第5話 緑の池
自分の名が呼ばれる声で目を開けた「 麻子」
視界がチカチカしてそれから彼の顔が見えた
「いったい・・・」と言いかけると「事故だ だいじょうぶか?」と彼が言った
体はどこも傷んでいなかったしまえとおなじようにシートに座っていた
車もそのままだった 横転もしていないまるで初めからそこに駐車されていたかのようだ
空にはさっきと同じ満天の星空
ただ周りの風景だけが違っていった
横に大きな池がある 湖と言ってもいいのだろうか ただ水は深い緑でコケだか水草に覆われていた
「ここはどこなの?」まだぼーっとする頭で尋ねた
彼は必死で鞄をあさっている
「麻子 携帯は?」それでやっと状況が飲み込めたような気がする
自分のバックを開けた携帯はすぐ見つかったがそれはぐちゃぐちゃになっていた
「なんでだ」彼がそれをひったくった
ボタンを押したが無理なことは分かった それはまるで見えない大きな手で握りつぶされたみたいだっ
た
彼のいら立ちが伝わって来た
「歩けるか」私はうなづいた 長いドライブに備えてジーパンにスニーカーでよかった
彼はさっさっと歩きだし私も慌てて後を追った
車を振り返った 車体には傷一つついていなかった
不思議に思わないのだろうか?
このときおかしなことはまだあった
彼は焦ってパニックに近い状態になっていた それは彼だけの秘密のためでそのことで頭がいっぱい
だったのだ
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