09/18/17:00――雨天紅音・そんなだから、お前は

 ギャンブルは流れの奪い合いだ――そう教えてくれたのは僕の友人であり、同僚であり、戦友であった彼女だ。

 流れとはツキのことで、目に見えないラックのようなものである。もちろん、勝つための技術を知らないのでは話にならないが、最終的にはそこへ行きつくらしい。だから僕にはケンという、十回までの時間を使って身動きをせず観察する時間が必要だった。

 ミスはツキを失くす。

 どこまでをミスとするか、その定義にもよるが、極論を言えばミスをせずにいればツキは溜まる一方だ。あくまでも極論であって、実際にやってみればわかるけれど、もっと複雑である。

 ディーラーがイカサマをどの程度使うのか、その見極めも必要だろう。そのために僕は、結果だけを聞いて流れを読みながらも、決してディーラーの手元から視線を逸らさない。やるのならばやれ、やってみせろ、そういう圧力をかけているのである。彼の額にうっすらと浮かんだ汗は、僕の意図が伝わっているからだ。

 相手のミスに合わせて勝ちを得れば、ツキを生かせる――その見極めも難しいけれど、かつては鍛えられたものだ。特に僕の生活において、研究以外では、荒事に巻き込まれることもあったため、カードのような簡単に持ち運び可能なもので、数少ない甘味などを賭け金にしてギャンブルを行うことがあり、主に人数合わせで呼ばれることが多かった。それで否応なく鍛えられたのである。

 ……まあ、酒を飲みに行くからと言われ、ついて行ったらカジノだったので少し遊ぼうと、そんなこともあったけれど。

 まずは十回の中で、誰がツイているかを確認する。上手い人ならばツキが平坦になっていても奪ってしまえるらしいけれど、どちらかといえば僕はツイている人を見つけて、その人を落とすことで、結果的にツキを奪って自分が上がる方が得意だ。そこから流れを見極めて、大きくミスをするきっかけを探り、その際に勝負へと出る。後は僕のツキがどの程度まで増加するのか――なのだが、その時点でフォーオブアカインドが出たのならば、間違いなく流れは良好だ。おそらく対象にしていた男は、次から極端にカードが悪くなる。

 続けて二度目のオールイン、勝率は半分ほどだと見ていたが、ほぼ全員が下りて対象の男と一騎打ちだったので勝利は確信できた。結果はフルハウス、状況はだいぶ良い。僕がツイたことは知られただろうし、次にオールインを仕掛ければおそらく全員が下りるだろう。ほぼ独壇場、というやつだが、いかんせんこれでは勝負にならないため、ゲームが終わりになる。けれどここで、参ったとばかりにレッドで記録した古宮が立ち上がり、入れ替わるように一人の男が入った。観客もどうやら集まりつつあるらしく、目立つという目的はほぼ達成されたと考えた僕も、席を洗ってもいいのだけれどしかし。

 僕が勝った状態で入ってきたのならば、おそらく胴元側の人間だろう。一人勝ちが過ぎると、大抵の客は胴元に殺される――金を奪われるという意味だ――のが通例であるし、僕はこうした雰囲気の人種を以前のカジノで知っていたため、確信も持てた。

 人が変われば流れも変わる。そこから五回ほどは様子見、という意味も込めてフォルドを入り混ぜつつ、もちろん勝負を仕掛けての駆け引きも楽しんだが、リイディと一人が抜けて三人になった。

「レイズ」

 そのゲームで賭け金を上乗せした僕は、ディーラーから視線を逸らさない態度を崩す。胴元の手元に二枚目がオープンした時、隣にいる男へ視線を投げたのだ。これはわざとで、意識そのものはディーラーから逸らしておらず、二秒にも満たない時間での行為だったんだ――が。

 けれど、ディーラーにとっては充分な時間だろう。イカサマを仕掛けたのを僕は見逃さなかったが、さて、この場合のイカサマには二種類ある。一つは僕に悪いカードを流すこと。もう一つは隣の男に良いカードを渡すこと。

