椿道

椿道

　そろそろ、椿の花が咲くころではないだろうか。椿の花が咲くと、私の住んでいるところは、道端がきれいな赤に染まる。どこを見ても、必ず一つは椿の花が見つけられる。

　毎朝自転車をこいで駅に向かうわけなんだけれど、その時に椿を見ると、なんだか落ち着く。あの静かで、それでいて強い存在感があって、凜とした感じが好きなのだ。

　私の家の近くにはちょっとした山があって、そこに公園がある。季節になると、まあたくさん咲くのだ。そうやって公園を赤く染めていく。紅葉とかとは違う染めかただ。紅葉は山全体を染めるけど、椿はそうじゃない。目線の高さだ。だから、手を伸ばしやすくて、小さいころは花を摘んで遊んでいたものだ。思い返せば、小さいころから椿が好きだった。

　そういえば、しばらくその公園に行ってない。中学高校と忙しくなってから行かなくなってしまった。たまには行ってみようか。椿が咲く頃になってからでもいいだろう。イヤフォンだとか、自然の音を塞ぐものを取っ払って、自然のせせらぎに耳を澄ませてみようか。そうしたら、普段切り離している何かが見えてくるかもしれない。