--/--/--:--――円つみれ・手土産と謝罪

 翌日のことである。

 疲労がまだ抜けきれていなかったつみれだが、倒れるほどではなかったため、学園に顔を出していたのだが、授業を受けていても身にならないことがわかったので部室へ顔を出すと、既に二人がいた。

「きたかつみれ」

「んー……って、ミュウはまだ作ってるし」

「まだ、ではない。まただ。今度は金剛型を揃えるんだと……」

「伊号は結構揃ったんだっけ」

 部室の隅にあるガラスケースを覗き込むと、さすがにプロほどではないにせよ、それなりに色彩も整った軍艦が揃っている。うんうんと頷きながら見ている間に白井が珈琲を淹れてくれていた。

「早業かい……」

「接着剤が乾くのを待っている時間がな。落ち込んでいるミルエナの相手をするよりはいい」

「なにを言う。私は確かに落ち込んでいたが、年齢のことではない」

「ああうん、そっちじゃないんだ。昨日のことだってのはわかってるけどね」

「反省はしたとも。そこで連絡を入れたら、明日には楽園への移動手段を確保してくれるそうだ。どうだつみれ、ミュウ、くるんだろう?」

「もちろん」

「……それはそれでいいが、俺が行く気になるような情報を寄越せ」

「む、言うようになったではないか。ついては来るつもりだが、それなりに前向きにさせてみろと?」

「そういうことだ」

「うむ、それならば朗報があるとも――なんだその目は、警戒するな。本当にこれは面倒事ではなく朗報だとも。私が鈴ノ宮に顔を出した時、残念ながらスティークはもういなかったのだがな。仕方なく当主に話を持ちかけたわけだ」

