第3話 鬼

 山城のヤツがこの頃少しずつ笑うようになった。前は『どうせ俺は』が口癖で、笑った顔なんか見た事無かったのに。

「何があったんだい?」羽黒が訊いてみると、

「ちょっと、な」と曖昧に答える。

「好きな女が出来たのか!?」陸奥が突っ込んだ。

「そうじゃない。 だけど、良い事、だとは思う」

「良い事なら良かったね!」大和はほっとした顔をした。

「ああ。 まさか本当にシュークリーム一個で何とかなるとは思わなかった」

「……って事は、君の家庭事情の……?」時雨が驚く。俺達も驚いていた。

「そうだ。 今だから言えるが、姉貴が死んでから親もおかしくなってしまった。 きっと悲しくて寂しかったんだろうな。 二人とも不倫ばかりして、俺なんか構ってくれなかった」

「「……」」ごめん、何も言えないくらいに、凄く重い。

「それが、シュークリーム一個の翌日に、二人揃って土下座して、俺に謝ってくれたんだ」

「「……」」今、何か言ったら、いけない。それだけは分かる。

「不倫もすぐに止めてくれた。 数年ぶりに母親の作ったご飯を食べた。 今までどんなに夜遅くに帰宅しても誰もいなかったのに、今じゃ門限は連絡を入れない時はきっちりと七時だ。 多分、俺達は、家族としてやり直している所なんだろうな。 昨日、父親と数年ぶりに喧嘩したんだが、やり方を忘れてしまっていて、取りあえず怒鳴っていたら、何だか変で、お互いに笑ってしまった」

「「……」」

「今度の週末に、姉貴の墓参りをしようって事になっている。 夢の中で姉貴、大暴れしたらしい。 九十九デパートのシュークリーム、全部の味買っていこうって二人とも怯えていた」

山城はそう言って、軽く笑った。お前、強いよ。

 「うーす」と阿賀野先輩がサークルの部室に入ってきた。「あれ? シロ先生いないのか?」

「あ、もうすぐサークル始まるんで、そうしたら来ると思いますよ」大和が答えると、

「あっそ。 じゃあ待つよ。 ところでお前らさ、『これ』見た事ある?」

そう言って阿賀野先輩がポケットから取り出したのは、気持ち悪いくらい赤い勾玉だった。何て言うのか、人の血の色に似ている赤なんだ。

俺は鳥肌が立った。やばい。これ、やばい。触ったら、やばい!

「何ですか、それ?」と咄嗟に手を伸ばした大和を俺は突き飛ばした。

「触るな!」と叫ぶ。

「ど、どうしたんだ清!?」陸奥が目を丸くした。

「おい、触るなって、でも阿賀野先輩は触っているじゃないか?」山城が言った。

「あれー? 清君、これに触りたくないのか? 触れば良いのに、触らないのか?」

違う。俺は直感した。コイツは阿賀野先輩じゃない!

「アンタ誰だ!」

『よくぞ見抜いた。 俺は「鬼」だ』

阿賀野先輩が変身した。つ、角が生えて、口が裂けて牙が映えて爪が伸びて、肌が真っ黒に染まった。身長が倍近く伸びて、天井すれすれになった。

俺達は絶句して、次の瞬間我先に逃げようと窓を目指す。ここは二階なので、飛び降りても死ぬ事はまず無いだろうと思って。

だが羽黒が捕まった。

「うわあッ!」

『ヒヒヒヒ』鬼は笑う。『美味そうな肉だ!』

羽黒が喰われる。俺達は鬼に向かって椅子を投げたりしたが全然意味が無かった。羽黒が、喰われる!

「こら」と、声がした。「鬼無里キナサに帰りなさい」

鬼が倒れた。そして、全身から湯気を上げつつ、阿賀野先輩に戻っていく。俺達は安堵のあまりにへたり込んだ。

「あ……うわああああああああああああ!!!」羽黒が泣きながらシロにすがった。「あああああ!」

「もう大丈夫だよ」とシロは羽黒が落ち着くまでなだめてから、「しかし阿賀野君が鬼になるなんて一体何があったんだろう?」

「シロ先生」とシロの背後からヒロが姿を見せて、「そこの赤い勾玉から嫌な気配を感じますよ」

「これは……」とシロが赤い勾玉を拾った。鋭い目つきで、「……鬼の血か。 何でこんな代物が……?」

「う、うう」と阿賀野先輩が目を覚ました。「シロ、先生?」

「大丈夫かい? これは一体どこで手に入れたんだ?」

「それ……このサークル部屋の前に落ちていたんです。 だから俺、コイツらの誰かが落としたんだと思って拾って……あれ?」阿賀野先輩がぎょっとした。「ドアを開けた記憶が無い!?」

「……阿賀野君、良いかい、この赤い勾玉は『禍玉』だ。 接触しただけで人間を『鬼』に成らしめてしまうほどの呪物だ。 もしも今度これを見つけたらすぐに私を呼ぶように。 絶対に、触らないでね」

「……俺、鬼になっていたんですか?」阿賀野先輩の顔が引きつった。

「……いや、単なる悪質な私の嘘だよ」と言ったシロが表情を変える。「ッ!」

「……が、ああ」阿賀野がいきなり、倒れた。「腹が、いたい!」

ボコンボコンと、阿賀野先輩の腹が暴れている!?な、何だコレ!?

