05/24/14:00――一ノ瀬瀬菜・若夫婦とか天誅下れ

 さすが、としか瀬菜は言いようがなかった。

 私服を買いに並んで店に入って五分と少し、ざっと全体を見た華花は予算を訊ね、特にないが上下合わせて十着以内と制限を告げた直後、あれこれと手渡されて入店十五分後には完了した。

 ちなみに華花は瀬菜の趣味など知らない。

 だが買い揃えられたのを見て文句はなかった。それどころか少し挑戦する感じのが二着、普段着として問題ない五着、組み合わせ次第でどうとでもなるのが二着と、バランスが非常によく非の打ち所がない。

 その全てを直感だけで行っているのだから、もう、さすがと云う瀬菜の評価に一切の誇張はないだろう。

 時間もあったのでその流れのまま、商店街から少し離れている喫茶SnowLightに足を踏み入れた。かつては大名行列などが行われた古い場所に近く、それほど人通りが少ないわけでもないが、昼を過ぎている時間帯であったため席は空いていた。

 大音量で音楽が流れているのにも関わらず、煩くは感じない。巨大なスピーカーと構築されたシステムが良いのだろう。

 瀬菜はステレオに詳しくはなかったのだが、蓮華の趣味もあり、また瀬菜自身がジャズを聴くため、最近ではそこそこ興味本位に知識を蓄えている。

「お待たせしました。アメリカンとラテです」

 窓際のテーブル席に座ったのは、スピーカーの丁度対面になるからだが、その辺りを華花が察しているかどうかはべつだ。小柄のウエイトレスは私服の上に黒色のエプロンを着用しただけの簡単なもので、それぞれに置いてから営業用ではない微笑みを浮かべた。

「お久しぶりです瀬菜さん。リク入ってないけど、どうする?」

「貴女、機械苦手なの直ったの?」

「ううん。だからまあ店ちょがやるんだけど、まあ暇だしだいじょぶでしょ。うんうん」

「……そう。ならポール・デイヴィスのクールナイトを」

「はあい。じゃごゆっくり」

 ひらひらと手を振って去る知人に、もっとちゃんと仕事しろと言いたかったがさておき、ラテを口にしてほっと肩の力を抜いた。カウンターの中から出て来た店主に軽く手を上げておき、さて。

「付き合ってくれてありがとう華花」

「え? うん、約束だったし。あたしもせっちゃんに迷惑かけちゃったから」

「馬鹿ね、迷惑なんていいのよ。私が好きでやったことなのだから、ね」

「ありがと。――ね、ちょっと聞きたいんだけど、れんくんってどうなの」

「どう……とは、どういう意味かしら」

「だってあれ、せっちゃんには悪いけどあれだよ? 怖いくらいとんでもないよ、うん。鬼や悪魔って形容がまさにしっくりくるくらい。二つ名は搦め手、座右の銘は迂回こそが王道、みたいな」

「面白いことを言うわね。筋は通しているし、当人の意志を曲げてはいないと私には言っているわよ?」

「それ、筋を通してるだけだし、当人の意志を曲げてないだけで、他は内緒だよってことじゃない」

「そこに突っ込まずに頷くのは連れ合いとして悪いことではないもの。それに、――私も一応は経験者だから知ってるわ。不器用な部分もよ」

「うわ……え、なに、本当に夫婦なの?」

「そうだと――ああ、あの時は直感が働かなかったわね。ええそうよ、私は蓮華に惚れてるわ。おかしいかしら?」

「や、どんだけ熟年夫婦だーとか思うくらいお似合いなんだけどさ」

「なんだけど?」

「うーん……距離感、かなあ。あのさ、せっちゃんってあの一ノ瀬なんでしょ?」

「あら」

 直接聞いたわけではないのだろうと、瀬菜は思う。おそらく他の武術家との関係で名を耳にした程度で――直感がそれを繋げたわけか。

「そのことを聞きたいのね?」

「……あ、今なんか読んだでしょ」

「状況と事情を一通り察した上で順序を飛ばしただけよ。簡単な話術なのだから気にしなくてもいいわ。処世術、仕事してると言ったはずだけれど?」

「そだね。まあいっか。えっと……あれ、でもどの辺りまで突っ込んでいいのかわからない。せっちゃんの事情もあるし」

「そうね。察している通りに私はもう一線から退いているわ。一ノ瀬流も、扱えるけれど使う気はほとんどないわね。裏に関わる気もない、今の私は知識だけを持っている一般人かしら」

