第15話 たーちゃんが捕まって何が悪い!



「なんで、俺らコンビニの駐車場にいんの?」

「だって、スーパーしまっちゃっていつも我らが溜まってるベンチが今日に限ってしまわれちゃったんだからしゃーないやろ」


 長セリフご苦労。たーちゃん。


 俺たちは今、さっきたーちゃんが説明したように某有名コンビニの駐車場に溜まっている。そんなところで溜まってるくらいなら帰れって? その通りでございます。


「で、今日はなにやるの?」

「特に決めてない!」


 瑠の問いかけに自信満々に答えるたーちゃん。……考えてないのかよ。


「じゃあ、俺帰って良い?」

「なんですっしーは、なにもやることないからって帰る選択をするのかなー」

「だって暇じゃん。なら俺は、家帰ってアニメ見る」

「それは最終手段じゃん。我だって、見たいアニメを我慢してこっちにいるんだから」


 そーいや、たーちゃんもアニメ見るんだったな。忘れてた。


「だったら、我慢せずに帰ってみろよ」

「我の優先順位は、1に遊ぶ。2にバイク。3でやっとアニメだ」

「今は、その遊ぶことがないじゃん。ボクも眠くなってきたよ」


 瑠が眠そうに目を擦っている。なに? 俺に襲われたいの? 誘ってるよね? 完全に。これで襲ってもレ○プじゃないよね?


「高明、目が血走ってるよ」

「すっしー、それは流石に我でも引くわ」


 たーちゃんに引くって言われた……鬱だ。死のうかな。


「まあ、そんなことはいいから何やるか考えよう!」

「だっぷんが全裸でコンビニ入ればいいんじゃない? 面白いと思うよ? ボクは」

「たまに瑠って、爆弾発言するよね。でも、その案はアリだわ」

「え? そんなことしたら我捕まっちゃうじゃん。また前科ついちゃうじゃん」

「この際、2犯も3犯も変わんなくね?」


 たーちゃんは、中学の時にスーパーでパクったナイフを夜中持って歩いてる時にポリに職質されて、銃刀法違反と窃盗で1回捕まっているのだ。


「まあ、確かにな」

「「あっ、納得しちゃうんだ」」


 コイツ、ホントにバカだわ。目先の快楽しか考えられないサルだわ。


「じゃあ、とりあえず服脱ぐわ」

「いけいけ、やれやれ!」

「瑠も結構乗り気なのね……まあ、暇よりいいか」


 たーちゃんは黙々と服を脱いでいく。


「たーちゃん」

「なんだ? すっしー」

「服脱ぐとき真顔でこっち見ながら服脱ぐのやめて」

「すま○こwww」


 ホントに、1発ぶん殴ってやろうかな。




「キャストオフ完了!」

「ホントに全裸になったよ……だっぷんって羞恥心とか無いの?」

「ない!!」

「聞いたボクがバカだったよ……」


 瑠も完全に呆れていた。そりゃそうだよな。ち○こ丸出しで、それを全然隠そうとしない奴が先輩なんだもんな。


「たーちゃん、ホントにそれでコンビニ入んの?」

「もち○こ」

「それは、無理やりすぎ謙信じゃね?」

「捕まってもボクたちは知らないよ?」

「そんな簡単に捕まんないだろー」


 いや、結構簡単に捕まってません? 俺ら。過去のことしっかり思い出してー。


「まあ、だっぷんの好きにしていいよ。ボクたちは何も言わないよ」

「ああ! 好きにやらせてもらう!!」


 あっ、瑠が諦めた。こりゃ、もう終わったな。


「では、行ってくる!!」

「「いってらー(いってらっしゃい)」」


 自信満々に自分のアソコを強調するようにコンビニに入っていく。ちなみに俺と瑠は

、瑠の車の中で見ている。だって関係者だと思われたくないし。


「あっ、高明」

「どうした?」


 瑠がなにかの存在に気付いたようだ。


「あれって、防犯カメラじゃない?」

「……ヤバくね? あの位置じゃ、俺らが一緒にいたとこも写ってんじゃね?」

「これは俗にいう``詰んだ,,ってやつ?」


 瑠ちゃん。使い方完璧よ。立派になったわね。……じゃねえ!!


「どうする? たーちゃんに伝えるか?」

「もう遅いし、別にいいんじゃない? どーせ捕まるのだっぷんだけだからね」


 瑠ちゃん、あなた結構ドライな人なのね。


「なんか、レジにいる店員様子おかしくない?」

「あっ、たぶんあれ防犯ブザー押してるんじゃね?」


 こりゃ、アイツ本格的に終わったな。てか、なんですぐ戻ってこないんだよ。バカなの? あっ、バカだった。


「ボクたちだけで逃げる?」

「さすがにそれはマズくね?」

「でも、確実にボクたちも職質されるよ?」

「まあ、その時はしゃーないだろ」


 瑠とこれからのことを話していると、行動が早いポリたちが続々と駐車場に入ってくる。


「あーあ、来ちゃったよ」

「ボク、なんかだっぷんがかわいそうになってきたよ」


 あっ、ポリと話してるよ。あー、取り押さえられてるよ。こりゃ、終わったな。


「ちょっと君たちもいい?」

「「へ?」」


 瑠の車で、たーちゃんの最後を見届けているとこちらにまでポリが来た。なんで?


「防犯カメラの映像を見せてもらったんだけど、君たちもいたよね? ちょっと署の方でお話しを聞かせてもらえないかな?」

「……わかりました」

「なんで、ボクたちまで……」


 瑠がちょっとふてくされていた。あっ、やべ。今日オ○ニーしてないから勃ってきた。


「じゃあ、パトカーの方に来てもらえる?」

「「はい」」


 俺と瑠は先ほどたーちゃんが乗り込んだパトカーに乗った。


「すっしー、田中……また捕まっちまったよ」

「「当たり前だろ」」

「俺たち最初に注意しといたのに……」

「これはさすがに牢屋もんかやー?」

「どうだろうね。それはボクたちにはわからないよ」

「ですよねー」


 なんで、これから牢屋にぶち込まれるかもしれないのに、こんなに軽いの? まあ、たーちゃんだからか。




「ついたぞ。さっ、降りてくれ」


 警察署につき、俺たちはパトカーから降ろされ、俺と瑠は一緒の部屋。たーちゃんだけ違う部屋へと通された。


「じゃあ、話を聞かせてもらおうか」

「俺がすべて説明します」


 2人で話してもめんどくさいので、先ほどあったことをすべて説明した。


「ありがとう。じゃあ、君たちは帰っていいよ」

「はーい。お疲れっすー」

「お疲れ様でーす」


 そうして、俺と瑠は警察署を後にした。


「あっ、そういやたーちゃんってどうなった?」

「忘れてたよ……まあ、どうにかなったんじゃない?」

「俺たちが気にすることじゃないか」

「そうだよ。それより早く帰ろ。ボクもう眠いよ」


 そういって、瑠はあくびをした。……俺もポリのお世話になりそう。


「……死んで?」

「もう、普通に言っちゃうのね」


 そんなくだらないことを言いながら俺たちは、帰って行った。ん? たーちゃんはどうなったか? 知らねえよ。



 後日談だが、たーちゃんは2日ばか留置所にいて、すぐに出て来た。もちろん前科も背負ってな。



※良い子のみんなはマネしないように

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