「阿賀野君を保健室に連れて行くから、しばらく自主練していてくれ!」

シロは言うなり、阿賀野先輩を担いで走り出す。ヒロがその後に続いた。

「……おい、どうする?」山城が呟いた。

「自主練、していよう」俺は言った。「多分、きっと、見てはいけないものなんだろうと思うよ」

そこに武蔵先輩と瑞鶴先輩がやって来た。

「ど、どうしたんだコレ!?」

あ、すみません先輩。手当たり次第に投げたんで机とか椅子とかぐっちゃぐちゃです。

「何が……あった?」武蔵先輩が首を傾げる。

「あ……阿賀野先輩が……」陸奥が言いかけて、黙った。

「アイツがどうかしたのか?」

「ちょ、ちょっと喧嘩になりました」時雨が上手い事誤魔化そうとする。「な、そうだよな?」

「は、はい」と大和がぶんぶんと首を縦に振る。「そうなんです、ただの喧嘩なんです!」

「……余程何かあったようだが、訊かない方が良さそうだな」瑞鶴先輩が言ってくれた。


 「大井さん、これに見覚えはありますか?」

シロがそう言って、この前の刑事に見せたのは、あの気持ち悪い赤の禍玉だった。

「!」刑事は目を見張って、「あるも何も、今大騒ぎになっているんですよ!」

「この前のお礼です、無償で我々が手を貸しましょう」シロはそう言うと、刑事は見るからに助かった!って顔をした。

「御本家に依頼もしたのですが、全く事態が改善しなくて……。 ちょっと来て頂けますか?」

警察署の入り組んだ通路を歩きつつ、刑事は話し出した。

「……数年前、鬼無里で鬼が一人行方不明になりました。 でも彼は治癒不可能な病気を抱えていましてね、それを苦にしての自殺だろうとその時はあまり騒ぎにならなかったんです」

「今度、鬼無里で行方不明になった鬼は誰ですか?」

「それが、鬼無里じゃないんです」

『第〇次系事件』と描かれた張り紙の部屋は、騒がしいのが外からでも分かるくらいだった。

「!」シロが顔を強ばらせる。「彼女ですか!」

「ええ」と刑事がドアを開けた。「今度誘拐されたのは、」

それが誰なのか俺にも分かった。頭を抱えて電話機の前の椅子に腰掛けている青年。長門、だった。真っ青な顔をして、がたがたと貧乏揺すりをしていて。

刑事が説明した。

「長門愛さんです」


 「俺が悪いんだ」長門はあの快活さを全て無くしてがたがたと震えている。「風邪引いたからって一人で愛ちゃんをコンビニに行かせた俺が全部全部全部悪いんだ。 俺が一緒だったら」

「仮にも鬼を誘拐できる相手ですよ、長門さん。 貴方は殺されていました」

シロがそう言ったら、長門が噛みついた。

「俺が殺されている間に愛ちゃん逃げられただろうが!」

「……鬼無里には連絡しましたか」

「した! 義理父さんがすぐに来るって、すぐに来てくれるって、でも俺どうしたら良いんだろう、金ならあるんだ、金ならいくらでもあるんだ、でも愛ちゃんは一人しかいないんだ」

やばい。完全に錯乱している。シロは大井刑事に声をかけた。

「誘拐されてから全く……身代金の要求も無いのですね?」

「ええ。 そして……」と大井刑事はシロを呼び寄せて、小声で、「自殺したはずの彼の死体が見つかったんですよ」

「ふむ」

「酷いモンでした。 どんな殺し方をしたらああなるんだか。 そして、彼の死体の中にもあの禍玉があったんですよ」

「あれは鬼の血を凝固させて結晶化させたものです。 結晶化させる過程において、鬼自身の『怨念』や『憎悪』、そう言ったものを大量に必要とします」

「……じゃあ、何て真似を……」

「その結果、接触した人間を鬼に変え、その体内に鬼を宿すほど、強力な呪物になりました」

シロがそう言って軽く手を振ると、何かが唸った!

