第1話 いつも通りの朝
「......や、...し...や、......うや?」
何か聞き覚えのある声が聞こえる、幸いまだ生きているようだ。
「......ゅうや、しゅうや?」
だんだん意識が戻っていき、俺は目を覚ました。
「あれ?俺の部屋?」
俺が目覚めた場所はあの部屋でなく、俺の部屋だった。
「良かった〜やっと起きた!おはよう!」
目の前にいる彼女が元気に挨拶をした。
「お、おはよう?」
俺は、状況が理解出来ず空返事をする。
「ごめんね柊弥、起こそうとしたら足がみぞおちに当たっちゃって...大丈夫?」
そう彼女が謝ってきた。
「みぞおち?」
みぞおちを触ってみると確かに痛みが残っている。
しかも槍で刺された位置と一致していた。
「大丈夫、なんだ夢か...良かった」
俺は、安堵した。
「夢?」
彼女は不思議そうに俺を見てくる。
「べ、別になんでもない!」
俺は必死に夢を見たことを隠した。
「ふーん、そんなに隠したい夢なんだ〜どれどれ詳しく聞かせてもらおうか」
彼女は煽るように質問してくる。
「うるせっ早く朝食食べるぞ、千春」
俺は、千春の頭をコツンと叩きキッチンに向かった。
途中、後ろから何か聞こえたが知らんぷりしておこう。
*
「ねぇ〜まだ〜?餓死しちゃうよ〜」
料理を作っていると千春から催促の言葉をもらった。
「お前は子供か!ちょっとは待ってろよ...」
彼女の名前は
居候してる理由は--
「てか、お前霊体何だから餓死しないだろ」
そう、彼女は幽霊でたまたまここで目覚めたからそのまま居候している訳だ。
何故俺に幽霊が見えるのかと言うと、俺は過去に事故にあった事があるらしくその時ぐらいからある一定の電波が見えるうえに触れる体質になってしまったのと、彼女は正確には半分霊体、半分電波の身体であるから見えるし触れるというわけだ。
「ほら、朝食」
そうこうしてる内に朝食が出来上がった。
「お〜!美味しそう!いただきます!」
彼女はそう言うと元気よく食べ始めた。
「いただきます」
俺もすぐ食べ始めた。
「そういえば、今日から二年生何だっけ?」
そう千春は思い出して質問した。
「ああ、今日からだけどどうした?」
そう言うと千春は笑いながら答えた。
「いや〜ほら、私って記憶喪失じゃん」
そう彼女、出雲千春は記憶喪失のまま霊体化したらしい。
俺は、記憶喪失の辛さがわかるから居候を許したのもある。
「だから、一回高校に行ってみたいな〜って」
そう言いながら千春は、上目遣いで俺を見てくる、普通の人なら薄い反応が出来るのだろうが、女性経験がほぼ無い俺にとっては刺激が強すぎる。
おまけに千春はかなりの美少女と言えるだろう、長く手入れの行き渡った白い髪、綺麗に整った顔、細いシルエットの体つき、胸は...うん...
(てか!これじゃまるっきり変態じゃねーか!)
俺は、心の中で自分にツッコミを入れた。
「柊弥?」
我に帰ると、千春が顔を覗かせていた。
俺は、照れるのをなんとか隠しながら返答した。
「今日は始業式だけだから明日なら良いぞ。」
そう言うと千春は、
「やったー!じゃあ約束ね!」
満面の笑みで喜んでいた。
*
朝食を終え、着替えの準備を完了したので玄関に向かった。
外に出ようとした時、千春に
「いってらっしゃい!」
と言われ少しドキッとしたがすぐ冷静になり
「いってきます」
と答え、外に出た。
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