チューニングでおしゃべりを
僕はエアロックを抜けると、僕は左手についている簡単なキーボード兼ディスプレイに付いている非常用艦内短距離通信の強制チューニングボタンを押した。非常用電源で作動するから琴音さんに通じるはずだった。
ディスプレイ兼フィスガードの部分に電波の状態を知らせる電波状況がマークが現れた。
「琴音さん、聞こえますか?相沢順平と言います。助けに来ました。脱出できそうですか?」
「私は脱出できませんが、岩崎艦長を連れて脱出してください。思い出と戦隊の無いヒト型インターフェイスに意味はありませんから」
「相沢君?」
凜とした女性の声が聞こえる。岩崎さんかな?
「岩崎さんですか?」
「そうです。今から工藤艦長に助けはいらないと伝えて来てくれないかしら?船長
は最後に脱出するものだし、脱出を拒否するクルーがいると脱出できないから」
僕は歩きながら考える。とりあえずブリッジまで行こう。
僕の力不足で目の前の人を見殺しにするには、僕の感情が許さないし、船外作業要員の救助努力義務違反はしたくないと理性が騒ぐ。
だから・・・
だから・・・・・・僕は困っている人を見捨てられない。
「嫌です。もう宇宙服を着ているんですよね。みんなで脱出しましょう」
僕はそう提案した。
続く
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