「まあそうだね。どうだったの?」

「ちょうど、イギリスへ輸送するものがあるそうで、同乗なら構わないとのことだった。聞いて驚け、――重雷装軽巡洋艦、北上だ」

「なぬ!?」

「レプリカの譲渡か……曳航でもするのか?」

「いや、購入を検討しているそうで、商品を見せに行くらしい。曳航ではなく、北上での航行だ。鈴ノ宮にいるジェイル・キーアを知っているか?」

「ああ」

「よくわからんが、リハビリと称して艦長に就くそうだ。――どうだミュウ、楽しみだろう?」

「マジ楽しみ!」

「実際に見るのは初めてだ、文句はない」

「そっかあ、北上かあ。空母とかのレプリカ、ないのかなあ、そっちがいいなあ」

「なにを言う、高速の駆逐艦こそ有用だと何故わからん。水雷戦隊が外洋を進んでいる姿を何度想像したか」

「鼠輸送の専門がよく言う。航空戦艦以上の有用性があるものか……」

「へえ、低速戦艦じゃん。どっちつかずに感じちゃうしなあ」

 なんだかんだで派閥ができていて、会話が弾む――のだが。

 ノックがあった。

 しかも、入れの声を送るよりも早く、言葉が届く。

『――自分は北上きたかみ響生ひびきであります! こちらに円つみれさんがいらっしゃると聞きましたが、おられますでしょうか!』

「ほう、なかなか良い声だな。――入れ!」

『はっ!』

 扉を開いて入ってきた男性は、小柄で細身だった――が、禿頭である。きっちり一歩だけ前へ出て停止、直立。視線はやや上を見ており、両手を腰の裏で組んでいた――が。

「邪魔、入れない」

「ぬっ……」

 後ろから蹴りを入れられてよろけ、その隙にするりと女性が入って来て扉を閉め、横に並んだ。

「うむ、二人か」

「は、自分は七草ななくさヘイキュリー。北上の随伴であります、マァム」

「ミルエナ・キサラギ少尉だ、休め」

「あーうん、北上さんもハコさんも久しぶり。そのテンションは疲れるから、普通にして欲しいんだけど……」

「諒解。――んで、つみれさんマジすみませんっしたぁ!」

 どこからともなく取り出した小包を両手で持って腰を曲げる北上の姿に、つみれは苦笑する。横目で見れば、白井が立ち上がって珈琲を二つ淹れていた。

 間違いなく、ラジオパーソナリティのPS本人だ。本気で謝罪にくる辺り、臆病というか律儀というか。

「聞いてたし。っていうか、あのくらいで謝らなくてもいいのに」

「いやあ、まずいこと言ったのは俺なんで。それにほら、連理さんと火丁さんだけってわけにも、いかないじゃない。いや遅れたのは悪かったと思ってます、マジで」

「はいはい、諒解。ありがとね」

 小包を受け取って、テーブルに置けば、さっそくミルエナが開封にかかる。立ったままというのもあれだったので、空いている席に座るよう指示した。さすがに、元軍人とはいえ一般に近いため、誰かの指定席である、とは考えなかったようだ。

「というか、ハコさんって、ヘイキュリーなんて名前だったの?」

「ん、一応ね。略称ってわけでもないんだけど、ハコって響きが嫌いじゃないから使ってるの。このヘタレが、一人じゃ怖いからついてきて、なんて泣きついてきたからさ」

「ははは、それは本格的にヘタレだな。リアルタイムではない場合もあるが、ラジオも聞いているぞ。もちろん、二人が出ているものだとも」

「ありがとうございます、マァム。っていうか、少尉殿がいらっしゃると小耳にはさんだので、さすがに一人でくる勇気がなかったんだけどね、俺。直接の知り合いじゃないにせよ、上官ってのはこう、背筋が凍るっつーか、なんていうか」

「……同業者で、同期。舞台にも上がったか。嘘ではないな」

「そういうこと――なんだけど、白井さんだっけか」

「そうだが、なにかあるのか」

「いやいや、初めましてってことで。名前だけしか知らなかったからね」

「……そうか」

「っていうか、ハコさんが同期ってのは聞いてたけど、本当に軍の人だったんだ……新事実発見って感じ。というか北上さんも、あたしんとこくる時ってこの前もハコさんが一緒だったよね」

「いろいろ偶然が重なった結果だって。あ、ちなみに階級は元ってことで、なしでよろしく。ハコさんは学校行ったけど、俺は現場出てて、退役する時は一緒だったけど階級は違うって感じ。――お、珈琲美味しいね。ブースに持ち込んだら怒られっかな、これ」

「基本、ペットボトルだけだものね。それにしても、自転車に軍艦の模型とか……ここ、模型部じゃないのよね。自転車部でもないし」

「生態調査部だっけか。つみれさんがなにか新しいこと始めたんかな? くらいには思ってたけど――あ! そうそう、ライブ聞いたし見たよ。かなりテンション上がっちゃった」

