第3話 真実そして始まり

静寂だったのは実に3秒位だったろう、だがこの時はその3秒が長く感じた。


「えと...同好会の勧誘の為にわざわざ生徒会室に?」


文香が戸惑いながら質問をした。


「そうだよ!勧誘する為に来てもらっ...」


「か...会長、話を飛ばし過ぎです...」


生徒会長が勢い良く話していると横から弱々しい声が聞こえた。


「あ...あの...詳しい説明は...私が...」


「あ、忘れてた!じゃあよろしくね!このはちゃん!」


そう生徒会長が言うと、さっきの声の主がこちらに近づいて来た。

どうやらこのは先輩と言うらしい。


「え、えっと...生徒会副会長...望月もちづきこのはです...よろしくお願いします…」


「このはちゃんとは幼馴染みなんだけど昔から引っ込み思案な性格だから優しくしてあげてね!」


「もう...!はくちゃんは黙ってて...!」


生徒会長が挨拶にフォローを入れたがそれが不服だったらしい。


(怒っても決して大きい声じゃないな)


俺はそう思ってしまったが心にしまっておこう。

それにしても、慣れた相手とは普通に話せるようだ。


「俺は、敬語でなら喋れる段階までいってるぜ!」


健太からそんな事言われたが要らない情報だな。


「それでこのは先輩、何故俺達を同好会に?」


「ひゃい!えと...すいません...それについて説明させていただきます。」


大丈夫かな?この先輩、なんか不安になってきた...


「で...では...始めさせて頂きます...」


奥からホワイトボードを持ってきて早速説明を始めた。


「まず、この学園は国から全面的な支援を受けています。」


あれ?図とか書くんじゃなくて話す内容を書いてる!?ま、まぁいいか...


「支援を受けているということは何かお返しをしているのが普通です。」


「それで6年前、国の上層部で1つの提案が提示されました。」


「提案の内容は、警察にとある組織を創ることでした。」


ここまでこのは先輩が黙々と書いていると文香が手を挙げた。


「はい、質問いいですか?」


「ひゃい!ど...どうぞ...」


「高校生が集まって出来た組織なんて、本当に国が考えたんですか?」


文香はごもっともな質問をした。


(確かに...高校生が集まった組織なんてたかがしれてるのにな)


俺が考えていると先輩がまたホワイトボードに書き始めた。


「質問にお答えします。10年位前からこの国はAR環境に発展しました。」


「そうすると自然に出てくるのがサイバー犯罪です」


「最初は警察で対処出来たのですが6年前に表に出ていないある事件が起きました。」


その時、何故か背筋に悪寒が走ったが気のせいだろうか。


「何人かの人間が現実と電脳の境界を越え、直接国の電波を支配しようした事件」


先輩は若干手を止めたがすぐ書き始める。


「通称--境界事件」


「彼らは電波を操り、時としては武器に変え武装した警察をいとも簡単に制圧した後、国の電波にアクセスしましたが奇跡的に機密データは日本に無く災厄の事態は免れました」


「政府は急ピッチで彼らの能力について調べました」


「そして、三ヶ月をかけてようやく能力についてわかりました」


「能力は幼いときに形はどうであれ衝撃的な体験をすると脳の電波信号が活性化し、中学生あたりに発現する。」


「そして能力は25~27歳の間には消えてしまう、対抗策は同じく能力を持つ者のみ」


「この情報を踏まえ政府は日本の3ヶ所に学園を置き、能力発現の可能性がある生徒を集め始めました」


「そして組織されたのが特殊電脳犯罪対策課、そこに所属する学生たちを通称--」


その単語を先輩は力強く書いた。


境界の開拓者-《サイバティック・ボーダー》と



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