第2話 始まりのアナウンス
街を歩いていると所々にARで出来た広告や標識が目に入る。
今の日本では当たり前の光景だが俺の住んでいる創波(つくなみ)市はその中でも特殊電波区域とやらに分類されていて他の場所より発展しているらしい。
(改めてよく見ると凄い技術だよな)
そう思っている間に俺の今通っている学園、照陽(しょうよう)学園に着いたようだ。
うちの学園は特殊電波区域なため、国家が全力で協力しているらしく敷地はバカみたいに広い。
俺も最初は道に迷って遅刻しかけたくらいだ。
(まあ、今になっちゃあ慣れたもんだな)
正直言うと、たまにまだ迷うが...
*
教室に着くなり1人の男がまっさきに絡んできた。
「よぉ!柊弥!元気してたか〜?」
こいつは
「ああ、いつも通りだな」
俺は流すように返答する。
「相変わらずだな〜あ、そういや千春ちゃんは元気か?」
健太は思い出した様に千春について聞いてきた。
何故知っているのかは、簡単でどうやら俺と同じ体質らしく、前に遊びに来た時に普通に発見された。
最初は質問攻めにされたが今になっては受け入れていて、千春とも仲良しだ。
「ああ、元気だぞ」
元気過ぎるくらいだが...
「そりゃ良かった!また遊びに行くな!」
それからしばらく話していると、後ろから女性の声が聞こえた。
「相変わらず仲が良いわね、おはよう2人とも」
そう挨拶され、俺達も挨拶を返した。
「「おはよう(おはよう!)文香(文香ちゃん!)」」
彼女は
挨拶を終えると文香は呆れたように言った。
「まさか、本当に同じクラスになるとはね〜...」
そう言うと健太が嬉しそうな表情をしながら
「じゃあ、賭けは俺の勝ちって事でジュースな〜」
俺と健太と文香は中学校からずっと同じクラスで文香と健太は毎年別のクラスになるかどうか賭けているのだ。
「ここまでくると呪いの類いにでもかかってるんじゃないのかしら...」
そう文香が落胆すると
「腐れ縁って言えよ!不吉だろ!」
健太が必死にツッコミを入れていると学園のチャイムが鳴り響いた。
「そろそろ始業式だな、行こうぜ」
俺がそう言うと2人が不敵に笑っていた。
「な、なんだよ」
言い返すと二人揃って同じ事を言った。
「「おやすみ〜」」
完全に馬鹿にされたなこれは。
「寝ねぇから!」
そう言いつつ俺達は始業式の行われる講堂に向かった。
*
「ねぇねぇ柊弥くん、椅子に座ってからずっと瞑想してたけどどうしたのかな〜?」
この健太の反応から分かるように寝てしまいました。それはもう見事な位すぐに。
「ほんと昔から午前中の集会は絶対寝てるわよね」
呆れたように文香に言われたがぐうの音も出ないな...
「あ!ヤバっ!じゃあ俺、そろそろ生徒会あるからじゃあな!」
教室で俺をからかっている内に15時になっていたようだ。
「おう、じゃあな」
「また、明日ね」
それぞれ挨拶を交わしていき健太はダッシュで教室を出ていった。
「じゃあ私達も帰りましょ?」
「そうだな」
俺達もすぐに教室を後にした。
*
俺達が校舎内から出ようとした時にアナウンスが鳴った。
「2年の白坂柊弥、藤崎文香、以下の者は至急生徒会室に来るように。」
「呼びだしくらっちゃったけど私達何かしたのかしら?」
文香は不思議そうに問いかける。
実際俺も呼び出される事はしていないはずだ。
「とりあえず行ってみるか」
「そうね」
多少疑問はあるが、俺達は生徒会室に向かった。
*
生徒会室前に着くと、俺と文香はどちらも緊張しているらしく扉を開けるのを躊躇っていた。
「柊弥、開けていいわよ?」
「いやいや、文香こそ開けたらどうだ?」
俺達の中で、譲り合いと言う名の押し付け合いが勃発していると扉が勝手に開いた。
「何やってんだ...丸聞こえだぞ」
中からは若干呆れた健太が現れた。それで冷静になった時にはもう手遅れで、俺達は恥ずかしさで死にそうだったが
健太が早く入れよと合図してきたので俺達は、緊張した足取りで生徒会室に入っていった。
「し、失礼します!」
「失礼します!」
「お!来てくれてありがとう!」
入ってそうそう1人の女性が話しかけてきた。
「私は、生徒会長の
彼女は、この学園にいるなら誰でも知っている有名人だ。何でも全てにおいて学園トップらしい
「で、生徒会長が何故僕達をお呼びに?」
恐る恐る聞いてみると
「まぁまぁ!とりあえず飲み物だ受け取ってくれ!」
生徒会長が持っていた2つのコップが俺達に配られる。
「あの、私達は何故呼ばれたのか疑問なんですが...」
流石の文香も困っているようだ。
「ふむふむ...2人とも本物のようだね!」
あれ?この会長、話を聞いてるのか怪しくなってきたぞ?。
「では、そろそろ質問に答えよう!」
俺達は、話を聞いていて安心したのと変な緊張で複雑な心境でいた。
「君たち!同好会に入らないか?」
「「へ?」」
一瞬、時が止まった気がした。
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