「……何で、シロさんがそれを?」

「水之江学園の校内に落ちていたんですよ。 水之江学園の関係者を徹底的に探って下さい。 恐らく、何かの手がかりが出てくると思われます」

「分かりました!」


 事務所に帰ったら、赤ら顔の巨大な男が健さんに慰められてへたり込んで泣いていた。

「……愛に何かあったら、俺ァ死ぬしかねェ」

「落ち着け、酒呑シュテンのおっさんさんよ。 いつもの威勢はどこ行った。 鬼無里の頭領『雷(イカヅチ)』が何泣いてやがる。 いつもみたいに俺と殴り合えよ、なあ?」

「今は無理だァ……。 愛はたった一人の娘なんだよォ、こんな事になるンなら長門のクソッタレなんかと結婚させるんじゃァなかったァ! 俺はもう駄目だ……」

「あーもう調子狂うぜ! おいおっさん、表に出ろ、俺と殴り合いするぞ!」

「そのまま俺を殴り殺してくれ……」

「駄目だこりゃ」

そこで健さんは困ったような顔で俺達を見た。

「シロちゃん、助けてくれ、おっさんが酒飲まねえし俺と殴り合わねえし本当に死にそうなんだ」

「じゃあ元気が出る情報を教えましょうか。 愛さんはまだ生きています」

「まだって何だ、まだって」だが巨漢は余計に落ち込んだ。「俺は愛が怪我したとかそれだけでも耐えられねェんだよ……!」

「それじゃ、もっと面白い情報を教えますね。 式が探りに行ってくれていた湾岸倉庫群の中で、愛さんを発見したのですよ」

「!?」巨漢が飛び上がった。「そ、そこはどこだ!」

「今、警察が向かってくれていますので、少々お待ちを」虎弥さんがなだめるように言った。「何、これで数時間でケリが付く――」

その時、けたたましく電話機が鳴り響いた。虎弥さんが受話器を手にして、

「はい、こちら丑寅心霊探偵事務所です、ご用件は――」

『助けてくれ!』

聞こえるくらいの絶叫、あの大井って刑事の声だった。

『化け物が出た、助けてくれ!!!』

「行きましょう」シロが言った。「急ぎのようなので、『縮地』しますか」

「ああ、行こうぜ!」健さんが巨漢をどついた。「ほらおっさん、泣く前に助けに行くぞ!」

「無論だ!」巨漢が立ち上がった。す、凄い、身長、二メートルは軽くある。

「ヒロ君、力を貸して下さい」シロが言う前に、ヒロのヤツがシロの手を握って、

「はい、準備完了です!」

「では行きます」


目の前が真っ白な光に包まれたと思ったら、俺達は海の匂いがする場所にいた。


 近くでもの凄い騒乱が聞こえる。地響き、絶叫、銃声、その他諸々の。

「愛の気配がする!」

次の瞬間、巨漢がもっとデカくなった。い、いや、赤鬼になった、角が生えて筋肉が盛り上がって……!

赤鬼は、巨大な、電柱くらいはある金棒を手に、轟、と吠えた。

そして、警察を襲撃していた、大型トラックくらいはある異形を、金棒の一撃の下に粉砕した。

「――お、鬼だ」武装した警察の人達が腰を抜かす。きっと敵だと思ったんだろうな、真っ青な顔をして、もう駄目だって口々に言っている。

「お父さん!」その警察の中から、女の人が飛び出して、鬼に抱きついた。つっても、サイズ的に鬼の足にだけど。「お父さん、お父さん!」

『愛か!』鬼が、一瞬で人間サイズに戻った。「良かったなあ、生きていて本当に良かった……!」

女の人を抱きしめて、おいおいと泣いた。

「大井さん」とその間にシロが刑事の一人に声をかけている。「彼女の父親です。 敵では無いので、ご安心を」

「お、鬼って凄いですね」刑事が目を丸くして、「あの化け物を一撃で……」

「彼女の父親は、鬼の中でも別格なんですよ」

「とにかく、助かりました……何せ御本家の方々が我先に逃げたんで……」

「……そうですか。 後始末の方はお願いしても良いでしょうか?」

「そりゃあもう。 ……いつも、感謝ばかりですよ」

「こちらこそ」


 長門が顔面ボコボコになって事務所に来たから、その時ヒロに勉強を教わっていた俺は仰天したんだけど、ヒロは全然驚かずに、

「ああ、酒呑さんにやられたんですね」と言った。「治しましょうか?」

「良いよ良いよ、愛ちゃん危ない目に遭わせたんだから俺がこうなるのも当然だよ。 義理父さんに愛ちゃん連れ戻されちゃったけど、ふがいない俺が悪いんだから仕方ないよ……」

