第18話 かんわきゅうだい

ノーナンバー

桜玲

会長


つまり番号をつけられない子ども。要するに売り物にはならない実験体。



1緋 紺

紅 蒼

赤 青

優月 冬花

桜 ろいな



2闇月 飛鳥

セカンド

スロノ



3時雨 葉芽

サード

テトラ

クリア



4永久欠番



5フィフス

スマイル

スピード



6白井 泉

エラー

ヘキサ



7時雨 葉

ヘプタ

セブンス

クール


8杉山 空

オクタ

エイトス

ホット


9紅 来羅

エラー

ノナ



25亜月 殊羽

シュウ

厚木 秋

最終兵器



ナンバーズは25で終わり




〇〇〇〇〇〇







「ねえ、龍くんー今度何人か引っ張ってきてくれない?」


「あー今人手足んないですしね」


「かっこいい友達とか親戚とかいないー?」


「ははは。いるにはいるけど、なんもできないっすねー」


「いいわよ突っ立てるだけでも!とりあえず今度のパーティのときだけでもいいの集めときたいのよ!」


「でも安藤さん。その子らお酒飲めないし」


「オーナーでしょうが!」


「すいませんオーナー。連れてきませんからね?」


「給料下げるわよ!」


「こんなに働いてるのに!?」


「連れてきて頂戴」


「・・・・・・」


「あたしが見てからお店に立たせるかどうかは決めるから!」


「・・・・・はい」



 まずったなー言わなきゃよかったよ。まさかあんなに食いついてくるとは。グイグイ来られると怖いんだよな、安藤さん。



「おかえりー!!」


「おうただいま、白」


「寒かった?」


「寒い寒い」



 白。蝶ネクタイをつけて、元気よく挨拶させて。可愛いし女の子受けはよさそう。



「ボス?」


「あーなんでもないっ」


「変なのー」


「お、ドラゴンお帰りー」


「ああ黄ただいま、ごはんは?」


「食べた。そういや葉の今日のオムライスめっちゃ美味くて!ドラゴンの分明日お昼に作るって張り切ってたぞ?」


「おう、楽しみだな」



 黄か。多分女の子相手にしたらドキドキして真っ赤になるだろうけどそういううぶな反応が結構ハートをつかみそう。なんたってお洒落さんだからな、最近外に出かけても前みたいな様子もなく。好きなアクセサリーのお店見つけたみたいだし。そうだな、胸思いっきりはだけさせて自前のやつ持って行かせて、店のやつら喜びそうだな。黄もあのクローゼット見せたら喜びそう。最近服買うお小遣いあげてないしな。小遣い稼ぎにもいいか。



「ドラゴン?俺顔になんかついてるか?」


「いやー?ついてないついてない」


「ドラゴン!!」


「葉芽!どうだ?最近慣れたか?」


「ああ」


「そういや、葉はどうした?」


「お風呂入ってる」


「なるほどー」



 葉芽は綺麗系だからビシッとスーツとかきこなしそうだな。メイクいらないくらいだ。やっぱり連れて行くなら葉芽か、立ってるポーズが安定感あるな、ただ頑張っても笑顔は無理か。いやクール系ってことでオッケイだろう。長い髪は俺みたいに結べばいいし。むう、なんでこんなサラサラなんだ。



「黄何見てるんだ?」


「あ?お笑い番組、この芸人さん好きなんだよ」


「こないだも見てたな」


「あのときお前も笑ってたな!」


「ああ」



 おお、笑った。これは、



「2人とも、あしたちょっと俺ときてくんないかな?」


「?」


「なんで俺だけ留守番なんだよ!!ボスのバカ!!」


「白、そう言ってもな」



 まいった。もう白も一緒に連れて行くか?



「いいんじゃねぇの?とりあえずドラゴンが言ってる店でおねいさんたちとご飯とか食べればいいんだろ?」


「ああ、でも」


「だいじょーぶ!!赤がいないし、俺抑えられないって思ってるんでしょ?俺ボスに言われたら止めるから大丈夫。それに。」



 白が抱きついたのは葉芽。



「なんかあったらがっくんが俺を止めてくれるから!」


「が、がっくん?」


「うん、がっくん」


「葉芽?お前それでいいのか?俺普通に呼ばれてるけど」


「別にいい」


「よし。まいっか」



 今日は葉はいない。自分でウエイトレスのバイトをして稼いだ金でどこかへ出かけては食材を買ったり、バイト友達を作ったりしてる。今日は友達と遊ぶそうだ。夜の街、みんなで電車に乗って、いつもの通りを通っていつもの店へ。すごい目立つ。はしゃぐ白を落ち着かせながらやっとたどり着いた。



