小さな街から出たいという若者らしい願いを持った筆者が、ふと気づいた「懐かしさ」という感情。それは故郷だけにとどまらず、国内のいろいろな場所の人々の暮らしを思うと湧いてくる不思議な気持ち。DNAに刻まれているかはともかく、僕にもわかる気がする。情景の描写が上手く、筆者の感じた「懐かしさ」や想いがよく伝わってくる。哀しいような、温かいような、切ない気持ちになった。
作者様の函館への思いが強く伝わります。私は関東の出身ですので函館出身ではないのですが、作者様の伝えたいことが感覚的に伝わり共感できる作品だと思います。
冬の朝市で新鮮な海産物に目を輝かせていた観光客の一人です。故郷、そこに生きる人の美しさに触れて、地域の「ならでは」を探すようになる。知らない土地を旅する醍醐味ですね。読んでいてまた函館に行きたくなりました。今度はオルゴール堂にも。