10/17/21:10――アブ・都綴の柱

「魔力波動――違う、呼応する術式か!」

 野雨市内にあるつれづれ寮と呼ばれる建物の内部、全身を弛緩させて奥歯を噛み締める都綴六六を前にして、アブもまた己の中から魔力が渦巻き勝手に術式を稼動させるのに気付いた。

 躰から炎が吹き上がる。だが、強引に制御するまでもなくその炎は実体を持たず――物品、あるいは物体を決して燃やさない。

「答えられるか六六!」

「ええ……なんとか」

「野雨市にいる分家を含めた橘の数は、いくつだ!」

 五つと。

 魔術的な意味合いの強い言葉を放った。


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