 残念ながら二つ同時にはできなかったらしく、やったのは後者で、僕のカードはいじれなかった。この時点でディーラーの腕前は見切ったと言ってもいい。

 胴元に四枚目がオープンした瞬間、レイズした隣の男は明らかに――僅かに――安堵したのを見逃さない。思わず喉の奥でクッと笑ったら、聞こえたのだろう、ディーラーが僕から僅かに視線を逸らす。

 勝ったと、確信している様子だ。イカサマだから当然かもしれないけれど――それは、隙だよ。

 隙があれば、僕はそこを突く。ギャンブルでなくたって、それこそが勝負だろう?

「オールイン」

 肘を立てて両手を組み、口元に当てる。笑いの気配をこぼしながら言うと、隣からぎょっとした気配が伝わってきた。十数人になったギャラリーが一気にざわめく。

 ラストカードが配られ、一人がフォルド。隣の男はしばらく考えた後に、勝負だと言う代わりに掛け金を上乗せした。

「カード、オープン」

 ディーラーの声と共に喧騒が一斉に止んだ。順番として隣から。

「――クワッドナイズ」

 男が手元を開くと同時に、ディーラーの発声。おお、と観客の声が上がった。9のカードが四枚……既に二枚はディーラー側にオープンしており、彼の手元のオープンにも一枚あるのだから、それは予想できるだろう。一瞥の際に僕も確認した。

 さて、――ここで僕が負ける展開でも、これだけの観客がいるのならば目的は達成したも同然で、もういいだろうと帰ることもできたんだけれど、残念だ。

「ス――ストレートフラッシュ」

 なんのことはない、こんなもんだ。下手なディーラーは勝たせて、上手いディーラーは負かせる、とはよく言ったものである。

「乗ってきたね。どうだろう、僕とサシの勝負をしないか?」

 隣の男に向けた声に、逡巡する振りを見せ、いいだろうと男は言う。たぶん、彼がディーラーとして立てば、彼よりも腕はあるだろう。それに、こうした方が勝負は早い。夕食に間に合わないようでは面倒だ。

「ディーラー、新しいカードセットを一つ、僕の前に並べてくれるかな。ルールの基本は同じ、ただし君と僕が交互にカードを引こう。僕は今ある全額を賭ける、君もあるだけでいい。どうかな?」

「受けます」

 にやりと男が笑うと、観客たちが盛り上がる。これで勝っても負けても、観客の印象には残るだろうし、まあいいか。

 彼は席を一つずれて距離を置き、その間にディーラーがシャッフルしたカードをずらりと並べる。やれやれ、君もまた懲りないね。

「じゃあ、お先にどうぞ」

「……では遠慮なく」

 好きなカードを選択できる場合、初手が有利だ。そのため僕は、相手に譲る。余裕ではないけれど……そもそも現時点で彼は負けるはずがない、と考えているだろうし、あるいは事実なのだろう。ギャンブルの基本は胴元側と勝負をするな、である。

