第20話 アンドロイドは廃課金少女の夢を見るか?

「結構いるな……」


 王宮前の広場に行くと報酬を確認しようとする多くの戦功者達で賑わっていた。この人だかりの中で報酬を確認するのは困難かと思ったけど、このことをちゃんと考慮しているらしい。遠くの人にも見えるように大きなスクリーンに報酬が表示されている。


「これも魔法?」

「ちょっと違うわね。星眼鏡と同じ、魔法道具よ」

「へー」


 星眼鏡を通し俺も報酬を確認する。報酬は……一位が一千万エルドと廻魂石かいこんせき百個と星五の異世界人いせかいじん。二位〜二十位が五百万エルドと廻魂石五十個と星五の異世界人。二十位から五十位だと異世界人は貰えるけど星四なのか。

 他にも色々報酬が書かれていたが、流石にレンズ越しに文字を読むのは疲れるから途中でやめた。どうせ二人が読んでいるだろうから後で聞けばいい。


『おいおい、まじかよ……』

『ああ、いつもならこんなの参加しないけど今回は参加しないとな』

『優勝は無理だろうけど入賞は目指すか』


 周囲の人間がガヤガヤと今回のイベントについての話で盛り上がっている。当然か。興味なければここに来ないもんな。


「嘘⁉ 機械人か獣人が貰えるかもしれないの⁉ 星三でも星五に匹敵する強さの種族じゃない! 特に機械人きかいじんなんて滅多にお目にかかれないわ! ますます負けられなくなったわね」


 我らがエディカも報酬を見て目を子供のように輝かせている。


「機械人?」

「そう。呼称の通り身体が機械でできている種族の総称。産まれた時から全身機械の純機人アンドロイドと自らの意思で身体の一部や全身を機械に置換した準機人サイボーグの二タイプがいるの。とてつもない戦闘力を秘めているから、このイベント。荒れるわよ」


 なるほど。周りの会話からも察するにどのチームも大幅な戦力アップをしたいってことか。考えることはみんな一緒だな。


「ちなみに獣人じゅうじんは読んで字のごとくよ。比較的人間に近いのと狼男みたいなやつの二タイプがいるわ。戦力的にはいいんだけど、美少女が貰えるとは限らないのよね……」

「戦力さえ上がるのであれば美少女とかはどうでもいいと思うがな。まっ、できるだけのことはしてみるさ」


 トレンチナイフと包丁、それと鉄棒ででどこまでできるかわからないけどな。

ひとまずイベントでの作戦を立てようということになり、組合に戻ろうとしたその時、何者かに声をかけられた。


「あれ、ハルト?」

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