信じる気持ち
僕は慣性の法則に従って、ゆっくりと琴音さんの船体に向かって進んでいく。
ゆっくり蹴り出したのは、船体に取り付くときに確実に気密扉の周辺にあるバーを確実に掴むためだ。それともしつかみ損なったら、船体に対して作用反作用の法則により、船体より軽い僕が弾き飛ばされる可能性がある。それに宇宙では減速させる重力や空気抵抗など存在しないからゆっくりでも進んでいける。変な力を発生させないために体は動かさない。
どれぐらいたったのだろうか?
時間が長く感じ、焦燥感に襲われる。
訓練したきたのはなんのためだ?
訓練してきた自分を信じろ。
そして、みんなが応援してくれている。
だから僕は大丈夫だ。
みんなを信じる僕を信じる。
みんなが信じてくれている僕も信じる。
僕は一人じゃない。
気密扉に近づいてきた。
腕と足を前に少しだして、構える。
腕は戦隊のバーを掴み無理矢理、慣性の法則で発生した力を打ち消すため、足は衝撃を弱めるためだ。
時間はゆっくりと流れていく。
船体に接触できる距離だ。
ぶつかる様に船体に捕まる。両手で気密扉上面のバーを掴み、両足の膝で慣性の法則を打ち消そうとする。反動で体が船体から離れそうになる。僕は全身の筋肉の力を使って踏ん張る。
なんとか反動が収まる。
それを確認すると僕は右側の安全ベルトからフック付きのロープを取り出し、気密扉の右側のバーにかける。固定されたのが確認すると同じようにして左側の安全ベルトも気密の左側にあるバーにかけた。
そして今まで宇宙服のフックにかけていた、命綱を琴音さんの船体にかけて固定を確認する。さぁ救助の始まりだ。
続く
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