「……」意外とコイツ、根暗なのかも。

「ところでさ、鬼無里の方は大丈夫かな。 また誰か行方不明になったりしたら……」

「御本家が隔離結界を幾重にも張ったそうなので、まあ余程の事が無い限りは」

「ごめん、俺、今の御本家をあんまり信用していないんだ」

今何て言ったコイツ!?俺もだけど、何よりヒロが驚いた。

「長門さん、それは禁句ですよ!」

「でも事実だろう。 俺から依頼するよ、鬼無里を守ってくれ」

「……。 それは、僕達よりもあの人の方が適任かも知れません」

「『遺臣』の一人、渡辺ちゃんか」長門は頷いた。「渡辺ちゃん、今はフリーの傭兵やっているんだっけ?」

「はい、お金がある限り、いくらでも働いてくれますよ。 曼荼羅居酒屋によく顔を出しているそうです」

「そいつは好都合だ。 早速、曼荼羅居酒屋で頼んでくる」


 長門が出て行った後、俺は渡辺って誰なのか訊いてみた。

「渡辺那智ナチさん、僕達と同じ遺臣の一人だよ。 ただ、虎弥さんとどうしても気が合わなくて、ここの事務所には所属していないんだ。 ほら、虎弥さんって政治家みたいな所があるじゃん」

「うん」確かに虎弥さんには腹黒い一面がある。でも、純粋無垢な聖人君子じゃ、この世の中を生きていけないのは俺も知っている。

「でも渡辺さんは正真正銘の『戦士』なんだよ。 誇り高くて屈強で、信念を曲げるくらいなら死んでやる、ってね。 だから昔から虎弥さんとは犬猿の仲でさ」

「へえ」

「でも、健さんとはすっごく仲が良くてムカついたから、僕は何度か渡辺さんを殺そうとしたよ。 渡辺さんが僕を見ると逃げ出すくらいには脅したかな」

「……」あのさ、虎弥さんよりもヒロの所為で渡辺って人はこの事務所に入らないんじゃないの?

「まあ、長門さんとはわりと仲良しだし、渡辺さん。 きっと鬼無里を守ってくれると思うよ」

「そういや鬼無里ってさ、どう言う所なの?」

「鬼の最後の楽園、桃源郷ハライソ」ヒロは目を細めて、「『大協定』を結んだ君のお父上がとある秘境に用意した、鬼が誰からも恐れられず誰からも憎まれず誰からも恨まれず、かと言って孤独に苛まれる事も無く、『駄目だ幸せ太りする』とまで言わせた絶対領域さ」

「鬼って、ああ、確かに嫌なイメージもあるもんな」

「大協定が締結されるまではその嫌なイメージの所為で鬼も人もお互いに害を与えていたんだ。 鬼はね、基本、鬼同士じゃ繁殖できなくて、だから人間を拉致してまで子孫を残そうとしたりした。 おまけにあの怪力にあの姿、見ただろう? 人間が恐怖を抱くには充分だったんだ。 で、お互いにどうしようもない悲劇を何度も繰り返していた訳。 だけど、君のお父上が大協定を結ばれた日から、その悲劇は終わった。 ようやく、終わったのに……!」

「……」

そう言ったヒロの顔が凄く悔しそうで無念そうで、俺は黙るしか無かった。


 「何だァ、誰かと思ったらお前か」酒呑童子は呆れた様子で、「長門のクソッタレめ、よりにもよって『鬼殺し』の渡辺に頼むとはなァ」

「そうだ」と彼の家の庭先にいきなり登場した渡辺那智は頷いた。「しかし大協定のある限り、私もそれを遵守する」

「……アイゼンさんは、好い御人だった。 ヒカル坊も、だ」月を見上げて、ぽつりぽつりと鬼は語り出した。「俺ァあのまんま、ヒカル坊がアイゼンさんの後を継ぐもンだと、思い込んでいた。 大協定の締結、御本家の再編成、『大戦オオイクサ』の後始末……アイゼンさんがいたから、今の平和がある」

「……誰もがそれを願っていた。 誰もがそれを信じていた。 私達『遺臣』はあの二人を何よりも愛していた」

「何で殺されちまったかなァ、何でクロヒメや洞鏡みてェなろくでなしに殺されちまったんだよォ。 ――違う、お前ら遺臣が殺しゃァ良かったんだ、あんなろくでなし共!」

「……返す言葉も無い、な」

「あの出来損ないの『退廃皇帝ヘリオガバルス』が御本家を乗っ取ってからどうだァ、何が良くなった、何が起きた、何があった! 何一つ吉報は耳に入った事ァ無ェ、いつだって脳みそを疑いたくなるような凶報ばかりだ!」

「……」

「……鬼無里を守る守らんは勝手にしやがれェ。 俺ァお前には関わらん」

そう言って、月から目を背けた酒呑童子の頭上で、月は雲隠れした。


 恋は罪、とはよく言ったものだ。

あの人が欲しいがためにありとあらゆる罪が犯されるのだ。

あの人が欲しい。

あの人の脳髄も眼球も臓腑も毛先まで、そう細胞一つに至るまでが欲しいのだ!

