学校へ行こう!

「今日から仕事をしなくてよいぞ」


 ヘイワードからの唐突な宣告であった。2年間、エージは農奴して働きに働いた。朝は誰よりも早く起き、家畜の世話をした。昼になれば村人の為に水を汲み。夜には礼拝をし、そこで司祭に言葉を学んだ。その努力の甲斐あって、一年で読み書きまでできるようになっていた。それほど努力をした。にもかかわらず、首を宣言されてしまったのだ。


「どうしてですか!!」


 エージは、この世界にきて初めて大きな声を出して問うた。横でミルクを飲んでいたルルが驚いて咽るほどである。


「君は二年間懸命に働いたよ。私達や村人のためにも。心の底から感謝しておる。」


「なら、どうしてですか!」


 エージはまた大声を上げる。ルルが心配をし、エージの傍にスッと寄り添った。


「落ち着けエージ。村の者全員で決めたことなんだ。お前には農作業をやめてもらう。」


 エージの目には涙が浮かんでいた。この場所で皆の役に立つと決めた時からずっと、必死でいた。しかし、それも今日で終わりだと思い、悔しく悲しくて、初めてここに来た時以来の涙であった。


 それをみたルルも悲しくなり、父を睨んだ。すると、ヘイワードはあきれた表情をしていた。


「はぁ……。エージ!お前には教会学校に入ってもらう!」


「!?」


「ルル、お前もだぞ!共にレジーナ先生に勉強を教えてもらってこい」


「本当!やったぁ!エージ君と一緒だぁ!」ルルは上機嫌にエージに抱き着いてきた。


「ほ、本当にいいんですか?」エージはまだ信じられない面持ちだった。


「ああ、よいぞ。勤勉に励めよ」


「ありがとうございます!!」

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