第14話 高速道路でカーチェイスして何が悪い!



「はーはっはっはっ!」


 俺は今、高速道路にて某車アニメのごとくカーチェイスをしていた。なぜ、こうなったのか。それは、家でアニメを見ていた時まで遡る。どれくらい前か? 1時間ぐらいだよ。




「あー、いったん休憩しよ」


 俺は、自室に1人でアニメ鑑賞をしていた。そのアニメのブルーレイボックスももう半ばの方にさしかかり、俺自身もぶっ通しで見ていたので、少々疲れが出てきたのだ。


「はあ、タバコも無くなってきたし、新しい箱買に行くがてら、少し車で走りに行くか」


 そんなわけで、俺は、コンビニに行く準備をして、車のキーを持ち外へ繰り出した。




「ありがとうございました~」

「そろそろ、年確してくんねえかな」


 年確とは、年齢確認の略。それを俺は最近全然されない。俺ってそんなに老けてんのかな? 今、老けてるって思ったやつ。覚えてろよ?


「さ~て、一服したら走りに行きますかな」


 タバコを1本取り出し、さっき買ったコーヒーのプルタブを開け、1口飲み、タバコに火をつける。なんてダンディーなんだ。俺。


「こういう日もたまにはいいな」

「なにがいいの? 高明」

「……普通、このタイミングで話しかけますかね? 瑠くん」


 はーい、この年になってまさかの黒歴史を作り出すというね。穴があるなら突っ込みt……じゃなかった。入りたい。


「なんで、お前ここにいんの?」

「彼女とデートだよ。たk「リア充は死ね!」……すぐそういうこと言う」

「こちとら、1人身なんだよ。少しは自嘲しなさい」

「まあまあ、で、何してるの?」


 瑠が小首をかしげて聞いてくる。クソっ! 悔しいけど、かわいい!!


「ひま○こだから、1人で走りに行こうとしてるとこだよ」

「あれ? 今日はだっぷんと合流してないの?」


 だっぷん、たーちゃんの新しいあだ名だ。瑠はそれが気に入ったらしく、ここ最近はずっとその名前でたーちゃんの事を呼んでいる。


「今日は家でずっとアニメ見てたからな」

「そっかー。あっ、そろそろいくね」

「あいよ。じゃあ、俺も行くかな」

「うん。じゃあね」

「パイ○―ン」


 いいなー。瑠は。彼女とイチャイチャして。はあ、気分かえるために、高速道路で走るかな。




 俺は、一番近いインターから高速に乗り、チェイサーを唸らせた。


「いやー、やっぱ、信号が無いって素晴らしい!」


 俺は、制限速度の100キロまで出し、オービスに引っかからないように注意しながら走っていた。


「ふふふん~♪」


 車で音楽を流し、それを鼻歌で歌いながら運転する。片手にタバコを持ち、アクセルを軽めに踏んで、ゆったりと運転する。やっぱ、車の運転は最高に楽しい。


「ん? 走り屋か?」


 俺の車の隣に青いスカイラインが付いてきた。なんだ? 喧嘩売ってんのか? すると、そのスカイラインは、俺を追い越し、俺の前に付き、煽ってきた。


「ほ~、やろうってのか。いいじゃん。やってやんよ!」


 俺は、チェイサーのギアを5速に上げ相手の車を追い越す。それにスカイラインは対抗するように、俺の車についてくる。


「俺のチェイサーについてくるなんてやるじゃねーか! おもしれぇ!」


 目の前にカーブが見えてきて、ギアを4速に落とし、カーブに入った瞬間にクラッチとギアチェンをいい具合のタイミングで行い、3速に落としカーブを曲がる。


「ははっ! ミスってやんの! ざまーwww」


 スカイラインは、ギアチェンをうまくできなかったようでカーブのところでスピードを落としすぎたようで、俺との差が大きく生まれた。


「お前が、遅かったんじゃない。俺が速かったんだ。恥じるなよ。スカイライン」


 あー、決まったわ。カッコいいセリフが言えたわ。今の俺、最高にカッコいい。


「さてと、そろそろ高速下りて帰るかなー。って、まだついて来てやがる」


 ルームミラーを見てみると、先ほどのスカイラインが付いて来ていた。なんだよ。さっきの俺の優越感返してくれ。


「ちっ、今度こそ確実に決めてやる」


 チェイサーのギアをトップギアに上げ、一気にアクセルを踏み加速させる。アドバンテージがある分、俺の方が有利に勝負を進められる。


「ここまで、差があれば追いつけねえだろ。あっ」


 これ、負けフラグじゃね?


 案の定、俺はやらかしてしまった。ギアを4速に落とそうとした時、ギアが入らず、ニュートラルに入ってしまい、減速してしまう。


「ヤバい! ミスった!!」


 焦りが運転テクニックを落としてしまい、そのままギアをミスって1速にいれてしまう。


「ああ~、エンブレが~~」


 車にエンブレがかかりさらに減速。その間にスカイラインに追い越されてしまう。


「えっ? なにこれ? 完全にかませ犬じゃん。悪役じゃん」


 スカイラインは、到底今から追いかけても追いつかないところまで行ってしまい、この勝負は俺の負けが決まってしまった。


「嘘でしょ? なにこれ? 俺今日、いいことなさすぎ謙信じゃね?」


 惨めだ……これだから、3次元はクソゲーなんだよ。


「はあ、大人しく帰ってオ○ニーして寝よ……」


 そんなこんなで、俺は大人しく近くのインターで高速を降り、その足で家へ帰った。つらたん。つらたん。マンハッタン。


※良い子のみんなはマネしないように

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