強奪して強姦して犯し尽くして魂を引き裂いてそこに精液をぶちまけたいのだ。

グチャグチャにしてズタボロにして原型を留めぬまで壊して征服して烙印を押してようやく――、

哀れな俺は惨めな俺は可哀想な俺は初めて満足できる。

全く、恋は罪だ。


 定期考査テストがやって来た。俺とヒロは一撃で神経を削られてヘロヘロである。

「死にそう」

「分かるよ」

「泣きたい」

「うん……」

落ち込みながら勉強をしている俺達を見かねたらしい虎弥さんが、

「曼荼羅居酒屋行くか? 何か美味いものでも食べようぜ」

と言ってくれた。でも俺達の頭の中は単語とか数式とか古典語とか、そう言うものでいっぱいなのである。

「「時間が勿体ないので」」俺達は即、断った。

「ヒロ、デート行くぞ」だけどヒロのヤツが健さんの一言で裏切るのである。

「はい、行きます!」

俺がこの裏切り者と言おうとしたら、シロが俺の耳元で、

「行こう?」

……。


曼荼羅居酒屋は地下街にある、どこにでもありそうな居酒屋だった。そこそこうるさく繁盛している。

だけど奥へ続くドアがあって、店主が俺達を見るなり、

「ご予約の方ァ、座敷へお通ししろォ」

するとやけに露出度の高い服を着た女店員がドアを開けてくれた。

あれ?虎弥さんが予約してくれたのか?俺はちょっとだけ不思議に思ったが、そのままドアの向こうに入った。

「ようこそ、心霊居酒屋『曼荼羅』へ」

ドアの向こうは、静かなバーだった。

いや、少しは会話があったんだろう、数人の客がいたのだけれど、その全員が俺を見て絶句していた。

「ま、まさか……」ややあって、紳士、と言った様子の壮年の外人の男性が虎弥さんに話しかける。

「ええ」虎弥さんは頷いた。

途端に紳士は吸っていた葉巻を灰皿に落として、両手で俺の手をぎゅうと掴んだ。

「はは、これは僥倖! 私はアーカードと申します、弟君よ! 吸血鬼の長を務めております、どうぞよしなに!」

「え、あ、は、はい」

退け、退けとアーカード氏が押しのけられて、次に俺の前に出てきたのは若い男だった。やはり俺の手を握って上下にぶんぶんと振りながら、

「コイツは何て幸運だ! 俺はネギノって言う、土蜘蛛の新米頭領さ! あっ」

退きなさいと突き飛ばされたネギノさんの代わりに出てきたのは、和服姿の色白の美女だった。

「アタシは雪女郎の吹雪フブキって言うんだ! ああ、本当によく似ていらっしゃる!」

助けて。

シロ、物理的に振り回される俺を助けて。

「そこまで」と静かな声が響いた。仮面を付けたバーテンダーが言ったのだ。「ここで騒がないで下さい」

「……」三人含め、他の連中も渋々と席に戻る。

虎弥さんが奥のボックス席に座るように俺を促して、俺達はそこへ座った。

「……何なのアレ」

「彼らも『遺臣』みたいなものなんだ」シロが説明してくれた。「大協定を結ばれた君のお父上を本当に慕っていらっしゃった」

「……俺の父親って、何をしたの?」

「大戦を終わらせてその後始末にかけずり回られ、大協定を締結されて共存の道を歩み出され、大戦に疲弊していた御本家を再編成し再構築し……要は戦後処理と組織の立て直しに成功されたんだよ」

「戦後処理って……大戦って何があったの?」

「人間と人間でないものとの間で始まり、かれこれ数百年は継続していた戦争さ。 鬼や吸血鬼、土蜘蛛や雪女郎……人間は彼らを見下して『亜人種』と呼び、迫害し殺し犯し滅ぼそうとした」

「……」

「酷い場合はモルモットにしたり、まあ、本当に色々とやったのさ」

「そんなの、どうやったら……」終わらせる事が出来たんだろう。

「そこで大協定さ」虎弥さんが懐かしそうに目を細めて言った。「アイツらのヒトとしての絶対的尊厳を死守する代わりに表向きは御本家に従ってくれって内容の、いわば停戦講和条約だ」

「ふうん……」

「それから十数年、こうして彼らは人間と同等の存在でいる。 だが……」

「その御本家がおかしくなってきているんでしょ」

俺が言うと、虎弥さんはちらりと周囲を見てから、一度だけ頷いた。

「それ以上は禁句だ」

 ……料理は美味しくてお腹いっぱいになるまで食べた。その間にシロ達が説明してくれた、ここは御本家もどの勢力も手が届かない『中立区域』。ここで唯一価値があるものは『情報』と『金』。ここで不要な騒乱を起こす事は全てに喧嘩を売るのと同じ事だ、と。

