サイバティック・ボーダー

倉橋ミズキ

プロローグ

「くらえ!」


俺、白坂柊弥しらさかしゅうやは目の前の敵に斬りかかった。

ほんの数分前、俺はどこかわからない場所に気づいたら閉じ込められていた。

手に持っていたのはRPGにありそうな片手剣一本のみ、目の前にはゴブリンらしき生き物が数匹いた。

俺はその瞬間ここから出るには敵を全滅させるしかないと考え、今に至る。


「はぁぁぁぁぁぁあ!」


俺は、攻撃してくるゴブリンたちを避けながら確実に倒していく。

1体...2体...3体と倒していくうちに数が徐々に減っているのがわかった。


数分後、ついにゴブリンが1体になった。


「はぁはぁ...これで終わりだ...!」


疲労感のせいか一撃が弱かったがゴブリンを倒すには十分で、ゴブリンはそのまま倒れた。


「やっと終わった...」


俺は、その場で勢いよく崩れた。

その直後、部屋の1部から通路が現れた。


「良かった...出口だ...」


俺は、今にも倒れそうなくらい疲労感があったが今はそんなのお構い無しに出口を目指していた。

しばらく通路を歩いていると前にエレベーターらしき扉があるのがわかった。


「これでやっと出られる...!」


俺は、最後の力を振り絞り扉まで走っていったその時...


ザクッ


音がした時には激しい痛みに襲われていて、痛みを感じる腹部を見てみると、一本の槍が身体を貫いているのがわかった。


「な...なんで...こんな所に...」


改めて正面を向いて見ると一つの黒い影がいて、そいつが槍を打ったのだと即座にわかった。


「おい...待てよ...」


追いかけようとするが意識が薄くなりその場で倒れてしまった。

その時、どこから現れたのか分からないが1人の少女が俺の目の前に現れた。

少女は一切動じず俺に話しかけた。


「これは、あなたの分岐点...起こるかもしれない可能性」


少女の言葉は聞き取れたが、意味を理解出来ないまま俺は意識が更に薄れていく。

薄れていく直前に、少女は俺に言った。


「どうか、忘れないで...」


その言葉を最後に俺は意識を失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る