「うん、あのさ――武術家って、何なの?」

 また漠然とした問いだなと思う。おそらく大雑把な説明はされただろうに。

「そうねえ……武道と武術の違いについて、どうかしら」

「違うのはわかるけど、何がどうなのかは微妙かな。たださ、武道と違って武術は――扱うのを前提にしてる。戦闘……は、だから妖魔の討伐ってことか。仕事ってより生活かな」

「古臭い風習よね。その問いに対する返答は、だからこそ個人によって違うものよ。私ではなく、問いたい本人に訊きなさい」

「そうなんだけどさ、んーなんか引っ掛かってるんだよねえ。あ、妖魔については?」

「妖魔は、人の天敵ね」

「ん……えっと、一概にそう、とかじゃなくってさ。たとえばどこにいるとか、どうやって発生してるとか、なんで存在してるとか」

「知って、どうすると云うのかしら――いい? どれほどの知識を蓄えても、華花は武術家になれないわ。そして知識があれば怪異を引き寄せることになる。今の華花にとって知らないことは損失かしら」

「んー、損ってわけじゃない。でも、どうしたらいいのかがわからなくって」

「違うわね。最初は、まず、――華花がどうしたいのか、よ。目標、目的、呼び方は何だっていいけれど、まずは足を踏み出す理由がそこにあるでしょう? それがなければ、そもそも知ろうなどとは思わないのだから」

 既にあるものを意識しろと云ったのだが、しかし愚問だったか華花は頷いて言う。

「あたしは涼のとこに行きたい」

「……そう」

 誤魔化さず、素直に、そして的確に。だからこそ前提条件が狂ってくる。

 いや、それは勘違いというべきか。

「まず、同じ武術家と括られても私には都鳥がどうなのか、その情報も知識も有していないわ。同じと、同類と呼べるものの共通認識は、意識すればしただけ形骸化してしまう。いい? 都鳥と雨天、涼と暁を見たでしょう? 咲真でもいいわ。あの子たちに何が共通していると思えたかしら」