「いいわ!じゃ、さっそく準備してー」


「ええ!?オーナーいいんすか?」


「何も問題ないじゃない?きゃーその子可愛い!女の子?」


「男の子!!」


「あら!声も可愛いのね!しかも白染めになんておっしゃれー!」


「おしゃれ?俺、おしゃれ?」


「ええ!とってもオシャレよ」



 オーナーに白が懐いた。正直失礼なことを言うんじゃないかとハラハラしていたけど、意外とだいじょうぶそうだな。黄は思ってたとおりオーナー苦手そうだけど。



「あなた問題ないわね!こんなに綺麗な子いるんなら早く紹介しなさいよ!」


「彼はちょっと体が弱くて」


「ぽいわねー白い肌ー」


「あ!オーナーおさわり禁止でお願いします。彼空手の達人ですよ!ちょっとハーフなので今もちょっと言葉分かりずらいみたいであまり話さないと思うんですけど」


「はいはい」


「別に問題ない。触るか?」



 んな!!葉芽!?このオーナーを前にしてそんなセリフを!?



「な!!さ、触れないわ!何この子いいキャラしてんじゃない!」



 よかった。というか触られてもいいのか葉芽!あ、触られるのも触れるのも今は嬉しいのか。



「最後にあなた!」


「は、はい!」


「さっきから一番生意気そうなのに一番ビクビクしててかわいい!」


「んだとてめ!あ!えっとすいません」


「いい度胸してんじゃない?やるっていうならお姉さんとやってみる?」


「お、おねえさん!?」


「こら、空!」


「あら?お姉さんみたいな人に会うのは初めて?」


「初めて、です」


「怖いのかしら?」


「こ、怖くなんかねー!っす」



 怖いんだ、というかそんなに必死に敬語守らなくてもいいのに。意外と律儀だな黄。怒鳴らないっていう言いつけも頑張って守ってるし。



「かわいい!」


「か!かわいくね、ないっす」


「龍!さすがね!さっそく準備しましょ!」


「はーい、じゃ白井君!」


「はい!ボス!!」


「ボスって呼ぶない」


「いいじゃない。ねー?」


「ねー!」


「うん、白井君はこれきて、あとご飯はちょっとだけな?」


「いえっさー」


「空と葉芽はこっちに来て好きなの選んでー。あ、選んだげて。で、メイク担当はこの人ねーおとなしくしてるんだよー」


「おう」


「大丈夫?」


「やっぱ、金稼ぐって大変なんだな、ドラゴン」


「そうだぞ空、僕もいろいろ大変だった」


「そうなのか!葉芽?」


「ああ」



 黄はいい社会勉強になったみたいだ。

 赤がいなくなって、みんな頑張ってる。とりあえず今はちょっと休憩。戦うために、備えなくちゃね。よし稼ぎに行きますか!



「葉子さんたら!お酒強いのねー」


「そうでもない。私の弟の方が強い」


「すごいわよー!あたしもう酔ったー!」


「うちはまだまだー!!おにいさーん!こっちこっち!!」


「はーい!ちょっと行ってくるねーみんな飲み物は手に持ってるの以外飲んじゃだめだよ!」


「はいはいー」


「お待たせしました」


「きゃーかっこいい!!」


「えっとー」


「葉子も固まってるよ!恋したんじゃない!?」


「ここはお前の店だったか」



 この声、まさか葉子って、葉!?綺麗だなーってそうじゃなくて!!



「ちょっと、出かけるって!」


「だから友達と」


「何、葉子の男ー?」


「違います!!」


「龍!ちょっとこっち手伝って!」


「行って来い」


「じゃ葉子さん、楽しんでって」


「ああ、って、なんであいつらもいるんだ!?」


「葉子ちゃんが叫んだ!?」


「あー!!葉だー!!」


「白井君静かに!!」


「白井君って」


「綺麗だ・・・」


「そうだな、姉さんは本当に綺麗になった」


「な!葉芽!今俺は何も言ってねーからな」


「ああ空、わかったよ」


「空に葉芽までいる!あいつはいったい何を考えて」


「ねえ、葉子さんあのイケメンたち知り合いなの?葉子さんっていったい何者?」


「ただのアパートの管理人。ご飯作ってる」


「何それ!なんの漫画よ!!うらやましい!!」


「今度連れてって!」


「絶対無理!」


「葉子さん、そんな声出たのね」


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