第16話 ニシゾノのおっちゃんで遊んで何が悪い!
俺たちがよくたまる公園によく出没するおじいちゃんがいる。俺たちはそのおじいちゃんのことと「ニシゾノのおっちゃん」と呼んでいる。
「ニシゾノのおっちゃーん。我らとあーそーぼー」
たーちゃんがニシゾノのおっちゃんに、声をかける。俺たちはこのおっちゃんでよく遊んでいる。おっちゃん``と,,ではない。おっちゃん``で,,だ。
「今日は遊ばなーい」
「うわ、キモ……」
おっと、思わず声が出ちまった。そう。今の事からわかるように、俺はこのおっちゃんが好きじゃない。なぜ、好きじゃないのか? キモいから生理的に受け付けないんだよ。
「高明。そんな嫌そうな顔しちゃダメだよ?」
「瑠がそーいうならやめる」
「すっしー、田中の事大好きすぎだろ……」
男の娘なんだから好きに決まってんだろ。ヤバい……変な扉開いちゃいそう。
「高明、ホモになったらつるむの辞めるよ?」
「ならないから! だから俺から離れないで!」
「すっしー……」
やめろ、たーちゃん。そんな「うわ、コイツ残念だ……」みたいな顔で俺を見るな。殺したくなる。てか、お前はニシゾノのおっちゃんと遊んでろよ。
「で、たーちゃん。今日は何すんだよ」
「今日は、おっちゃんにしょんべんかけようと思う!」
「またアホなことを……」
たーちゃんは、平常運航だな。
「ボクも今日の案は有りだと思うな」
「珍しいな。瑠がこんなくだらない案に賛成するなんて」
「ちょ、すっしーくだらないって言うなよ!!」
「まあ、ボクもあのおっちゃんはあまり、好きじゃないし、別にいいかなって」
「無視!?」
「あー、そーゆーことか」
「ひどい……」
あっ、落ち込んだ。
「おーい、おらはもう帰るぞー」
ニシゾノのおっちゃんが帰ろうとして俺らに声をかけてきた。いや、普通に黙って帰れよ。
「待ってよ。おっちゃーん! もう少し我らと遊ぼうよ!」
「そうそう! ボクたちももう少しおっちゃんと遊びたいな?」
たーちゃんと瑠が、おっちゃんを説得しに行った。てか、瑠があざとい。あざとかわいい。襲いたい。
「ほら! 高明も止めて!」
「えー、俺もやんのかよー」
「そうだぞ! すっしー! お前だけサボるな!」
めんどくさいけど、やるしかねえか。はあー、だりぃ。
「しょうがないなー。もうちょっとだけ遊んであげるよー」
「「ありがとう! おっちゃん!」」
「キモい……」
「「すっしー(高明)!」」
「はいはい、わかりましたよ」
ニシゾノのおっちゃんは、たーちゃんと瑠の説得の元、もう少しここにいることになった。俺個人としては帰ってほしかったが。
「じゃあ、我と田中がしょんべんをかけるから、すっしーはおっちゃんが帰らないようにしてくれ」
「じゃあ、俺はチョイノリ乗ってるわ」
チョイノリとはニシゾノのおっちゃんが乗っている原付の名前だ。MAX30キロしかでないポンコツバイクなのだ。
「えー、ボクも乗りたい!」
「あとで、乗らせてやるよ」
「いや、すっしーのバイクじゃないのに何言ってんの」
今日は、たーちゃんがよくツッコむな。
「まあ、とりあえず各自任された仕事をこなすように」
「あいよ」
「わかったー」
たーちゃんの指示により、俺と瑠は各々の持ち場についた。
「おっちゃーん! バイク借りるねー!」
「あっ、ちょ、ちょっとまってよ~」
俺は、おっちゃんの承認を聞く前に、チョイノリにエンジンをかけ、公園の中を爆走する。それにしてもおっそいな。このバイク。
「まあまあ、おっちゃん。すっしーはほっといて、俺たちと遊ぼうぜ!」
たーちゃんが、うまい具合におっちゃんを引き付けた。
「さて、俺は何しようかな」
たーちゃんと瑠はしょんべんをいするが、俺は特に何もしない。何かしたいなー。このバイクでただ走っているだけじゃつまんないな。
「ちょっと、いろいろやってみるかな」
俺は、一旦走るのをやめて、左ブレーキを握りながら、アクセルを回す。そして、一気に握っていたブレーキを離して、ハンドルを思いっきり上にあげる。
「いっけえええええ!!!」
はい。ウィリーの完成。このまま走り続けられれば、完璧なのだが、少し走ってこけてしまった。
「た、高明!? 何してるの!?」
「えっ? ウィリー」
「そうじゃないよ! なんでウィリーしてんの!」
「ひま○こだから」
「もう、いいや……」
瑠。ひま○こ状態の俺に勝てると思うなよ?
