　外周から初めて一筆で描いた儀式陣が、ゆっくりと完成に向かう。蓮華の歩みは中央へと近づき、運動場全域を使った陣がようやく、筆が唯一重なる中心点にて終わりを告げた。

「間に合ったか？」

　それはおそらく、言葉が聞こえる全員に放ったのだろう。もちろん数えられる程度には少ないが、その対象には蓮華自身も含まれる。

　――間に合ったよなァ。

　あるいは、間に合わせたのか。

「始めるぜ――クソッタレな世界に、抵抗すッからよ！」

　ばきんと、杖が折れるのと同時に中心部から外周に向けて碧色の光が式陣を浮かび上がらせた。

「――来い！」

　まずは、世界と呼ばれるモノと繋がりを持つための門を開かなくては。

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