第一章 神変

神流木 隼 Ⅰ


 彼女は無邪気に笑っている。

 彼と一緒にいるから。

 彼も楽しそうに笑っている。

 彼女が傍にいるから。


 赤い夕焼けの中を、童謡を歌いながら。

 手を繋いで、いつもの帰り道を歩いて行く……。


 いつから、変わってしまったのだろう?

 どうして、変わってしまったのだろう?


 これが、神が定めた〝運命〟なのだろうか?

 誕生した瞬間から決められた〝結末〟なのだろうか?


 だとしたら神は、なんて残酷なのだろうか……。


 取り巻く世界を意のままに操れる力。

 運命を手にしたかのような、万能感。

 まさに神の力だった。僕はソレを授かった。

 だから絶対的な幸福を、限りない平穏を、望んだのに……。


 ――――どうして……こんな事に。

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