 けれど、残念かな、そこに落とし穴もあるのだ。

 最初の一枚はクローズド。僕も一枚を引く。

「次は自分のオープンか」

「ええ」

 男の手元にダイヤのジャック、僕の手元にはクラブの8だ。

「胴元側のオープンカードになります」

「どうぞ」

 すらりと伸びた手が選択して表に出したのは、スペードのエース。思わず笑ってしまった僕は、次もオープンカードだねと言いながら一枚を選択した。

 ハートのエース。ハイカードの連続に加え、すでにワンペア。けれど反応しているのは観客ばかりで、僕たちは当たり前のように次の動作へと移る。

「続いて、自分側のオープンカードですね」

「三枚目だ」

 彼が選んだのはスペードのクイーン。引きがいいねと無駄口を叩きながら続けた僕の手元には、クラブの2が置かれた。

「胴側の三枚目は、君だよ」

「わかりました」

 彼がめくったのはスペードのジャック。やれやれだ。

「最後の胴側を先にどうぞ」

 くつくつと笑ったまま僕が一枚をめくると。

「なんだ、僕もなかなか引くじゃないか。ダイヤのエースだ」

「……」

 ハイカードの応酬に、イカサマという単語も観客からちらほらと聞こえる状況で、彼はしばらく僕を見て余裕のある表情を消した。僕はそれを知りながらも、笑ったまま受ける。

「いいよ? ここで降りると言っても、僕は構わない」

「…………いいえ」

 ラストカードです、と言って一枚を引き、残念だよと言いながらも僕も一枚を手元に置いた。

 親のところには、スペード、ハード、ダイヤのエースと、スペードのジャックが見えていて。

 彼の手元にはダイヤのジャックとスペードのクイーン。

 僕の手元にはクラブの8とクラブの2。

 お互いにクローズドカードは二枚だ。さて、結果は?

 この時点で観客は静かになった。察しが良ければ、僕が勝てるはずがないと思っているだろう。それは正解、この勝負が成立した時点でそれは決まっていた。

 けれど、だからこそ気付いて欲しい。決まっているものを覆すからこその、イカサマだってことに。

「ロイヤルストレートフラッシュです」

 男が手元のカードを広げた瞬間にどよめき。見えていた結果なのだから驚く必要もないし、どうやって作ったのかもわかった僕は、ゆっくりと立ち上がった。

「ははは、面白くもない勝負だ」

「そうでしょうか」

「楽しかったかな?」

「……まだ勝負は終わっていません」

「終わっているよ。君が僕の条件に承諾した時点で、この結果は見えていた。だからこれで終わりだ、そうしないか」

「御託は結構、カードのオープンを」

「やれやれ……」

 最後に、ようやく手元のカードに視線を落とした僕は、観客にも見えるよう、僕と彼の間に見せつけるよう、カードをオープン。

 一枚目はクラブのエース。フォーオブアカインド――その瞬間の安堵に、僕は笑って最後のカードを見せた。

「な……!」

 ここでは使われないジョーカーの絵柄が、僕の笑みに似た性質の顔をして、そこにはあった。わかるだろう? そのジョーカーが、君たちの使っているカードの中に含まれている絵柄だってことはね。

 ワイルドカードを使った、ファイブオブアカインド。

 まったく……自分がイカサマをすれば勝てる、そもそもが負けない状況だという確信が、隙であり慢心で、イカサマ返しをされるなんてこと思いもしないから、状況に甘んじるんだ。このくらいの手口、賭場じゃなくたってやるさ。

「だから言ったじゃないか、面白くもない勝負だってね。もっと腕のいいディーラーが入ったらまたくるよ」

 茫然としている男の肩にぽんと手を置き、それだけを伝えてから僕は記録も取らず、結果としてはエクスチェンジしたぶんの損失を抱えたまま外に出た。慌てたようについて来る古宮とリイディには気付いていたし、いくら僕の存在を警備部連中に印象付けるためとはいえ、騒がしい連中に囲まれたくはない。

「ん、時間的には良いかな。どうする? 僕は正晴に連絡を入れて食事にするつもりなんだけど」

 返事がなかったので、とりあえず正晴にメールを送っておく。眼前にスフィアがあるのだから、すぐにでも違うところへ行きたい気分だ。追いついてきて、あれこれ詮索されるのは面倒すぎる。

「おーい」

「え、あ、うん。――ええ!?」

 反応が遅いなあ、古宮。そんなに現実が受け入れられなかったのかな。大したことはしてないのに。

「ちょ、あんた、え、なに? なんなの?」

「とりあえずファミレスにでも行こう」

 ぐだぐだ話すのは嫌だったので、率先してスフィアで移動すると、二人もすぐについてきた。その頃にはリイディも思案顔から、いつもの、にやにやした表情に戻っていた。とりあえずはと、品目の多いファミレスに入って軽く注文しつつ、僕たちは席に座る。人に発見されやすい窓側ではなく、奥だ。そこでどうにか平静を取り戻せたのか、古宮も深呼吸をして落ち着いている。

