第33話 親と進路のこと話して何が悪い!



「高明。ちょっといいか?」


 不意に親父に呼ばれた。親父が俺を呼ぶってことは……


「エロゲの事か?」

「それも聞きたいが! 今は違う!」


 なんだ。違うのか。じゃあ、なんだろうな。


「お前の進路についてだ」

「ああ。その事か」


 進路か。まだ決めてないんだよなー。やだなー。めんどいなー。




「で、今はどんな進路考えてるんだ?」

「1つはテキトーな仕事につく。特にやりたい仕事とか無いし」


 これは、正直選択したくない。働きたくないし、絶対辞めそう。


「あと、もう1つは東京にある専門学校に行くこと」


 これは現時点で俺が1番進んでみたい進路だ。ここにはライトノベル作家になるための専攻がある。俺は、自分の好きなものを学んでみたいと思っている。


「そうか。オレ個人としては働いてほしいんだけどな」


 やっぱそうだよなー。これは大人しく働いた方がいいのかや。


「だが、お前のやりたいこともやらせてあげたい気持ちもある」

「お、親父が親父らしいこと言ってる……!」

「親父だからな」


 なに。この親父。言ってることだけはかっこいい。ハゲてるけど。


「なんか今失礼なこと考えてなかったか?」

「そんな事実はありません」


 おいおい。俺の思考は人々にダダ漏れなのか?


「まあ、まだどうするかは決めてないんだけどな」

「まだ悩んでるのか。東京行けばオタグッツいっぱいあるし、働けば金が入るぞ」

「その選択肢があるから中々決められないんだよ」


 東京に行けば、俺の欲求は満たすことはできるが、金が無い。ただ働けば、金ができる。もう、進路の選び方が不純すぎるな俺。


「まあ、お前がどうするかはお前が決めるしか無いがな」

「そうだろうな。他人に決められる進路ほどキモい物はない」

「そうだろ? あと、東京に行けばこっちには無いエロゲがいっぱいあるぞ」

「まあ、そうだろうな」

「それをやって俺に郵送で送ってくれ」


 このバカ親父。息子の進路の事を利用して、自分の欲求を満たそうとしてやがる……


「東京に行くことになったら、送ってやるよ」

「よし。行け。今すぐにでも」

「バカか。あんたは」


 まあ、いいけどさ。俺もほしいし。


「もうちょっと考えて決めるよ」

「再三言われてると思うけど、早めに決めろよ? もう時間無いんだからな?」

「ああ。わかってるよ」


 あーあ。進路なんて考えたくないなー。オ○ニーしてたいなー。そっちのほうが絶対いい。




「マジでどうすっかな」


 俺は、未だに進路の事で悩んでいた。悩み過ぎだって? うるさいなー。真面目に考えてんだよ。


「働きたくはねえな。かと言って東京に進学はなー」


 進学はしたいが、東京で1人暮らしするのがだるそう。楽しそうでもあるが、家事をするのがだるい。動きたくないし。


「そう考えると就職か?」


 実家で家事しなくてもいいのは魅力的だが、毎日働くのは嫌だな。だって、これから何十年と働くんだぞ? 学生やれるのは今だけだし。


「でも~」


 ダメだ。決まらない。まさか自分の進路でここまで悩むことになるとは思わなかった。いいや。気分転換にアニメでも見よう。


「さ~て。なんのアニメ見るかな」




「結構、時間経っちゃったな」


 1本だけにしようとしてたが、結局、最終話まで全部見ちまったな。俺が悪いんじゃない。アニメが面白いのが悪いんだ。


「お兄ちゃーん! メシー!」

「あいよー」


 我が弟のお呼び出しが来たな。さて、メシ食ったらもう1回親父に相談してみるか。




「親父。ちょっといいか?」

「えー、これからエロゲやろうとしたのに」

「そんなものは俺が部屋行ってからにしろ」

「しゃーない。で、なんだ?」


 俺は今、進路のことで思っていることをすべて親父に伝えた。


「ふむふむ。オレがそれを決めることは簡単だが、それはしない方がいいだろ?」

「まあ」


 親父の言う通りだ。結局のところ俺が決めなきゃいけない。誰かに決められる人生はクソゲーだからな。


「なら、オレに話しても無駄なんじゃないか?」

「まあ、そうだけど。なんか、アドバイスとかないのか?」

「ない」


 この親父は……


「お前が決めなきゃいけないんだよ。お前の人生はお前のだ。オレのじゃない。高明自身が、しっかり悩んで決めなきゃいけないんだよ」


 確かに親父の言う通りだ。俺自身もそれはわかっている。


「それに、オレのアドバイスを聞いて進路を決めても、お前が納得するかは別だろ。本当はお前がもっと早くに考えなきゃいけなかったのにお前がそれを先延ばししたから時間が無いんだぞ」


 何も言えない。全部親父の言う通りだ。いつも、たーちゃんとたちと下ネタ言って、先の事を考えなかった俺のせいで、こんなにも自分で焦っている。自業自得ってことか。ホント3次元はクソゲーだな。おち○ぽって感じだわ。最近、下ネタ言ってない気がする……


「時間はないが、一生懸命悩んで自分で決めろ。オレにはそれしか言えん」

「ああ。ありがとう親父。もっかい考え直してみる」

「おお。悩め悩め」


 ホントクソ親父だよ。でも、それと同時に最高の親父だよ。さて、もう1回考え直しだ!



※最近下ネタあんまし言えなくてすみません

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る