第35話 進路を決めて何が悪い!



「今日こそは決めないとな」


 現在俺は、進路の事について考えていた。本格的に時間が無くなってきて、もう今日中には決めなければ間に合わないレベル。マジなんでこんなにほっといたんだろ。俺。


「就職か、進学か」


 ダメだ。両方俺にメリットがあるし、両方デメリットもある。それが差し引きで結局0になってしまい、中々決まらない。ふぇ~、誰か助けてよ~。


「親父に聞いても返ってくる返事は一緒だし、たーちゃんたちに相談しても、おかしなことしか言わないし……」


 あれ? よく考えたら俺、積んでね?


「オワタ……」

「何が終わったの? お兄ちゃん」

「……お前だ!」

「えっ? なに?」


 そうだ! 俺にはまだ残された希望があった! 弟がいるじゃないか!


「裕也。お前に相談がある」

「相談? 進路の事?」

「イエス」


 もう、俺には裕也しか残ってない。これで、裕也もダメだったらホントにヤバい。




「なるほどねー。それ、もう結論出てない?」


 裕也に俺が悩んでいる進路の事を話すと、なんとも訳わからん返答が返ってきた。


「は? 出てないから相談してるんだろうが。何をゆーてはりまんねん」

「どこの人なんだよ……だって、お兄ちゃん1つの進路のこと話してるとき、楽しそうに話してたよ? もうそこに行きたいんじゃないの?」


 俺が、1つの進路のことについて楽しそうに話してただと? どっちだ? 就職? 進学? わからん……


「その顔じゃ、自分がどっちに行きたいかわかってないみたいだね。じゃあ、あれは無意識に出てたんだ」

「教えてくれよー」

「それは、お兄ちゃんが気づくべきだよ。僕が言うべきじゃない。大丈夫。すぐに答えは出るよ」


 そう言って、裕也は俺の部屋を出て行ってしまった。


「すぐに答えは出る……か」


 俺、そんなに早漏になれるかや? いや、元々早漏か。


「あとは自分で考えるか」




「えー、じゃあすっしー、今日は出てこないのかよー」

「俺も忙しいんだよ」

「りょーかい。んじゃ、パイ○―ン」


 俺があれこれと考えている中、たーちゃんから遊びのお誘いが来たが俺は、珍しく断った。あとちょっとで答えが出そうなんだよね。


「ふ~、さてそろそろ腹括るかな」


 恐らく、裕也が言ってた『もう結論は出てる』ってことは最初の方はわからなかったけど、ちょっと考えればわかることだった。ただ、俺にそれを決める勇気がなかったんだろう。まったく。とんだチキン野郎だな。俺は。


「よし! 決めた!」


 さて、親父に話してきますかな。




「親父。話がある」

「ん? なんだ?」


 俺が、しばらくの間しっかりと考えに考え抜いて、やっと出した結論。これが俺の決めたことだ。





「俺、東京に行くよ」





 これが、俺の答えだ。俺は進学する。


「やっと答えが出たか。わかった。俺から言えるのはこれだけだ」


 親父は、俺の目をしっかりと見て、口角を少し上げ、その言葉を放った。


「頑張ってこいよ。あと、エロゲよろしく」

「最初までは良かったのに、最後ので一気に残念になったな……」


 まあ、こんなバカ親父だけど、俺の親父だからしゃーないか。



「たーちゃん、瑠。俺、東京行くわ」

「「は?」」


 次の日の夜。俺はいつメンに俺の進路のことを伝えた。学校? コイツらに言う前に学校に行って伝えてきたわ。


「ま、マジで言ってんのか? すっしー」

「ああ」

「そっか、高明、ここを出ていくんだね。」

「悪いな。もう決めたことなんでな」


 珍しく、いつメンにしんみりとした空気が流れた。


「で、受験はいつなんだ?」

「来週」

「早くね!?」

「しゃーないじゃん。結構ギリギリでAO入試に申し込んだせいで、来週にはもう受験なんだよ」


 ホント、急すぎてビックリしたわ。いくらなんでも早漏杉謙信だろ。


「まあ、すっしーが確実に受かるかどうかわからんから、まだこっちに残る希望はあるな」

「おい。縁起でもない事言うな」

「まあ、頑張ってね。高明」


 はあ~//// 瑠たんが俺を応援してくれている! これは頑張るしかない! そして、絶対に東京行く前に瑠たんとエロいことをしてみせる!


「高明? ぶっ殺されたいの?」

「すみません。申し訳ありませんでした」


 さすがに調子乗りすぎたわ。あと、一応言っとくが俺はホモじゃないからな?


「まあ、とりあえず来週の受験に向けて頑張らせてもらいますよ」

「おう! 一応応援はするぞ! すっしー!」

「ボクはさっき言ったからいいよね」


 ホント、コイツらは揺るがねえな。立派な屑だわ。




 時は過ぎ、受験当日。すっ飛ばし過ぎ? うるさい。特に話すこともないから別にいいだろ。


「やべえ、もう1回オ○ニーしてこようかな」


 俺は、極度に緊張していました。きゃるん☆


「ウェ……自分でやっといて気持ち悪……」

「本山君。面接官の先生が来ましたよ」

「りょ、了解であります!」


 やべえ、やっぱもう1回オ○ニーしとけばよかった。




 それから、俺の面接は恙なく行われた。内容? 緊張しすぎて覚えてまてん☆


「これで、面接を終わりにしますね」

「あ、ありがとうございました!」

「合否はもうここで言っちゃいますね」

「え?」


 いや、ちょっと待って。普通って何日かしてから郵送で送られてくるんじゃないの? アニメではそうやってならったよ? おかしくね? 現実と2次元は違うってか。あーそうですか。どうしよう。


「じゃあ、発表しますね」

「は、はい!」


 頼む! 受かっててくれ!


「結果は……合格です」

「……ふぅ」


 よっしゃー! キマシターー!!


「合格通知は後日、郵送で届けますね」

「わかりました。ありがとうございます!」

「では、来年お待ちしてますね」


 よかったー。これで、もう進路の事は大丈夫だな。来年からは東京か。




「受かったぞー。親父」

「もう合否出たの!?」


 まあ、そりゃ驚くわな。


「後日郵送で合格通知が届くってさ」

「そうか。よかったな。てか、お前車どうするの?」

「ああ、廃車にするよ」

「売るとかできないのか?」

「ウンコされてんだぞ? 売り物にならねえよ」


 本当は廃車になんかしたくはないが、こればっかりは仕方がないからな。


「そうか。じゃあ、東京に行くための準備もしとかないとな」

「ああ。そうだな」




「高明、受かったの!?」

「マジか~、これですっしーが東京に行くこと確定だな」

「まあな」


 親父に報告したあとはいつメンの、たーちゃんと瑠に報告した。


「じゃあ、すっしーのお別れ会しようぜ!」

「だっぷんにしてはいいアイディアだね」

「おっ! マジか!」

「ああ。これで来年はすっしーとも別々だからな」


 バカだけど、コイツらは本当にいい友達だよ。


「ありがとな」

「おう!」

「うん!」


 こうして、俺の進路が決まったのであった。

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