「にやにや、儲けることが目的じゃなかったんねえ」

「それもそうだけど、なに、最初っから手元も見ないで――え? いや、なんなのこれ本当に」

「なにって、ただのギャンブルじゃないか」

「や、勝負放棄してたみたいじゃない」

「大した目的もなかったから、それならそれで構わないよ。ただ結果として、ああなってしまっただけだ。――リイディが睨んでる通り、僕が望んで引いた状況だけれどね」

「先に言われちまったぜい」

「古宮はギャンブルに向かないね。リイディはそれなりに場を見てたけど、賭け事には慣れてなさそうだ。となれば狙いは常連。流れを見てオールインを仕掛けた時に、勝負してくるのを相手にすればいい」

「あんたね……全額賭けなんて、普通は誰もやらないっての。勝てるって思った時は失敗するってジンクス、知らないわけ?」

「ジンクスじゃないよ、事実だ。だから僕は、勝ち負けなんて二の次だったってわけさ」

「でも勝ったじゃないの」

「そりゃ僕の方がツイてたってことだよ」

 食事が運ばれてくるが、どうやらまだ話を続けたいらしく、食事に手をつけたのは僕だけだった。

「だから、勝てるって思った最後の勝負は、あいつが負けたんだねい?」

「それよ、それ。アレなんなの」

「なにって――あ、正晴だ」

 片手を挙げると気付いた正晴が足を止め、傍にいる二人と僕の恰好にどうすべきか百面相で迷ったが、躊躇したように注文をしたあとにこちらへきた。

「おい紅音、なんだそりゃ」

「リイディが選んでくれた服だよ。似合ってないかな? ペアルックなんだ、嫉妬してくれてもいいよ」

「しねえよ。ペアルックってほどでもねえし、似合いすぎててどうかしてる――ん? なんか話してたか?」

「ちょっとカジノでね」

 情報を整理したいのか、古宮がざっと状況を説明する。そして。

「幻覚でも見たんじゃね?」

「馬鹿、んなわけないでしょ。――それより紅音、最後の勝負についての続き」

「にやにや」

「あんたも笑ってんじゃないのリイディ。すっきりしないから話してよ」

「そう難しいものじゃないよ。そもそも、ポーカーは子同士の勝負が多くて、ディーラー側に儲けがあまり出ないんだ。だから、胴元側は子として紛れ込んでくるし、状況が偏るようならイカサマをしてでもバランスをとる」

「おい、ディーラーがイカサマなんかすんのかよ」

「認識不足だよ正晴。カジノでのイカサマなんてのは当たり前だ。カードでもルーレットでもね。ただ、そう頻繁に使うわけじゃないし、使うところは見せない。――どうしてか、わかるかな?」

「ギャンブル勝負じゃなく、イカサマ勝負になるからだねえ」

「その通り。だからディーラーのイカサマは見抜くのが難しいし、子にはそもそもイカサマをやらせない体制を作ってる。どこのカジノでも同じだよ。だから僕はまず、ディーラーの腕前を見極める必要があったわけだ」

「ああ……だから、手元のカードを見もしないで、ディーラーばっか見てたのね」

「カードさばき一つで見抜けるものもあるし、僕がそういう人種だってことを認識させるのも一手だよ。だから、僕の認識が逸れた――最期から一つ手前の勝負で、彼はイカサマを仕掛けた。そこで腕前は見極めたから、後は僕のイカサマがどの程度のものかってわけさ。結果としては、まあいいんじゃない。勝ち金も全部おいてきたし、次はたぶん行かないから」