「……ご馳走様でした」

 その帰り道、俺は勉強疲れや色々で健さんの車の中で寝てしまったけれど、シロの良い匂いがずっとしていたのは何となく覚えている。


 テストで散々に痛めつけられた俺達はサークル室でぶーぶーと文句を言っていた。

「何あの数学の文章題! 日本語じゃないよね!? 何語!?」

「宇宙語じゃね? あーもーやだ!」

「俺はどうせ駄目なんだ……英語が……」

「英語、僕も駄目だった……」

「結果が来るのが恐ろしいよ」

「どうすりゃ良いんだ!」

「勉強するしか無いでしょ」

そこに瑞鶴先輩がやって来て、不思議そうに、

「あれ? 武蔵達、まだ来ていないのか」

「来ていないですよー」と俺が答えると、

「そいつは変だなあ」と首をひねった。

「どうしたんですか?」時雨が訊ねる。

「さっきシロ先生が俺達を呼び止めたんだ、で、一緒にサークル棟に行こうって……その途中で俺はトイレに寄ったから二人に遅れたものだとばかり……」

「「え?」」

俺達はお互いにお互いの顔を見つめ合った。

全員、ぎょっとした。

「ちょ、それ、瑞鶴先輩、おかしいですよ!」大和が叫ぶ。

「だって……今日はテストの採点で……どの先生方も多忙なはずじゃ……」

羽黒が言うと、山城が続いて、

「あ! そうか、高等部は明日からテストでしたね。 で、でも……」

「とてもシロ先生にはサークル活動をやっている余裕は無いはずだ!」陸奥が言った。

「あ、え? じゃあ、あのシロ先生は一体誰だったんだ!?」瑞鶴先輩は慌てて武蔵先輩にスマホで連絡を取ろうとした。だけど、全く何の反応も来なかったらしく、見る間に青くなって……。「おい、どう言う事だよ、コレ!?」


 本物のシロは国語研究室で案の定、机に座ってテストの採点をしていた。そこに俺達がどやどやと駆け込んできたから、

「済まない、ご覧の通り採点中だから、出来れば……おや、何があったんだい?」

「シロ先生、さっき俺達に一緒にサークル棟に行こうって……」瑞鶴先輩は震えている。

「?」シロは変な顔をした。「私は放課後ずっとここで仕事をしていて、一度も外に出ていないんだが……?」

「大変だ! シロ先生の偽物に武蔵先輩が連れて行かれた!」陸奥が血相を変えた。

「何があったんだい!?」シロも立ち上がった。

「かくかくしかじかで……」

俺が説明するなり、シロは駆けだした。

俺達も慌てて後を追う。

「ヤバくないか、これ」山城がぼそりと言った。

「ヤバいよ、既に」

「ヤバい気配しかしない」

「ってかさ」俺は言ってみた。「この前みたいな……感じがしない?」

阿賀野先輩、鬼化。

「……するけど、僕は行くよ」時雨が言うと、頷く連中。

「おい、この前って阿賀野か? 何があったんだ?」

「笑いませんか?」羽黒が怯えつつ、瑞鶴先輩に言った。

「あー……笑える事なら良いんだが」

「多分笑うと思いますよ」大和はぼそりと言う。

「そうだな、つか、笑って欲しいよな」俺もぼそりと言った。

「ああ、そうだな」山城も同じ意見らしい。

「笑って貰えれば……僕の恐怖も少しは……」羽黒も頷いている。

「冗談だと先輩達に言って貰えれば、きっと、そんな気になれる」時雨も言うし、

「だよな、冗談だと思いたいぜ!」陸奥も……だ。

「止めてくれ、何か本当に笑えなくなりそうだ……」瑞鶴先輩が引きつった顔をする。

「じゃあ言います。 リアル、鬼になりました」

俺はプレッシャーをかけすぎた瑞鶴先輩に、正直に告白した。

「阿賀野が?」

「「はい」」

「はっはっはっ、何を言って………………じゃあ阿賀野が出産したってのもマジか」

「「出産???」」

俺達、男だよな?

「……アイツ、鬼を出産したらしいって、冗談めかして言っていたんだが」

「「!!!!!」」

もしかして、阿賀野先輩の腹がボコボコと動いていたのって、アレは――!

