三~五

   三


 昼間は街をぶらついて少年ギャングとか犯罪者風の凶器携行者や汚職警官、って風に白が決め付けていただけだが、そいつらの顔を見たり公園で不純物だらけの粗悪な月光酒ムーン・シャインを飲んだりしていた。宿は歓楽街とドヤ街の境目にあり路地裏や地下街にある闇市場ディスカウント・ストアで安く酒や煙草、古雑誌を買って時間を潰した。一週間くらいしたころ宿の裏の酒場で奮発して安ビールをちびちびと飲んでると大量に蝶を纏った若い女がいて、その隙間からやたらとイカれた目つきの三白眼でじろじろ見てくるので、このまま殺されるかも知れないなって思ってるとそうはならず、何かを感じ取ったのか仕事をしないかと尋ねてきた。どういう仕事かは聞かずに承諾するとコインロッカーの鍵を渡して去って行った。


   四


 地下街のコインロッカーには生臭い包みがあってここに届けろって指示と住所の書かれたメモがあり白はそこへ向かった。多分凶器か違法作成された人造生物の一部か何か、路地裏を歩いていると暴漢が若いのを殴打してる、カメラがあれば記念撮影だな、そんで警官がやって来て御用かと思ったら「よう元気か」「旦那こそ風邪ひいてないすか?」「いや大丈夫だよしかしお前は相変わらず無鉄砲だな」「いやどっちかってと有鉄砲ですよね」と暴漢が若いのを射殺して和気藹藹なムードのまま二人は死体を残して何処かへ行った。


   五


 人口密集地帯、労働者と犯罪者とその他怪しいやつらの巣窟、に来てエレベーターで二十五階へ、ドアをノックしても応答はなく鍵はかかっていない、中に入るとクラゲの入った水槽がやたらとあって写真の現像に使うみたいな赤い電球がぼんやりと照らしている。奥の部屋から少年が一人来てブツを受け取ると「彼女は元気か?」と聞いた。「元気そうだったよ」白は答えた、誰のことか知らなかったがあの蝶の集った女のことだろうか、「カネはあっちから受け取ればいい?」「そうだけどチップで何かやろうか端末とか」「欲しいな」「今渡そう、クラックの依頼があれば来てくれれば格安でやるよ。あんた名前は?」「白だ」「僕は夕蓮ユレン、ナギ姉さんに宜しく」「分かった」

 夕蓮は暫く奥に引っ込んだあと真新しい携帯端末をくれた、初見の客に対してサービスがいいなと思ったが既に手を引くことができなくなってる? まあどうにでもなれだ。「もう一つ頼みがあるんだけど」白は言った。「ナンバーを買えないか?」「本来なら結構するけど仕事をいくつかこなしてくれれば進呈するよそれも、姉さんと話してくれ」

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