「共通……んー、得物を持ってて、意思が強い、とか?」

「そうね――けれど、得物は違うし意思そのものも強いだけあって、その方向性は違うわ。ならば何が共通しているのかしら」

「……うん、そっか。せっちゃんは行きたいなら行って、それからにしろって言うんだね?」

「それも間違いよ。――分相応、適材適所、訊くべき相手を誤るなと言っているの。最初に伝えたわよ、一線を退いていて裏に関わる気はないと」

「あ――そっか。あたし裏側かな?」

「さあ、どうかしら。それを決めるのは私ではないもの」

 冷たいようだが、これでも瀬菜は配慮して言葉を選んでいる。本音を言えば、こうした会話を瀬菜はしたくないし、そもそも詳しくはないのだ。

「知らなくても隣にいることはできるのよ」

「せっちゃんって、れんくんにとってのなに?」

「私にとっての蓮華はただの男よ」

「じゃなく、逆で」

「蓮華の意思なんて知らないもの。でも、そうね……間違いなくひとつだけ言えるのは、蓮華にとって私は、ただ一つの帰る場所よ」

「それ、唯一ってこと?」

「そっちの意味よ」

「……傍にいるってさ、対等って意味じゃないよね」

「意味を求めるのは馬鹿な女のすることよ。女はね、男に意味を与えることで幸いを得るのだから」

「うわあ……」

「何よ」

 いっこ上の歳とは思えない、と言おうとして華花は首を振っておいた。これで瀬菜はなかなか怖い。

「けれど、誰かの傍に居るのは存外に難しいわよ。というかいいかしら――私は恋愛相談窓口を開いてはいないわ」

「え、や、べつにそういうわけじゃ……」

「ないの?」

「ごめんなさい。そうかもしれません」

「まったく、冗談はその大きい胸だけにしておきなさい」

「いやこれ冗談じゃないから! ほんもの! ほんものだよ!? 天然だからね!」

「動きにくそうねえ……まあいいわ。どのみち蓮華が手を引いた以上、後は華花の問題よ。どうするかも、どうなるかも、その責任もよ」

「うん。……でも本当、れんくんって底知れないなあ」

 それは同感だったが、瀬菜はラテを飲むことで誤魔化す。

 ――いつ、かしらね。

 草去更で蓮華とであった一件で、疑問に思っていたのも確かで、今回の件でそれは疑念へと変わる。

 何故、あの場に涼がいたのか。

 蓮華はあの時、涼に対して戦闘に直接介入することを止め、何かを気にかけていた。その理由については華花が知っていて瀬菜は知ろうとすら思わないが、しかし。

 もしもあの場に涼がいなければ――きっと、瀬菜と顔を合わせるのはもっと後になるか、もっと不自然になったはずだ。その上、瀬菜との縁を利用する形で華花と涼を再び繋ぎ合わせた今回――これもまた、こんなふうにはならなかったのでは。

 ――勘繰りすぎ、かしらね。

 それならばいいし、べつに当たっていてもいい。瀬菜は蓮華を信頼しているし期待もしているのだから、結局のところどのような結果でも受け止めてやる。

 だが、底知れない。

 けれどわかることもある。

 蓮華は瀬菜を使わない。

 使ったのはむしろ、瀬菜の方だ。

 瀬菜が華花と蓮華を合わせたのだから――そして蓮華は、涼と繋げるために、瀬菜との縁があるのにも関わらず、暁や咲真を経由させた。そこに他の意図があったのも察してはいるが、それでも瀬菜を介入させなかったのは、きっと。

 瀬菜が、足を洗っているからだ。

 境界線があるからこそ、か。

 ――だからこそ華花に助言することもできないのだけれど。

 厳密には深い助言ができない、だ。一般常識的なことくらいは伝えられる。

 もどかしいとは思わない。何故ならばこれもまた瀬菜の選んだ道だからだ。

「……あら、ごめんなさい華花、ちょっといいかしら」

「へ? どったの?」

「顔見知りが来店したのよ」

 珍しいこともあるものだと、白のシャツに赤いネクタイをしたスカートの少女に片手を上げる。この春に切った短い髪を揺らして振り向いた顔は微笑みに、近づいてきたウエイトレスには注文をし、こちらを見て少し考えた後に何かを言った。

