パスコードの入力を

僕は安全ベルトのフックで体が固定されたのを確認するとドアの正面に作られた大きなカバーを上に開く。

そこには二つの横に細長いディスプレイと、ドアの開閉状態を示す緑と赤のディスプレイと宇宙服で操作することを全体にされた大きなボタンで構成されるテンキーがある。

僕は宇宙服のヘルメットに映し出された数字の列を見た。

一番初めの数字だ。

僕はゆっくりと入力していく。

ミスはできない。

3度の入力ミスでパスコードは違うものになる。

雑念を振り払いゆっくりとボタンを押していく。

ハッキングによるドアの暗号の解除を防ぐためにUSBケーブルの差込口などはついていない。

番号の打ち込みが終わる。

僕は一度数字を確認してからエンターキーを押す。

今度は入力したディスプレイの下にあるもう一つのディスプレイが光り出す。

綾音さんから受け取った数値を打ち込んでいく。

だんだん緊張感が高まってくる。

ミスは許されない。

僕のしている事は人と自分の命を背負っている。

僕は死にたくないし、理不尽にも助けられるはずの命を自分のミスで殺すと言う思いもしたくない。

サイは投げられた。

誰の言葉は知らない。

だけど今はやるべき時なのだ。

僕は数値を入力していく。

そして確認してエンターキーを押す。

ディスプレイの側にある気密扉の状態を示すディスプレイが赤色から緑色に変わる。

解除に成功した。

僕はお腹から空気をはき出した。

ここからが一番危険な作業なのだ。

船外作業要員の事故が一番多いのは気密扉を開ける瞬間だ。

もし気密扉を開けた時に船内の気圧が高ければドアを開けた瞬間に船内のと気圧のない宇宙空間の気圧差に吹き飛ばされる。

そしてドアを開けきるには安全ベルトからバーに伸びるフック式ロープを解除しないといけない。もし船内が減圧されていないと僕は吹き飛ばされて宇宙空間をただようことになる。

僕は安全ベルトのフックを外さずに少し気密扉を開けて見る。

ドアは何の問題もなく開いた。もら出してくる空気も無い。

僕は安全ベルトから伸びるロープを外し、気密扉を開けて行く。

船内に足を入れて気密扉を明けきった。

開けた状態を確保するために船内にある固定用のドアチェーンを気密扉にかけて固定する。さあ、これからだ。

                                  続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る