俺達は一気に青くなった。

「どうする」

「行くの止める?」

「賛成」

「怖い」

「だよな」

「おい、お前ら!」足を止めた俺達に瑞鶴先輩が一喝した。「いきなり何だ、シロ先生行っちまうぞ!」

「怖いので止めておきます」俺は言った。

「ます」

「うん」

「はい」

「……はい」

「ぶっちゃけ、あの時より怖い」

「どうしたんだよ、いきなり!?」瑞鶴先輩は俺達を唖然とした顔で見回す。「おいおい何がどうしたって言うんだよ」

「「……」」

「実はですね、阿賀野先輩が人間に戻った後なんですが……」

「あれ、エイリアンみたいに阿賀野先輩の腹を鬼が食い破ろうとしていたんじゃ……」

「うん、だからボコボコって暴れていたんだと思うよ」

「おい、死ぬにしてももう少し格好付けた死に方じゃ駄目なのかよ!」

「僕、今更泣けてきたよ……」

「ティッシュ、あるぞ」

「……」瑞鶴先輩もちょっと引いた顔をする。「それマジ?」

「マジじゃない方が俺達も幸せでした……なあ?」

「「はい」」

「……ちょ、ちょっとここで待機しよう」瑞鶴先輩の英断。俺達はこの人が先輩で良かったと感謝した!「何、シロ先生なら武蔵の事を必ず助けてくれるさ」


「俺がどうかしたのか?」

えっ?

武蔵先輩がひょっこりと図書館から出てきたんだけど。

「あれ、武蔵、お前……?」

瑞鶴先輩がまた唖然とした。

「お前も何も無いだろう。 俺は俺だ。 今、図書委員長から特別な企画を催したいので予算を臨時でくれと迫られて困っていた所だ」

「そっかそっか、じゃあ」と瑞鶴先輩が俺達の方を向いて、絶叫した。「逃げろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

はい、瑞鶴先輩が背中で隠してスマホいじっていたのを見ている俺達に異議などこれっぽっちもありません。

何をやっても全く音が鳴らなかった、あの武蔵先輩も偽物だ!

「「何がどうなってんだよ!」」俺達は安全な場所を求めてまた走り出す。

おまけに、背後からはターミネーターのように武蔵先輩が『待て』と追いかけてくるのだ。

「そ、そうだ!」だが、ここで俺には名案が浮かぶのである。「ヒロならきっと、この事態をどうにかしてくれますよ!」

「本物だって見分ける手段、あるのか!?」

「あります瑞鶴先輩、たった一つだけ!」

「よし、じゃあこっちだ!」

瑞鶴先輩は窓から飛び降りた。ここは三階だが、下には渡り廊下の屋根があった!


 「おいヒロ、大変だ!」俺は高等部1-Dの教室で勉強していたヒロに声をかけた。「健さんが浮気した!」

ヒロはにっこりと笑って、

「今すぐに殺して煮て食べてくるから、邪魔しないでね」

「コイツ本物です!」俺はヒロを捕まえて背後で待機していたみんなに叫んだ。「コイツは大丈夫です、本物です」

「待って清君、何がどうしたの?」

「偽物が出るんだ!」と瑞鶴先輩が説明する。「何だか知らないけれど、シロ先生も武蔵も偽物が出てきて――」

「は?」ヒロは真顔でこう言った。「偽物の根源お前が何言ってんの?」

え?

俺達の時間が止まった。


……それが動き出したのは、瑞鶴先輩が俺の首に素早く手を回して、締めつけた時だった。

「「!?」」

『ほう、巫の一族か』瑞鶴先輩が、ドスのきいた声で言う。『よくぞ見抜いた』

「一族じゃなくて、野良ですけれど?」ヒロは悠然としている。「吸血鬼の『ドッペルゲンガー』の方々。 何で大協定を破棄してまでこんな事を?」

『「光の御子」が再誕されたのだよ!』

何だソレ?

「光の御子? えーと、精神病院の良い所、ご紹介しましょうか?」

『その前に貴様の命の心配をしろ!』

シロが、いつの間にかヒロの背後に縄を持って立っていた。あっという間に、縄がヒロの首に巻き付けられる。

「あー」だが、ヒロの顔にあるのは不自然なまでの余裕だけだった。「なるほど、シロさんはこの少年を助けに行ったのか。 ふむふむ。 じゃあ、僕も助けて貰うとしましょう」

『ハハハハ、アッハハハハハハハ! 』だが、俺の背後で偽物が笑った。『我ら総勢五〇〇人! いくらあのシロでも時間はかかるぞ!』

「あ、違います」その時、俺はさっきから背筋がゾクゾクしている事に気付いた。何か、ヤバい。もの凄く、ヤバい。「僕のダーリン♡は僕のピンチには必ず助けに来てくれるんですよ」