 相変わらず気遣いのできる子だ、と思う。

「こんにちは。今日は梅雨の合間の晴れですね」

「そだね、愉快だね。あ、どうぞ」

「失礼します」

 愉快じゃないのだが、さすがに初対面なだけあって突っ込みはなかった。

「へえ……姉妹?」

「そう、私の妹よ。挨拶なさい」

「一ノ瀬二ノ葉にのはです。姉がお世話になっています」

「やだもう、持ちつ持たれつだってば。あたしは鏡華花、よろしくね。敬語とか気にしなくてもいいよ?」

「はい、ご配慮に感謝致します」

「堅苦しいわね。忍も最近、敬語に磨きがかかっているようだから、移ったのではなくて?」

「あはは、そうかも。それよりお邪魔じゃなかったですか?」

「だいじょぶ。にのちゃんはVV-iP学園の?」

「はい、そうですよ。忍さんの勧めもあったので……あ、ごめんなさい。この場にいない人を引き合いに出すのは失礼でしたね」

「べつにいいのよ。旦那を誇らしく思うのは嫁の特権なのだから」

 やっぱり本当は瀬菜の方が自分より年上だと華花は思う。年齢偽ってるぞと。

「えっとさ、確認していいかな」

「はい、なんでしょう」

 背筋を伸ばし、少し胸を張るように。届いた飲料は紅茶でミルクも砂糖も付属していない。カップを手に取る指は細くしなやかで――。

「あのさ、せっちゃんもそうだけど、にのちゃんもさ、あたしより年上だよね!?」

 女として物凄く敗北感を覚える華花だった。

「何を言っているのかしらこの子……ああ二ノ葉、華花は私の一つ上よ。学年が、だけれど」

「ああ、なるほど、そうでしたか。慣れたつもりなんだけど、学年で人を見るってのは学園を出ると馴染めないなあ」

「見なくてもいいのよ。年齢も学年もなく、人は人だもの」

「そうだね。えっと姉さんたちは――買い物の帰り、かな?」

「そう、私服を購入するのに華花が役立ったのよ。そっちは……ああ、舞枝為のところね?」

「午前中に少し用があって、まあ昼過ぎになっちゃったんだけど。午後からは舞枝為に所用があるらしくて、帰宅ついでによってみたの」

「新築の具合はどう?」

「まだ少し慣れない、かな。さすがに台所に釜を置くわけにはいかないから。あ、と……華花さん、でいいかな。どうしました?」

「や、うん、あのね? その忍さんとかいう人ってもしかして」

「もしかしなくとも、華花も知っているであろう馬鹿共の一人よ」

「馬鹿かなあ……一括りにすると、みんな子供だなと私も思う時があるけれど、華花さんもご存知なのですか?」

「あーうん、ちょっと昨日、たらい回しにさせられて……あかくんと、れんくんと、さっちゃんと、んで涼と」

「では、この出逢いも必然でしたね。私も姉さんもですが、忍さんも一線からは退いているので、厳密には同じ括りにはならないんですよ。昨夜も何か用があったみたいだけど、護衛の手配をちゃんとしてたから」