「私も現場にいた――ま、誘ってくれた響生には感謝ってところ」

「わお、ハコさんにそう言われると嬉しいね! いつも冷たい視線にさらされてる俺としては、逆に落ち着かなくもなるけど。――ところでつみれさん」

「ん、なに?」

「連理さんとこ、まだ行ってないんだけど、こう、あれだ、そのー、なにかない?」

「ない。諦めるコツは――ミルエナ、どうぞ」

「うむ、自決用の一発は最後まで残しておくものだ」

 参考にならねえと、北上は頭を抱えた。その様子を、ちょっと楽しそうに、けれど他人事のように見ながら七草は珈琲を飲んでいる。

「さて、落ち着いたところで確認しておくが、誰から私のことを聞いたんだ?」

朝霧芽衣あさぎりめい上級大尉殿であります、マァム。自分もハコさんも、現役時代に世話になった方なので、今でも交流があります」

「なるほどな。あの女ならば知っていてもおかしくはないか」

「最近では子供たちを遊ばせているとか。余程暇なんでしょうと言ったら、しばらく立てなくなるまで殴られましたね。私も本当に一言多い……」

「あー、その子供たち知り合いなんだけど、二人から見てどうなん、あれ」

「どうって……、おう、あぶねえあぶねえ。下品な言葉が出るとこだったぜ」

「毛も生えそろってないガキが、何をいきがって、みたいな感じよね」

「ハコさん!? せっかく俺が思っても言わなかったことを、そんなずばっと!」

「口が悪いのはお互い様でしょ」

「いや、二人ともラジオやってんじゃん……」

「日本語だと口調を規定してるから。たまに二人で飲みに行くと、共通言語イングリッシュで酷いことになってるよ――飲んで忘れるけど」

兎仔とこさんのことも知ってる?」

 問うと、ぎくりと顔を強張らせた二人は、お互いに視線を合わせて、ぎこちない動きでつみれを見る。

「あ、まずかったかな」

「いや構わんだろう……」

 タッチパネル形式の携帯端末をテーブルに置いて、軽く操作していたミルエナは、苦笑しながら言う。

「北上は六一一六、七草は六一一一だ――ちなみに兎仔は六一〇九、つまりこの二人の上官だな。つみれ、〝見えざる干渉インヴィジブルハンド〟の組織形態は知っているな?」

「そりゃもちろん。六〇は〝忠犬〟で基本はオールラウンド。三桁ナンバーで、六人構成だっけか。その下部に四桁ナンバーが実働っていうか、部下として育成される。だから二人は、二桁でも数字が高いから、結構成績は良かったってこと?」

「うむ。もっとも、実戦などにおける結果が全ての実力優先だったからな。一芸に秀でていても、それはそれで成績になる。む、なんだアキラの評価まで掲載されているぞ」

「うっわ、うわっ、ちょっ、マジ勘弁してくださいって少尉殿! 過去を暴かれるほど情けねえことはないんですから!」

「ついてきた私が馬鹿だった……」

「ははは、無粋な話だと。これ以上はやめておけつみれ――ところでミュウ」

「なんだ……塗料の匂いが気になるなら窓を開けろ」

「そうではない。ミュウ、この二人を知っているか?」

「どういう意味だ」

「忠犬の末席にいたことを知っていたのかと聞いている」

「なんだ、そんなことか。――知っている。ガーヴの関連情報だ」

「――え?」

「ちょっと待ってくれ白井さん。ガーヴって、あのゴーストバレットだよな? 聞き捨てならねえってそれ――話の流れだと軍曹殿が、ガーヴだって言ってるように聞こえるんだけど?」

「そう言っている」

「ああ、そっか。上官だからって、知ってるとは限らないか……まあ、ミュウは直接やりあって生き残ってるもんねえ」

 ぱくぱくと口を動かしていた二人は、その言葉を聞いた瞬間に背筋を伸ばし、凍りついた。その気配を知りながらも、こちらはすべて受け流す。

「つみれに届かない俺を、誰と比較したって同じだろう」

「それを言われると私も弱いな……」

「なに言ってんの。あたしとは分野違いじゃん――あれ、来客かな? 珍し」

「噂をすれば影、だ」

 白井は気付いていたのか、そのまま作業続行だった。それからすぐに扉が開き、顔を見せたのは噂の人、潦兎仔だ。都合が良いというか、二人にとっては参る話だろう、姿を見た瞬間に慌ただしく立ち上がり、手を後ろに回して直立した。

