教会学校

 教会学校というのは、ここ、リエージュ司教領エフコス村に唯一ある教育機関である。そこでは、12歳から15歳までの子供たちが中等教育から高等教育までを受け、卒業試験合格を無事合格すると、この村で適正と判断された職業に就けるのだ。


 別に、卒業をせずとも村で働くことができるが、ここは村である。全員が全員、顔見知りで家族である。その中で合格できんとなると、村八分とまではいかず、村一分位は覚悟した方がよい。


 そして、教鞭を持っているのがここの領主であり、司教でもあるレジーナ・リドワン・リエージュ司教である。27歳。独身女性。エージが最初に下劣で下品な女と言っていた人物だ。首都で生まれ首都で育ったが、父の持っていた荘園を運営することとなり、その村の助けになればということで自費を切って教会学校を開いている。授業料は無料である。村一番の美人であるが、村の者たちは高嶺の花だと手をあきらめている。


 今回、エージが驚きを隠せなかったのにはいくつか理由があった。一つは、今現在マクレイ家に居候をしている身分であるため。一つは、今だ、受け入れてくれない人が村にいるのに、村からの意思で学校に入れてもらえること。そして何より、年齢の問題であった。エージは今年で24になる。教会学校は年齢に関してはかなり厳しく、幾らお金を積もうと、15になれば強制退学になる。なのに、余所者の私だけ特別扱いになったことは何故なのかと疑問に思っていたのだ。

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異世界を技術で支配する――ヴェル研究所の興亡―― ちびっこ豚伍長 @kern

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