第38話 報酬配布と……
「星五獲得おめでとう!」
「知ってたのか?」
「報酬側だからね。星五が貰えるチームの人達は全部把握済みだよ」
なるほど。当然と言えば当然か。
「あら、あの時の美少女じゃない!」
俺とセツナが話している所に、エディカが横から割り込んでくる。
「あはは、久しぶり」
喰い気味で詰め寄るエディカに若干引きながらセツナは返す。
「それで、セツナはどこのチームの報酬になる予定なんだ?」
セツナは星五だから上位十チームと俺達を含めた三つのキリ番チームの中のどこかの報酬になるわけだ。俺達のチームの報酬とは限らない。
「ボク? ボクはこのチームの報酬だよ」
おお! やった! 顔見知りが新しく仲間になるのはかなり嬉しいぞ!
「ボクを含めて報酬に選ばれた人達は相談してどこのチームの所属になるか決めるんだけど、なんかボク以外ハルト達のチームに入りたがる人が一人もいなくてね。すんなり決まっちゃった」
……嬉しいけど悲しいなあ。
「やったー! 念願の星五よ! それも獣人の猫耳美少女よ! これはペロペロしないと!」
「落ち着いてください」
興奮してセツナに飛びかかる勢いのエディカをローネルが押さえつけている。
「別にいいじゃない、嬉しいんだから! それじゃあ、親睦を深めるためにあたしと握手をしましょうか!」
エディカはそう言ってセツナの前にスッと手を差し出した。
「あ、うん。どうぞ」
セツナは言われるがままにエディカの前に手を出す。その瞬間、
「おっと手が滑ったわああ!」
エディカはわざとらしくすっ転んで、セツナの胸を鷲掴みにした。
「うわあああああ⁉ 何するのさ!」
セツナは慌ててエディカから距離を取る。
「事故! 今のは事故だから!」
嘘つけ! あからさまにわざとだろ!
「ああ、私もやられましたねえ……。エディカが前世の記憶を手に入れてから」
ローネルが虚空を見つめながら言う。
「お前ローネルにもこんなことやったの⁉」
「パイタッチ機能が存在するのなら紳士淑女として実行するのは当然の嗜みでしょ?」
「機能も何もゲームじゃねえよ! そもそもそれはセクハラだ!」
「可愛い娘が来たら取りあえずおっぱい触るでしょ⁉」
「触らねえよ⁉」
そんなことしたら捕まるだろ!
「いやいや、触るでしょ! 機能で制限されてないんだから!」
「仮にそうだとしても法律で制限されているだろ!」
「甘いわね。この世界ではセクハラに関する法律なんて無いのよ!」
だったら理性でどうにかしろ!
「あはは……とても賑やかだね。これから毎日楽しくなりそうだよ」
そうか? 楽しいというより疲れるぞ?
「それじゃあ、新しい仲間も入ったことだし景気づけに召喚でもするわよ!」
「エディカ、待ってください。そのお金はいったいどこに?」
「ハイエナ行為で奪ったじゃない、もう忘れたの? それじゃああたしは先に石を買いに行ってるからね」
「ああ、エディカ! 待ちなさい」
走り去るエディカを追いかけて、ローネルも駆け出す。
「って、また召喚されたら俺にも何があるかわかったもんじゃねえ! セツナ、俺達も追いかけるぞ!」
それに、まともな食事が出来なくなるかもしれない。何としてでも阻止しねえと……!
「あ、待ってよ!」
俺につられてセツナも走り出す。
まあでも。楽しいかどうかは置いといて退屈だけはしそうにしないな。
「それはそうと捕まれえええええ!」
だが、今はこの鬼ごっこを制さないとな!
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