【▶︎】旋律なき歌詞もどき、あるいは音の想定されていない長々しい心の詩

愛、或いはある晴れた日曜日に即興でぶつけた戯言



かじり掛けた洋楽のレコードを 齧り欠けた林檎に注ぐ

砕け割れた音符の荒波を あるいはその時化しけと凪の調和を

握り潰した果実の血飛沫しぶきに 溶け込ませ 夜にこう


飛び込んだ世界は一面 赤で あかあか

取り込んだ貴方は顔中 あかあかあか

わからない心の その真ん中で

一万年前から積もった劣情の塵と 精神こころの垢の山を崩し 散らす


あと何回 何百回 何万回 僕は君を叫べばいい?

あと十回 何千回 何億回 僕は君に手を?

もう難解 長かった 南無阿弥陀仏 そこに君はいるの?

いいさ 述懐の 旋回を またそこに置いとくかい?




語り欠けた人生の過ちを 騙り掛けた貴方の唇で塞ぐ

頭でっかちのワードスクランブル 癒えない痛みと傷の洗礼を

ひしゃげた弾丸の放物線に 背負わせ 朝に消そう


釣り上げた魚は全身 虹と 二時が 滲んで

息絶えた幼子はもう 黒く くろくろずんで

届かない言葉の その外殻に

一万年後に理解して欲しい愛情の砂糖と 憎悪の塩をまぶし 飛ばす


あと何回 何百回 何万回 僕は独りでいればいい?

あと十回 何千回 何億回 僕はここに身を?

もう散々 泣き合ったり 波立ったり 君は忙しいね?

いいさ 十戒の 展開を またそこで読んどくかい?




初めて見たのはそう 雪の降る夏の 歩行者天国だった

青い空と 蒼い海と 碧い宝石が 君を仰いでいた まるでかしずくように

君を絡め獲ったのはそう 地面が焼ける冬のアスファルトだった

新しい一秒がこんなにも輝くのを 僕はそれまで知らなかったんだよ ねえ


あと何回 何百回 何万回 君は僕にわがままを云う?

あと十回 何千回 何億回 君はそこで背を?

もう残斬 何発目 舐め合って 傷を分け合うの?

いいさ 天界の 絶海で また共に溺れてみるかい?


あと何回 何百回 何万回 僕は君を叫べばいい?

あと十回 何千回 何億回 僕は君に手を?

もう難解 長かった 南無阿弥陀仏 そこに君はいるの?

いいさ 述懐の 旋回を またそこに置いとくかい?


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