「帰るまで起きていたのね?」

「それは、うん、そうだけど……」

「先に寝ていろと言われていたのに?」

「ちゃんと忍さんが帰宅するのを確認してから先にベッドに入ってたけど」

「見なさい華花、主婦の鑑がいるわよ。どうせ旦那より早く起きているのよこの子」

「まだ嫁いでないよ?」

 頭を抱えて蹲った華花だが、人の気配に顔を上げると、ウエイトレスがお盆を片手に近づいて来ていて、もの凄く不満そうに唇を尖らしていた。

「お待たせしました。雪明りです」

 置かれるのはカップに入った小さなアイス。二ノ葉が来店したときに注文しておいたものだと、遅れて華花は気付いた。

「幸せな若夫婦とか天誅が下ればいいのに」

 ぼそりと、音楽に紛れ込んだ悪魔の呟きはちゃんと聞こえた。

「……あの子も難儀ね」

「姉さん、また相談受けていたの?」

「本格的に窓口を作って料金を取ろうかしらね。どうして相談を私にするのかしら」

「せっちゃん、大人だから。実際には相談した当人にどうしたいか聞いて、ならやりなさいって言うだけなのにね」

「わかっているなら相談しない。まったく――都鳥家は三重県射手市にあるわ。行くなら一日かける心持ちでいなさいよ」

「あ、それはいいの。うん、するつもりはない」

「あら」

「涼ならまだ野雨にいるから。――直感だけどね」

「……接触を待っているのね?」

「んー、厳密には違う、かな。どうしたら出逢えるのかを考えてる」

 いやそれも違うなと、アイスを口にしてから頷きを一つ。

「逢ってどうするか、かなあ。ちょっと涼って複雑っぽいし――あ、これ美味い」

「このお店は雰囲気が良いですし、このアイスも隠れた名品ですよね。バニラ味しかないのが玉に瑕なんですが……」

「何を言ってるの二ノ葉。アイスはまずバニラよ」

「出た。姉さんの王道発言」

「下着も白だし?」

「もっと挑戦的な下着もあるわよ? 平素は白だけれど」

「王道だねえ」

 趣味に関してとやかく言うつもりはないが、とにかく美味いのは確かだ。甘味は脳を活性化させてくれる。

「――ね、繰り返しになるかもだけどさ、せっちゃんとれんくんってどういう関係なの?」

「お互いに老いて死ぬのを見守る関係よ。それがいつかは、まあ、可能性の問題ね」

「それってれんくんの物言いだと思うんだけど」

「そうかしら?」

「私にもそう聞こえたよ」

「そうかしらねえ……」

「にのちゃんは?」

「ええと、少し、難しいですね」

 苦笑のまま首を傾げた二ノ葉は頬に手を当てる。どこの若奥様だ、と華花は思う。というかその気品はどこから出て来るのだろうか。サイズからして胸ではないのは確かだ。くそう。

「私と忍さんは、いわゆる幼馴染みたいな関係で……いつも一緒だったわけじゃないけれど、お互いに間合いを知った上でお付き合いを始めたんです。だから姉さんみたいに関係を口にできるのが少し羨ましくもあるんですけど」

「でも、んー何かあるんだよね?」

「そうですねえ。昔は私が無茶をして、忍さんが手を引いてくれることが多かったですね」

「良い思い出に聞こえるけど、そんなものじゃないわよ。二ノ葉は加減を知らないから困るのだけれど、忍も私も邪魔はしないようにしていたから、結果は必ず出るのね。その後に手を貸したのが忍、という話よ」

「失礼な。最近はそうでもないよ?」

「明確な敵がいないぶんだけ安心はしているわ」

「ええと……なんていうか、そうですね。お互いに居ることが当たり前の関係、でしょうか。これはやはり難しいですよ。たとえば愛とか幸せとか、そうしたものを耳にしますが、あれは付属品でしかないと私は思っています。それは求めるものではなく、たまに気付くだけのものかと」

「――あ、思い出した。距離感だった。あのさ、二人とも旦那さんと顔合わせる時間ってどれくらいあるの?」

「……? おかしなことを問うわね。蓮華と顔を合わせる機会なんてそうないわよ?」

「え、いや、そんなあっさり言われても……」

「蓮華も仕事をしているのだし、性質上、帰宅時間なんてないようなものでしょう」

「せっちゃんはそれでいいの?」

「いいも悪いもないわ。言ったでしょう? 蓮華は必ず私のところに帰ってくるもの」

「全面的に信じてるんだ……」

「関係はそれぞれよ。境遇もそれぞれ」

「うーん……でも、べつにあたしだってそれでも構わないかな。にのちゃんは?」

「夕食だけは一緒にしてますよ。いらない時は連絡を受けますけど、毎日一度は顔を合わせる……かな?」

「なんかやっぱり、年相応に見えない」

 どういう人生を送ってきたのだろうか、そんな疑問を抱くほどに、成熟している――そうだ、これは、早熟ではない。

「心配はしないわよ。どうせ華花のことだから、何とかするでしょう」

「ありがと」

「じゃ、私は行くわ。土地の確保ができたから下見に」

「あ、私も行くよ姉さん。場所知りたいし」

「――ん、二人共ありがとね。あたしはもうちょい、考えてみるから」

 否、だ。

 そもそも華花は考えるよりも先に直感を得る。

 だからこそ、この場に留まっているのだ。

「うわ、なんて気が利く……いつの間に伝票持ってたのあの二人」

 とか思っているとお代わりを持ってウエイトレスがくる。追加注文分まで支払っていったらしい――まったく。

「まったく、微笑ましい間柄だぜ」

「そだね」

 驚く必要はない。それは、わかっていたことだ。


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