「てか、すっしー。チョイノリのミラー折れてるぞ?」
「いや、そんなこと気にしてたら、ヤンキーやってらんないよ? 俺は違うけど」
「いや、だいぶ高明もヤンキーだよ?」
え? そうだったの? 嫌だな……。
「で、お前らはしょんべんかけたの?」
「まだだよ。さっきだっぷんがペットボトル探してきて今からそれにしょんべん入れて、おっちゃんにかける予定」
「ほー、じゃあ俺は、もうちょいバイクで遊んでるわ」
そう俺が告げると、たーちゃんと瑠はおっちゃんの方へ戻っていった。さて、俺はもうちょっとバイク壊s……じゃなくて、バイクと遊んでるかな。
「よっし。行くぞ田中」
「りょーかい。だっぷん」
「お前ら、まだやってなかったのかよ」
俺が、バイクで遊び飽きて戻ってきたところ、まだコイツらはしょんべんをかけていなかった。
「しょーがないんだよ。おっちゃんが田中にメロメロで中々タイミングが無くてさ」
「うっわ、キッモ……」
「ホントにキモかったんだよ……」
あっ、これは回想入るパティーンだな。
『おっちゃんは何が好きなの?』
『ん~、君が好きだよ~』
『へ、へぇ~そうなんだ(キモいよー)』
『君はおらのこと好き?』
『え~、どうだろうね~(ムリムリキモキモい)』
あっ、回想終わったか。それにしてもホントにキモいな。無理だわ。
「だが、やっとときが来たのだ! さあ、田中の敵を取ろう!」
「あいよ」
「頼んだよ。2人とも!」
結局俺もやるのね。
「お~い、なにしてるんだ~? おら、そろそろ帰るぞ~?」
あの野郎、少しかまってやらないとすぐ帰るって言い始めやがって。懲らしめてやる。
「たーちゃん。俺が注意をひきつける。その間にやれ」
「りょーかいだ!」
さあ、パーティの始まりだ。
「おっちゃーん、待ってよー。もうちょい俺らとしゃべろうぜ!」
ふっふっふっ。オレの瑠に言い寄った罰を与えてやる。本当はち○こ千切って、それをア○ルツッコんでやってから、しょんべんをかけてやりたかったが、そこまでしたら俺が捕まっちゃうからね。自重しないとね。たかちゃん偉い。
「しょうがないな~。もう少しだけだからな~?」
「サンキュー! おっちゃん!」
さあ、今だ! やれ! たーちゃん!
「おっちゃーん! 暑いだろ? 水かけてやるよ!」
たーちゃんはそう言うと、ペットボトルの蓋を開け、中に入ってるしょんべんをおっちゃんの頭にぶっかけた。飛び出した○―メンのごとく。勢いよく。
「うわ! なんこれ~! 臭いぞ~! しょんべんか~!」
「「「あはははははは!!」」」
最っ高だ! ざまあーみろ!!
「もういい!! 帰るからな~!!」
「「「おう! 帰れ帰れ!」」」
そういうと、俺がミラーをすべて折ったチョイノリに乗り、家へと帰っていたった。
「あー、スッキリしたな」
「まったくだ。我の作戦は完璧だったな」
「ボクの気も晴れたよ!」
そうして俺らは、スッキリした顔で今日は解散となった。
そして、あれから公園にニシゾノのおっちゃんが来ることはなかった。
※良い子のみんなは老人を大切に
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