「あー?」

「やっほー、兎仔さん。どったの」

「どうしたの、じゃねーだろ……なにしてんだお前ら」

「は、お久しぶりであります兎仔軍曹殿! 自分は、つみれさんにご用がありまして、足を運んだ次第であります!」

「自分は北上の随伴であります、マァム! ご無沙汰しております!」

 入室時よりも声が大きい。さすがにラジオをやっているだけあって、発声も腹式だ。兎仔はすぐに扉を閉めるが、うるせえなあ、なんて言いながら頭を掻く。

「あ? そういやお前ら、あれ以来になんのか……平和ボケしてんじゃねーかと思ってたが、それなりに維持してんだなあ」

「は、自分も七草も、以降は予備役として登録され、ある程度の自由は保証されましたが、国内での仕事をしておりましたので」

「今じゃ元軍人ってか……で? 円への用事は終わったのかよ」

「はっ」

「だったら散れ、散れ。また次の機会を作ってやっから、話はそん時にな……」

「諒解であります、マァム」

「楽しみにしております、軍曹殿」

 二人はそのまま一礼し、更に退室時にもしっかりと声を出してから頭を下げて去った。けれど、なんというか。

「慕われてるって感じだね。怖がってはいないみたい」

「おい円、あたしを何だと思ってんだ……これでも、あんまし殴らねーいい教官だったんだぞ」

「うん、あの二人を見れば納得だけど。でも兎仔さん、六一〇九なんだね? てっきり三桁かと思ってた」

「あたしは楽園の槍から出向したケースだしなあ。面倒なのもあって、適当にしてたら、朝霧さんに捕まって最終的には一〇九まで上がっちまったんだぞ。それ以外も世話にゃなってんだけどな……」

「それでも、一桁と二桁では大きな壁がある。四桁と三桁の壁よりは小さいがな。もっとも、私の所属する〝かっこう〟など、四桁に悟られるような三桁は一人もいなかったが」

「そこまで擬態してたんだ」

「はっ、ほかの三桁に見破られるようじゃ、かっこうと言えどもってやつだぞ。情けねえ」

「昔のことだと水に流しておけ」

「おいガーヴ、座る前に珈琲ならてめえでやれ」

「おー」

「珍し。いつもミュウがやるじゃん」

 俺だって相手を選ぶと言いながら、作業が一段落したのか、作りかけのパーツをいくつかにわけた箱に入れた白井は、北上の持ってきた和菓子に手を伸ばす。

「軍人崩れは騒がしくて面倒だ」

「つい、口を封じたくなるってか? おい海の蠍シースコール、てめー抜けたんじゃねーのか」

「海賊と比べれば大人しいが」

「はッ、潮臭くねーだけマシだとでも言いたいのか、あー?」

「……面倒だ。で、何をしにきた」

「ちっ、てめーちょっとは喧嘩買えよ」

「喧嘩を売りにきたのか……それなら余所でやってくれ。たとえばミルエナとか」

「こいつは駄目だぞ。何しろ手札が八割がたわかっちまってる。おいクソッタレ、てめーに未熟で空薬莢拾いがお似合いだって言ってんだぞ、ちゃんと聞いとけ」

「いや本当、なにしにきたの兎仔さん。マジで喧嘩売りにきたの?」

「ちげーよ、真に受けんな。あたしはいつも、こんなもんだぞ」

 ちょいと気になることがあったんだよと、兎仔も和菓子に手を伸ばした。

「お、うめーなこれ」

「北上さんが、わざわざ詫び入れにきたから。ありがたい話だよねー、ラジオでちょっとネタにしたくらいで。あたしっていうより、連理先輩が怖かっただけだと思うけど」

「ああー、そういやたまに学園で流れてんな、あいつの声。ラジオか、いいんじゃね。楽しんでれば。ああいう本格的な軍人崩れは、同級生にゃわかんなくても、同類は匂いでわかっちまうからなあ、面倒を起こして隠居してるんじゃなけりゃ、あたしも心配はねーぞ」

「その匂いを消すのが、三〇の本分なのだがな」

「おー、それも理由の一つだ。足、ちゃんと洗えたんだってな」

「厳密にそうだとは頷けんが、ほかの躰を使わないことにはなったな。私のメリットを封じられた形ではあるが、なあに、その程度のことでしかない」

「つーか、ミルエナの場合は一定の領域を越えちまった相手を盗めねーだろ……」

「それって、境界線ってやつ?」

「だな。つーか、戦闘技術だけでも越えてるやつらは大抵、内世界干渉系の術式への対応策なんて、考えるまでもねーってくらい、張り巡らしてあるんだろ。あるいはそこを逆手に取るってとこも含めてな」

