理不尽な勧誘
性格はキツイだけど、見た目はかわいいだよなと思いながら僕は第一ブロックに向かって歩いていた。正直浮かれている。初めての学校で初めての女性からの誘いだったからだ。正直ドキドキが止まらない。そんな事を考えていると第一ブロックに向かう通路のエアロックを発見した。この学園はブロック構造で作られていて、ブロックを増設する事で学園を拡大してきた。ブロックの外壁がそのまま学園の外壁になっていた。本来は閉じておかないといけないエアロックだけど緊急時すぐに安全な場所に入らないといけないから開放しているのだろう。解放されたエアロックを抜け歩いていく。デートはどんな事をするのだろう?歩いているうちに学園に施設が教室から倉庫に変わっていっていた。これも安全な施設を中央に作り、倉庫などのあまり居住に外壁近くに居住に関係の無いスペースを作る事により、デブリ衝突時などの被害を抑える方法だった。学園に関する考察や工藤亜里沙とのデートを考えていると第一ドックに到着した。
ドックには船が停泊しており、その前に工藤亜里沙が腕を組み仁王立ちしていた。
僕は高鳴る胸を押さえて工藤亜里沙の元に近づいて行った。
「遅い!社長兼艦長より遅れてくるなんて良い度胸ね」
「えっ?放課後と聞いていたけど時間の指定はされていなかったはずだよ?それに社長兼艦長って一体なにかな?」
「相沢順平君。あなたは今日から私の会社兼クラブで船外作業要員をする事になったの?だから私の命令には絶対服従なのよ」
「理不尽だ。それに僕は同意していない」
「運命なのよ。あきらめて馬車馬のごとく働きなさい。私の様な容姿端麗、果断な決断力に優れた艦長の元で働けるなんてとても光栄な事でしょ」
「その上から目線は気に入らない」
「敬語を使いなさい。あなたの意志は関係ないの。あきらめなさい。それに徴兵拒否とそのための運送会社への就職をするために船外作業要員一級の資格が欲しいのでしょう。資格習得のためには三年以上の経験が必要だけど、学園だけの実習時間で足りるかしら?資格の有る無しにかかわらず、授業では船外作業の基礎から学んでいって実習はできないはずよ。それに私の会社に就職すれば、徴兵拒否も簡単よ。どうかしら相沢順平君?。会社に雇用されてお金がもらえて、クラブ活動として実習時間を稼げるのよ。良い事づくめじゃない?」
「うっ。」
僕の弱点を突いてくる。確かに徴兵を拒否したいし、就職もしたい。そのためには実習時間が必要だった。でも工藤亜里沙の下で働きたくはない。
「分かったよ。仮入部でどうかな?」
「仕方ないわね。私はクラブ新設の申請に行ってくるわ。その間に船の中を見学していて良いわよ」
そう言い残すと工藤亜里沙は去っていった。
続く
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