第34話 ハルト・メイ・クライ
「おいエビルズ!」
「……」
駄目か!
「ア、アアア……」
爆風が収まったのを察し、地面に隠れていたゾンビ共が再び現れてくる。そういえばあいつ、こいつらのことを民って言ってたな。試してみるか。腰からナイフを抜き、ゾンビの髪を掴んで首を切断する。
「おいエビルズ! お前が俺を無視するならその間俺はこの下半身が埋まってる無抵抗のゾンビ共を斬首してくからな!」
頼む……!届け……!
「……」
エビルズの動きが止まる。
「ニンゲン…フザケテイルノカ? ソンナオドシガホンキデキクトデモ?」
エビルズは俺の方を向き、呆れと困惑が混ざったような眼をする。
「効くかどうかは今調べてるんだよ! 二体目え!」
ブチブチとゾンビの頭を引きちぎる。やっぱり斬り込みがあると楽ちんだな!
「……オイ」
「え?何? 三体目え!」
「……ニンゲン」
「ん? 四体目!」
「ニンゲン‼」
エディカ達から離れ、一目散に俺の元に走るエビルズ。やっぱり効いてるじゃねーか!
「腐っても王、民は大事なんだな。いや、元々腐ってるか」
「ダマレ‼」
怒りに任せエビルズは右手を前に突き出す。繊細さに欠けた、この攻撃ならギリギリ捌ける。
「よっ!」
鉄棒で右手の攻撃を受け流す。エビルズは勢いが余り転倒する。
「グオオ!」
よろけた隙にエビルズの左肩にナイフを叩きこむ。筋肉がもろに露出しているため、繊維に沿れば斬るのはたやすかった。エビルズの左肩から下が地面へ落ちる。
「……ッ! コシャクナ!」
態勢を整え、エビルズは右手を大きく挙げる。距離を取り、俺も態勢を整える。
「チョウシニノルナヨ…ニンゲン!」
「よく言うよ。星五のくせに星二程度の俺に左腕を斬り落とされて恥ずかしくねーの? それに俺には一ノ瀬遥翔って立派な名前があるんだよ! 覚えとけ!」
「ムン!」
右腕が眼前に迫る。こんな隙だらけの攻撃、しゃがめば楽勝に……。
「は?」
しゃがみ込んだ瞬間、今度は斬り落としたはずの左腕が眼前に迫る。やばいこのままじゃ!
「モラッタゾ!」
グチュっと嫌な音をたてエビルズの二本の指が俺の両目に深く突き刺さった。
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