「わっかんねえな……そりゃともかく、ラストはカードを並べて引くって形だろ? ロイヤルフラッシュを作った野郎も野郎だが」

「イカサマで作ったのは、わかってたんだねえ」

「そりゃそうさ。新しいセットをシャッフルさせたのだって、逆に言えば僕のイカサマのためだ。私服だったけどディーラー側の人間が相手だったし、サシを仕掛けた時点で僕にはわかってたよ」

 まあ、全カードを把握できていたなら、あそこまで動揺しなかっただろうけれど、さすがにそこまでは無理か。麻雀ほど数がないとはいえ、全部は――まあ、難しいのだ。

「わかるのかよ」

「そりゃ乗ってきたんだ。流れとしてツキは僕にあるなら、ギャンブル勝負では負けが見えてる。だったら後はイカサマ勝負に持ち込むしかない――博徒としては、当たり前の考えだよ」

 僕は博徒じゃないけれどね。

「だからってファイブオブアカインドって……」

「小さい数字を出したのは、油断を誘おうと思ってね。最初から全揃えをすると、カードの位置を知っていると感付かれる。まあツキがあるのは示してたから、最後まで疑問に思わなかったみたいだ」

「最後の二枚がエースにジョーカーね……」

「でもあそこのカジノ、ワイルドカードは使ってねえんだろ?」

「だからこそ、イカサマ勝負としては落とし穴がある。使ってない、だからあるはずがない――彼もそう思っていたんだろうね。イカサマ勝負なら、どんなことも想定していなければ負けるのに。なにしろイカサマは、想定することが勝負だからね」

「でえ? アカはどうやって持ってきたんだい?」

「さあ、どうだろうね」

「つーかそれ以前に、エースの位置もわかってたんだろ?」

「それは、まあそうだね。教えてもたぶん使えないだろうけど、訓練すればどうってことはないし……あまり褒められた手管じゃないからね。カジノはギャンブルをするところだ、イカサマを身に着けるなんてのは邪道だよ、しない方がいい。でもそうだな、消化不良ってこともあるし、エースの位置くらいは教えておこう」

「おし、聞かせろ」

「うんうん」

「聞いても、できないと思うけどねえ」

 やはりリイディは予想がついたか。この思考能力と発想は少しばかり厄介か……僕と同じ匂いがする彼女が敵対したなら、迷わず排除しておこう。

「開けたばかりのカードは順番が最初から決まってる。それを覚えておいて、シャッフルを目で追ってどこに何が移動するかを確認するだけでわかるよ」

「わかるかよ!」

「同感、聞いて損した気分……あ、でも、相手がわかったのは?」

「なんだ、それも気づかなかった? あれは簡単なマークだよ。シャッフル時にディーラーが指紋をいくつかつけてたから」

「実感はねえけどな、随分と慣れてやがるじゃねえか」

「昔は友人に誘われてやっていたからね。良い暇潰しだよ」

 ギャンブルは戦場にも稀に訪れる。そこを生き抜くためには、そういう知識も役に立った。何しろ流れ弾一つで死ぬ現場だ、幸運であることは非常に重要なのである。もちろん、そんな危機的状況に陥らないのがベストだが、命令如何では状況も変わってしまう。よく聞く話だが、いくら兵士が優秀でも指揮官が馬鹿ならば、どうにもならないのだ。

 そして、ああ、今さらだが僕はギャンブルとの相性が良い。何しろ、――どうでもいい、そうやって勝負があっさり捨てられるから、勝ち負けに拘泥しないから、結果を望まないがゆえに、そもそも勝負にならない状況を作れてしまう。最初から、初手から、同じ盤面にすら乗っていない。

 僕は、盤面の外からギャンブルをしているようなものだ。勝ってもおらず、負けてもいない。だから――。

 ――そんなだから、お前は。

 彼女は、僕の友人は、いつだったか鼻で笑って核心をあっさりと突いたんだっけか。

「そんなだからお前は、一つの目的すら達成できねえんだ」

 うるさい、大きなお世話だ。


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