後で名前を問うてきた。
うーん……多分これプレイヤーネームの入力チュートリアルに相当するんじゃない?
でもここが『B&R』の中だとは限らない、全く別の世界観の可能性も捨てきれないし。 もう少し慎重になるべきでは?
もうちょっとおっちゃんからこの世界の情報を集めて、『B&R』のサイトに書かれてあった事に該当してたなら……その時に考えよう。
「おっちゃん、少し質問いいかな?」
「なるほど頭を整理するんだな、なんだ?」
「この世界の名前……ってあるか?」
「そらおめえ、イリスヴォルに決まってるだろうよ。まさか、他の世界から来たとか言い出すんじゃないだろうな?ハッハッハ!」
俺が質問すると、おっちゃんはなんか自分で解釈して笑いながら答えてくれた。
うん、イリスヴォル……サイトに載ってた名前で間違いない。
これで少なくとも、『B&R』以外の世界観に飛んだ可能性は減ったな。 もっとも米国が考えそうな壮大なビックリだとか、完全に夢だとかそこら辺の可能性は残るけど、その時はその時で笑い飛ばせばいい。
取り敢えず俺は『B&R』の世界観に飛ばされたという体で行動しよう。
まずは名前、プレイヤーネームか……。
まあ、自分の名前をアバターにつける派だったし、普通に答えて問題ないか。
「ん……若干落ち着いてきたかな」
「そうか、頭の整理はついたか?」
「ああ、まだ若干混乱してるけど……俺はユースケ、よろしく」
「ふむ、ユースケか……俺はカインってんだ、よろしくな」
『プレイヤーネーム《ユースケ》登録しました』
うおっ!?
なんだなんだテレパシーか? 耳というプロセスを省いて頭の中に直接音声が流れ込んできたぞ。
てかやっぱりここ『B&R』の中か! よかった、慎重に事を運んでおいて。
えっと確か、攻略ホームページの豆知識に書いてあったのは……。
「お、あったあった」
チリリン
左手首を見ると、レーザーポインターを照射したような青い光点がある。
『B&R』の中でメニューを開くと、自分のアバターが左手首の青い点を右手でシュッと擦るアクションが起きてからメニュー画面が出ると豆知識に書いてあったのを思い出したので探してみたら、本当にあった。
試しに豆知識のページにあった通りに光点を人差し指と中指を揃えて触り、手の甲の方にスライドすると手首の中から蒼い半透明の板がせり出してきた。
覗くとこんなことが書かれている。
ユースケ
LV1
HP:100/100
MP:50/50
STR:10
VIT:10
INT:10
MND:10
AGI:10
DEX:10
LUK:10
hng:0/100
tirs:0/100
《スキル》
0/10
SP:50
更に右側には別枠で
ステータス
装備
アイテム
スキル
フレンド
設定
ヘルプ
ショップ
ログアウト
金:1000tm
と表示されていて、更に別枠でマップぽいものも写されている。
このパラメータが俺か? ……どうなんだろうこのパラメータ、低いのかこれ?
でもキッチリ揃ってる感じだし、皆最初はこんな感じなのかな。
お金の単位は攻略サイトにあったとおり、tm……ティムとなっている。
最初にもらえる額としては多いのか少ないのか分からないけど、区切りのいい数字は気分がいいね。
一瞬見慣れないパラメータが2つあってビクッとしたが、よくよく思い出してみれば出来立ての攻略サイトにも載っていた
いわゆる《満腹度・喉潤度システム》が搭載されているこのゲームは、定期的に物を腹に入れ水を飲まないとそれぞれ腹減り度と渇水度が増えていき、それにつれてそれぞれ最大HP・最大MPが減っていく。
もちろん満腹度と渇水度を減らすと元に戻っていくが、この『食事』にも数秒時間を費やすため戦闘中は致命モノのハードシステムらしい。
尚、他のアイテムと違い食事アイテムはクールタイムが存在しない事は評価されている。
あと、こんな風に迷い込んだわけだし帰れないとかなってたらどうしようとか思ってた部分もあるけど、しっかりログアウトボタンも存在して安心した。
「だいぶハッキリしてきた、ありがとう」
「おう、またなんかあったら相談乗るぜ」
俺が礼を言うと、大丈夫と判断したのかおっちゃんは離れていった。
NPC……だよな? それにしてはAIがしっかりしてるような……。
いや、このゲーム自体がすごいのか?
まず『ここがゲームなのか』が問題なんだけども。
まあいいや、次だ次。
次はスキルを取ろう。
「おお、こう見るとたくさんあるなぁ」
メニューからスキルページに入ると、スキルツリーが山ほど表示される。
面白そうなスキルや気になるスキルは事前調査で見つけてたんだよな。
「これとこれとこれと……まあ取り敢えず、最初はこれを取るか」
俺はこのゲームを始めるに当たって、どんなプレイをするか事前調査の時に決めていた。
つまり、サモナー・テイマープレイ。
やっぱりロマンがあるよね、一緒に戦ってもらうの。
自分ボッチだからパーティとか組めないし。 ゆっくり自分のペースでゲームを楽しむとなると他人に自分の使いで迷惑かけられないし、かけられたくないし。
というわけでそういうプレイをする事に決まったのだ。
記念すべき最初のスキルはもちろん、
「《召喚魔法》取得完了っと」
『《召喚魔法》
自分の契約した召喚獣を呼び出し、戦わせる。
レベルに応じて召喚可能な召喚獣の種類や一度に呼び出せる召喚獣の数が増える。
召喚獣も経験を得て強力になるが、倒されてしまった場合は一定時間の召喚ペナルティが存在する。
召喚獣に戦わせた場合、召喚獣が戦った敵の分の経験値はその召喚獣と分割される。
(金属製の装備にペナルティが発生します。)
必要SP:10』
召喚魔法……これが俺のメインスキルだな。
スキルにはそれぞれ取得に必要なSPが定められているようで、現状魔法スキルは10、武器スキルは5、生産スキルも5らしい。
やっぱり、遠距離からの攻撃手段はお高い設定のようだ。
あとは武器スキルに1つ、生産スキルと補助スキルと魔法系統スキルに2つずつスキル枠を決めてある。
スキルはアクティブ状態の枠が10最初に用意されており、レベルが上がるたびに徐々に控え枠が増えるらしい。
残り枠はあと2つ、これはあとで考えよう。
さて、今の時間が分からないけどだいぶ時間を食った気がする。
ササッと街を出て初戦闘を試してみるか。
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