第18話 二次創作小説で元カノ思い出して何が悪い!



 今日のオタ活! どうも! 高明です! 今日は小説を1日中読んでいようと思います! はあ、1人で何言ってんだろ。


「さてっと。今日はどんなのがあげられてるかな」


 俺は最近、ネットに投稿されている二次創作小説にハマっている。今日もそれを読んで1日潰そうと思っている。


「ん? これ……」


 俺が見つけたその小説は、俺の好きなラノベの二次創作で、主人公とメインヒロインが原作とは違う経緯でくっつく話だった。


「久々に純愛物の小説読むな」


 最近、たーちゃんとかのせいで中々小説読めなかったし、今日はマジで読み漁る。ちなみに今日、たーちゃんは自分とタメの人たちとバイクで走りに行っていて、瑠は彼女とデート。どうせ夜はそのままセッ○スだろうな。はあ……。


「さてと、読んでいくかな」


『ねえ、なんでそんなこと言うの?』

『俺は、君とは居ちゃいけないんだ。俺と居たら、君は幸せになれない』

『そんな事ない! 私はどんなに辛くてもあなたと居たいの!』


「あー、よくあるすれ違いかー」


 その小説を読んでいくうちに、すれ違いのシーンが出てきた。よくあるよな。すれ違い。


「すれ違い……か」


 なんだろう。モヤモヤすんな。


「まあ、いいや。そんな事より続きだ」


『ダメだ! 来ちゃダメだ!』

『でも! それじゃあ、あなたが!』

『俺は、君を失いたくない。だから、俺を信じて待っていてくれ』

『わかった……待ってる。必ず帰ってきてね』


「これ、死亡フラグじゃね?」


 待ってろ。と必ず帰ってこい。は死ぬな。なにこれ? タイトル純愛っぽいのに悲恋なの?


「まあ、いいか。俺、悲恋好きだしな。ま○こより好きなまである」


 なんでこんな悲恋が好きなんだろうな。俺って。自分も体験したからか? いや、俺が体験した悲恋はこんなもんじゃない。まあ、それはまたの機会で。それより小説だ!


『なんで……帰ってきてくれるって言ったのに……』


「あっ、死んだのか」


 やっぱり死んだか。まあ、話の流れからいって、それが普通だろうな。


『お願い……帰ってきてよ……私、あなたが居ないとダメなの……』

『ただいま』

『え……?』

『なに? 俺が約束を破ると思った?』

『ううん! そんなことない! 嬉しい……』


 あー、はいはい。なんかありきたりな感じだな。まあいいや。


「なんで、ラノベの主人公たちはこんなにもモテるんだろうな」

「まあ、それは2次元だからで済まされるだろうけど」


 俺は、自室で独り言を呟いていた。なに? 俺ってばまだ未練あるの?


「セッ○スしたくてもできない童貞みたいな思いだな。……何言ってんだろ」


 俺ってば疲れてんのかな? 最近独り言が多い気がする。


「まあ、いいや。さて、次の話でも読むかな」




 次に俺が選んだのは、またしても恋愛小説。ここまでくればわかるだろう。俺は、恋愛小説が大好きなんだ! キュンキュンしたいんだ! なんか悪いか!


「さてと、次はどんな感じで恋するのかねえ」


 次は、先ほどとは違うヒロインとくっつく話だ。ちなみにこのヒロインが俺は1番好きなヒロインだ。


『君は……好きな人……いる?』

『なんで急にそんなことを?』

『……察しなさいよ。バカ』

『えっ、それって』


 おーおー。青春だなー。俺もこんな学校生活送てぇな。ま、学校通信だからそんなことも無いんですけどね。


『好きなのよ……あなたのことが……』

『……』

『なんか、言ってよ……』

『ごめん、ちょっ驚いちゃって』

『それで……答えは?』

『ああ。俺も好きだ』


「なんだろうな。キュンキュンしない……」


 おかしい。昔の俺だったら今頃、ニヤニヤしているはずなのに。最近やったエロゲの時と同じ感覚だ。


『嬉しい。やっとあなたと一緒になれるのね』

『ああ。俺も嬉しいよ。大好きだ。もう離さない』

『私も。頼んだって離してやんないんだから』


「……ッ!!」


 俺はそのセリフを見た瞬間、昔、元カノに言った時のことを思い出してしまった。


『高明。これからはずっと一緒だよ?』

『ああ。もう離さないからな』

『私も。離さないから』

『大好きだよ。「ゆら」』


 なんで急にこんなことを。


「ちっ、胸糞悪いこと思い出しちまったな。オ○ニーしてもイカなかった時みたいだ」


 こんな気持ちじゃ小説を楽しめないじゃないか。気持ちを切り替えろ!


『付き合って初めてのデートだね』

『そうだね。君とはよく出かけてたから、あんまり実感ないけど』

『ひっどーい!』


『ねえ、キスしよ?』

『ん……』

『んん……』


「ダメだ。テンション上がんねえ……」


 なんでだよ。最近の俺おかしいぞ。いつもだったら、オタ活は楽しいはずなのに。事実エロゲの時だって最初はキツかったけど、後の方は楽しかった。なのになんで。


「俺になにが起きたんだ」

「未練か? 未練なのか?」


 なんで、こんなシリアスな雰囲気になんなきゃいけないんだよ。俺は楽しく小説を読みたいだけなのに。


「ッ!!」


 自分の頬を触ると若干湿っていた。


「また泣いてんのかよ……俺」


 はあ、しょーがない。今日は小説を読むのやめよう。


「こんな風になるなんて全部あいつとのことがあったからかや」


 「あいつ」それは俺の元カノ。千草ゆらだ。








 そうこれは、俺が高2の冬の出来事だった。

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