第2話 討伐

討伐隊はさらに南西へと進む。

そして、熊襲の地の山の麓に陣地を建てられた。


翌朝、作戦開始の合図が、コーン、コーンと響く。薄く霧のかかった山々は、隣国に近い土地だと皆に感じさせた。


「討伐隊本隊進めーっ」

天皇の側に控える者が大きな声を上げた。


片手を腹に据え置きながら、姫尊は夫を見上げる。

ゆっくりと、

距離が離れていく。


天皇は僅かに振り返り、しっかりとした動作で手を挙げた。

姫尊は、ためらいつつ、ゆっくりと愛情をこめて袖を振る。


鷹匠が凛々しい小型な鷹を受け止めた。

その爪には、うさぎの毛玉と血が付いていたというので、左右の者たちは、大変険しい山であると見たようだ。その考えを裏付けるように、鹿の角が編み込まれた烏の巣も見つかった。

そうして、天幕をずらすように登ろうということになった。

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新羅遠征 登月才媛(ノボリツキ サキ) @memobata-41

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