第28話 ゾンビ・オブ・ザ・デッド
ゾンビ映画のゾンビなんかがまだ可愛く思える。
「うげっ、気味悪いな……」
一応ゾンビを星眼鏡で見てみる。男達が言っていた通りランクは星二。嘘では無いみたいだな。
「……まさかね」
「? エディカ、どうしたんだ?」
「こっちの話。今は戦いに集中して」
「そうだな……っ⁉」
いつの間にかゾンビは俺の目の前まで接近し、拳が今まさに俺に振りかざされそうになっていた。間一髪ナイフで攻撃を捌き、距離を取る。上手くはいったがナイフが折れてしまった。
「イヌゲ……ヌ……ボボズ……‼」
ゾンビは助走をつけ、とてもゾンビとは思えないような速さでまたも距離を詰める。ちょっと待ってくれ! ゾンビがそんなに速くていいの⁉
「まあいい。そっちがその気なら俺だって」
戦闘開始。腰から二本目のトレンチナイフを抜き、ゾンビに攻撃をする。しかし俺の攻撃を、ゾンビはナイフを自らの手のひらで受ける。
「うおっ⁉」
動きが止まった俺の頭を躊躇いなく攻撃してくるゾンビ。怖え!
「させるか!」
間一髪でナイフを抜き、ゾンビの攻撃を躱す。
「危なかった……」
「ババズヌ……ア……イヌゲ……ヌ……‼」
「何言ってるかわからないしお前に恨みは無いけどとりあえず死んでもらおうか!」
金のためになあ! もう一本ナイフを抜き、我流の小太刀(?)二刀流でゾンビに攻撃を続ける。腐肉とナイフの激しい攻防戦を繰り広げお互い一歩も譲らない。こっちから攻撃を仕掛けたいところだが、速すぎて隙が見つからない。
「エイア……ボボズ‼」
中々攻撃を当てることができずゾンビにもイラつきが見え始める。ここだ!
「それ!」
狙いは首筋。決まったか⁉
「ブンッ!」
「何だと‼」
ゾンビは首を後ろに九十度曲げ、俺のナイフを見事に躱す。こいつ、できる!
「エディカ、ローネル! 星二とはいえこいつを一人で相手するのは少々面倒だ! 手を貸してくれ!」
「それは出来ないわ」
「私もです」
「なっ! どうし……⁉」
どこから現れたのかいつの間にか大量のゾンビに囲まれている二人。大雑把に数えても三十体はいるんだけど⁉
「ローネル。これはもうあれね」
「ええ、そうですね」
どんなことがあってこうなってしまったのかはわからないがええい、仕方ない! 自力で何とかするしかない!
「一ノ瀬遥翔(×六十八)を舐めるなよ!」
限界突破で強くなった俺の力、思い知らせてやる!
「喰らえやあぁぁ‼」
右手のナイフを渾身の力でゾンビの額に突き刺す。一瞬怯むが流石ゾンビ、致命傷にすらなっていないようだ。
「グボッ……グボッ……」
ゾンビはナイフを抜こうともせず、俺への攻撃を続ける。残るナイフは六本。包丁が一本。それと鉄棒。こいつ一体の為に全てを使い切るわけにはいかないから次で決めなければいけない。
「と! 普通は考えるだろうな! そんな考えじゃこの世界は生きてけないんだよ! たかがドブネズミ一匹が相手でも、持てる火力を出し惜しみせずぶつけないと先に死ぬのはこっちだからな!」
残るナイフ全てを取り出し二本をゾンビに投げつける。ナイフは見事ゾンビの右肩と左肩に刺さりだらんと腕が垂れる。
「オッ……オッ……⁉」
ゾンビとはいえ腕が動くということは神経は生きているってことだったのか。それなら頭を刺した瞬間にくたばって欲しい。文句を言ってもあれだが、そうと分かればもう貴様なぞ怖くない!
一気にたたみかける!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます