プロローグ2

 私は、地面に生えたシロツメクサを30~40本ほど集めた。これを王冠にして彼女への手土産にする。編む様にそれらを組み合わせていく。やり方さえ知っていれば、大の男が本気で着手すると10分とかからない。ただひたすらに編み込み、円形にしていく。編み込み、組み合わせ、編み込み、組み合わせ……。できた。我ながら良い出来だ。


 さて、問題はここからだ。いかにして一人でいる少女に近づくのか。どのようなシチュエーションにするか。……ここはこっそりと近づくか。


 彼女の後ろ側に周るために少し森の方に入り、若干迂回するようにして彼女のほうへと近づく。森の奥はかなり薄暗く、動植物の世界となっている。あまり長いしたくないな。


 少々歩いたところで彼女の愛らしい後姿が見える。まだこちらには気づいていない様だ。そっと息を殺して近づく。後ろ姿でもわかることがある。彼女は熾天使だ。年齢は10歳ほどだろう。艶やかなでふわりとした栗毛。ショートボブの髪型は誘惑的なうなじがエロティックに垣間見える。それはまるで、風光明媚なバラの花弁であり、電光朝露な百合の茎のようだ。身丈は130㎝ほどで少し華奢な風体。此処からでも伝わってくる、彼女が放つ美という圧迫感。やはり小さい子は良いものだ。無邪気に鼻歌交じりに花を摘んでいる。かわいい。もう一度言おうか。かわいい。


 ……まずは周りに大人や保護者がいないか確認する。……よし、誰もいないな。住宅が集合している場所からある程度の距離があるから、見つかる心配はないだろう。さて、声を掛けようじゃないか。別に私は不審者ではない。困っている人だ。困っている人に、天成の熾天使は手を差し伸べてくれるはずだ。いや、今、まさしく、差し伸ばしてくれているのだ。今ここで出会ったことはそういう因果の思し召しなのである。私が此処に来る事、そこに天使がいること。これは運命である。私がその手を取るのは世界の道理であり、法則であり、正しきことなのだ。


彼女の肩をトントンと叩く。体をピクリとさせ、こちらにとサッと振り向いた。

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