「兎仔さんも?」

「あたしもしてるぞ、当然だろ。蠍だってやってんじゃねーのか?」

「まだ効力を試したことはない」

「ほら見ろ、やってんじゃねーか」

「んん……現身の術式がそう簡単に防げるとは思えないんだけどなあ」

「そらそーだぞ」

「簡単にできるなら苦労しない。それに今のミルエナは、そもそも現身を使わない」

「いや、使ってはいるがな――と、また話が逸れていないか? 兎仔、なにをしにきたんだ」

「あたしは鷺城と違って、本題を先に解決しようとしねーんだ。べつに忘れてるわけでも、意図して引き延ばして楽しむような、ブルーみたいな性根は持ってねーぞ」

「蓮華さんは単純に、いつ気付くんだこいつ、みたいなことを考えながら待ってるだけじゃないかなあ、あれは」

「知ったようなこと言いやがって。――でだ円、お前だよ」

「え、あたしなの?」

「おー、ちょいと妙なことに気付いたからな。お前、イヅナに逢ってるか?」

「――」

 思い返す。

 どうだろう、最近、ずっと顔を見ていないんじゃないか……?

「この前に鈴ノ宮では確認したが」

「蠍が? そりゃまた縁が合ったもんだ」

「……逢ってない」

「だろうなあ。ったく、妙な流れだぞ……まあいい、その確認だけだ」

「ほう、それだけか? そのためにわざわざ足を運ぶとは――うむ、わかっているとも。お前にとってそれだけ重要な案件であることは理解している」

「暇だったんだよ。マンション麻雀とか、最近禁止してるし……」

「兎仔さん、それはないよ、うん……」

「む、場所を聞こうとした私は駄目か?」

「いや自分の金で好き勝手するなら、あたしは介入しないけど、高レートに足しげく通うようじゃ、ちょっとなー」

「……あいつらと親睦を深めるのに雀荘はやめとくか」

「うん、やめといてあげて。いや喜ぶかもしんないけどさ……」

「で、そっちはこれから楽園だって?」

「さすがに耳が早いな。どうだ兎仔、どこから聞いたか話す気はないか?」

「ねーぞ。そんくれー調べろよ」

「私は学生なのでな、行動範囲も自然と狭まる上、なにか勘違いしているようだが、私はそもそも狩人ではない。便利な情報網を所持しているわけでも、作ったわけでもないのだ――うむ、言っていて悲しくなってくるな」

「だったら改善しろ。つっても、情報集めなら蠍のが領分だろ」

「ガーヴ、見透かしたようなことを言うな」

「事実だろ。てめーの動きはこっちにも聞こえてんだぞ。いい迷惑だ」

「そんなことまでは知らん」

「もしかして、兎仔さんも同乗すんの?」

「なんであたしが……頼まれたってごめんだぞ。――あ? イギリス行きで一番近いの、海路だろ。そっちに便乗すんのか」

「よく知ってるね。うんそう、軽巡洋艦に乗るんだー、楽しみだなあ」

 そうだ、そのくらいの楽しみがなければ、やってられない。

 それほどまでに、昨日に仕入れた知識は重かったのだ。忘れることはしないが、多少は上方修正をしておかなくては追いつかない。

 愛知県野雨市、その根幹に当たる部分。

 その全体像を把握したなどと、口が裂けても言えないけれど、その片鱗は見えたし、とっかかりもできた。

 であるのならば――今度は。

 つみれが、円つみれとして、魔術師としての己を、見つけたい。

 何しろ未だに術式の使い方すら、己が魔術師であるとすら思えないような状況なのだ。まったく、どうしてこの一つの問題を解決するのに、これほどまでに遠回りをしなくてはならないのだろうか。

 ――あるいは。

 その答えは、ここには落ちていないのだろうか。


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