次の瞬間。

地上五階の窓を蹴破って登場した健さんが偽シロと偽瑞鶴先輩の首を即座に叩き落とした。うん、刀とか使わずに素手で引きちぎって床に大穴空けて叩きつけたんだ。

『……』

二人とも、塩の塊になって消えてしまう。

「うわーん健さん、怖かったんですぅ」ヒロは滅茶苦茶甘えた声を出して、健さん(※殺神鬼モード)に抱きついた。「もう本当に怖くて、泣いちゃうかと思いましたぁ」

……泣きたいのは俺達なんですけど。

「良かった、間に合ったようですね」そこに瑞鶴先輩(ズタボロ)と武蔵先輩(ボロボロ)を連れたシロが登場する。「『光の御子』とは一体……?」

「先生ぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」ついに涙腺が決壊したのは、今度は時雨だった。「もうやだ、僕らは何でこんな目に遭うんですか!?」

「ああ、それは私の所為だ」シロ、それ認めたらお終いだろ。俺はそう思ったんだけれどイケメンと言うのは非常に便利に出来ていて、「怖い目に遭わせてしまったね、ごめん」と耳元で囁けば大体が解決してしまうのである。

「羨ましい」

「妬ましい」

「ずるい」

「俺も……」

畜生、どいつもこいつも変態ばかりだ!

「先生、トイレに行ったらいきなり……」

「俺は図書館から出ようとしたら、いきなり……」

「よしよし、怖い目に遭ったね」

先輩ズはこれ見よがしにシロに甘えているし!

「はぁ!?」仕方なく、俺は正気に戻った健さんとヒロのやり取りに耳を澄ませた。「『ドッペルゲンガー』が大協定破ったぁ!? おい、それマジか」

「マジですよ。 何か光の御子とか訳の分からない事を言い出して」

「コイツは大問題だぞ、おい。 大戦がまた起きちまう。 よりにもよってこんな場所で何て事を……『テロと同等』と今の御本家だと判断して、吸血鬼の絶滅行動を起こしかねん!」

「ええ、僕達はすぐに帰って虎弥さん達に相談しましょう」

何か……とんでもない事になっているみたいだ。


それから一週間、虎弥さんと健さんは一度も事務所に戻って来なかった。


「アーカード氏が不憫です」ヒロはカレーを盛りながら言った。「族長として、最悪、引責しなければならないかも知れない……」

「……穏健派のあの人がいなくなれば、また吸血鬼とヒトの間で問題が発生する。 だがそんな事は今の御本家は考慮しないだろうしね」シロは憂うつそうに言った。

「ねえシロさん、アーカード氏の助命嘆願は……」

「虎弥さんが動き回って駄目なら私でもどうしようもない。 ……次の族長になるのは年齢的にカルミラ御前だろう。 あの人は昔からヒト嫌いで有名だ。 嫌な予感しかしない」

「大戦の再開」

ヒロは言って、目を伏せた。

「冗談じゃありませんよ、本当……」

「だが吸血鬼が離反すれば今の御本家に反感しか抱いていない者が次々と反旗を翻す。 そして今の御本家はそれを鎮圧する力を全く所持しない、権威だけの張りぼてに零落した」

「嫌ですよ僕! 健さんがあんな事もう一度しなきゃならないなんて、絶対に!」

「私だって嫌だ。 ……おや?」

「か、カレー……」やつれきった、死人寸前の虎弥さんが入ってきて、倒れた。「カレー、食いたい……」

「おいしっかりしろ、虎弥さん!」健さんが全身傷跡だらけで、俺はビビった。「ああもう、畜生! 今カレー食ったら死ぬぞ、粥から食ってくれ!」

「カレーのお粥すぐ作ります!」ヒロが台所に駆け込んだ。


 「ギリギリアウトだ」虎弥さんはカレー粥を食べたら、そう言い捨てた。「ミスター・アーカードの引退、それしか御本家を妥協させられなかった」

「……生きてはいるが、もはや影響力は持たず、か」シロが低い声で言う。「では次はカルミラ御前に?」

「ああ。 あのババアを説得しようとしたらこのザマだ」健さんが全身の生傷を見せて、忌々しげに、「あのババア、俺が大戦中にぶん殴ったのをまだ恨んでいやがる」

「健さん、うう、何て酷い目に……!」ヒロが泣きながらその傷の手当てをする。「健さんだって好き好んで殴った訳じゃ無いのに……!」

「泣くなヒロ。 俺は泥かぶるのには慣れている」

「健さん……!」

こっちは、いつも通りなので以下略。

問題は虎弥さんとシロの方だった。

「大戦再開まで秒読みだ、ああクソ! あの人のやった事がこれで全部台無しだ! こうなるなら俺がクロヒメをぶっ殺しておくんだった! あの異常者サイコパスをもっと早い内に俺が殺すべきだった! 否、俺が殺してさえいれば……!」

「誰も彼もが幸せになった、そんな都合の良い話はありませんよ。 それより」とシロは窓を見て言った。「御本家から使いが来ているようです」

窓には、ぼんやりと、人影が映っていた。

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