第13話 だっぷんと呼ばれて何が悪い!



 これは、たーちゃん。白田 洋昭が「だっぷん」と呼ばれるようになってしまった話。




「なんで俺たちは毎日こんなスーパーに居るんだろうな」

「急にどうしたの? 高明」

「いやなんか、ふと思ってな」


 毎日毎日、俺らは飽きもせずにいつものスーパーに溜まっているのはなぜなのか。俺はそんなわけわからん疑問を抱いていた。と、そこで俺はあることに気が付いた。


「そーいえば、たーちゃんは?」


 そう、いつもいるあのアホが今日はいないのだ。


「あー、今なんかお腹壊してトイレに籠ってるよ?」

「アイツ、そんな状態でなんで外出てきたんだよ……」


 アイツ、そんなに外に出たいのかよ……


「あっ、噂をすれば出てきたよ」

「おっ、すっしーも来たのか……」

「お前、随分キツそうだな」


 トイレから出てきたたーちゃんは顔が青ざめ、腹を押さえながら出てきた。ホント、なんで出てきたんだよ。


「たーちゃん、キツかったら帰った方が良くないか?」

「いや、帰ってもやることなくてひま○こだから、我は帰らんぞ」

「帰って大人しくしてようよ……」


 ほら! 瑠も心配しているぞ! 心配そうにたーちゃんを見つめている瑠……きゃわいい////


「高明、顔がキモい」

「心配そうに見てた目から一気にそんな目にできるのね……」


 一気に冷めたような目になり、俺をディスってくる瑠。やめて! 変な趣味が目覚めちゃうから!


「まあ、でも、瑠の言うとおり帰って大人しくしてた方がいいぞ?」

「我は帰らんぞ?」

「いやいや、帰れよ」


 コイツ中々帰ろうとしないな。やだよ。コイツの風邪うつされるとか。


「そんなにすっしーは、我に帰ってほしいのか」

「いや、風邪うつされたくないし、純粋に家で大人しくしてた方がいいだろ」

「ボクもそう思うよ。そんなことしてたら治る物も治らないでしょ」

「田中とすっしーになんと言われようが、我は帰らん!」


 あー、ダメだ。コイツ結構頑固だから1度決めたことは中々変えないんだよなー。


「はあ、わかった。もう何も言わないが、どうなろうと俺は知らんぞ?」

「おう! うっ、腹が……」

「ほらほら、早くトイレに行ってきなよ」


 そう瑠が言うと、たーちゃんは腹を押さえながらまたトイレに戻っていった。


「高明、どうするの?」

「んー、あの下ネタ大魔神が調子悪いとなんも面白くないから、あえて、あの状況の中のたーちゃんをいじる?」

「ありだね♪」


 なにそれ、かわい。




「さて、じゃああの状態のたーちゃんにどんなイタズラするか」

「腹パンとか?」

「お前……結構エグいこと言うな……」


 瑠、さすがにその発言はヤバい。かわいい顔してるけど、やっぱヤンキーなんだな。


「冗談だよー。じゃあ、白田を走らせるとかは?」

「なに? 瑠はたーちゃんにう○こ漏らさせたいの?」

「うん。それが1番面白そうだしね」

「……確かに。よし。たーちゃんにう○こを漏らしてもらおう!」

「おー!」


 さてさて、どうやってアイツのア○ルを決壊させてやろうか。


「まずは、白田を走らせた方がいいよ。その方が漏れやすい」

「でもどうやって走らせるんだ?」


 アイツの場合走らせようとしても、走らない場合があるからな。


「バイクのキーとかパくれば、走ってくるんじゃない?」

「んー、だったらそのまま車に乗って帰るフリすれば確実に走るだろ」

「それだと、いくらなんでも怒らないかな?」

「それは、アイツが俺たちの言うことを聞かずに帰らなかったのが悪い」


 アイツが帰れば瑠と2人でイチャイチャできたかもしれないのに! 許すまじ! たーちゃん!


「高明さ、いつもなんかアホなこと考えるときって顔に出るよね。その癖、直した方がいいよ」

「はい……すいません」


 不純なことを考えてしまった俺が悪いのか。そうですか。そうですよね。


「じゃあ、白田のバイクのキーパクって、車で帰るフリをしてう○こを漏らさせるでいいね?」

「ホーケー」

「なんで、下ネタで返すのさ……」


 ウマいと思ったんだけどなー。オーケーと包茎をかけた返事。




 俺と瑠は、たーちゃんが便所から出てくるのを待って、作戦を始めようとしたのだが……


「出てこなくね?」

「確かに。いくらなんでも遅すぎるよね」

「ちょっと俺、生きてるかどうか確かめてくるわ」


 俺は瑠をその場に残し、たーちゃんが入っているであろう便所に向かった。


「たーちゃーん、生きてるかー?」

「お、おう。すっしー……生きてるぞ……」


 なに、たーちゃんもうすぐ死ぬの? めっちゃ死にそうな声出してんだけど。


「お前、まだう○こ出てんの?」

「ああ……う○こが止まらんのよ


 コイツのア○ル、俺らが決壊させる前にもう決壊しとるやん。


「まあ、落ち着いたら戻ってこいよー」

「りょーかい」


 ホントに大丈夫なのかよ。




「どうだった?」

「死にそうだったけど、辛うじて生きてたわ」

「なにそれ?」


 瑠の所に戻ってきた俺は、たーちゃんの現状報告をしたが、竜の頭にはハテナマークが浮かんでいるようだ。だって、そう報告するぐらいしかなくない?


「まあ、大体現状は把握したよ」

「あっ、今のでホントに把握できるんだ」

「高明の考えてることは大体わかるからね♪」


 今のグッと来ましたね。そりゃ、もう堪らんぜよ。ってぐらい来ました。どんぐらいなんだよ……


「とりあえず、白田が出てくるまでは待機だね」

「まあ、そうなるわな」


 はっ! てことは、それまで瑠と2人きり! 卑猥なことができるんじゃないか?


「これは、行ける!」

「いけないよ。何考えてたの? 確認のため言うけどボクは男だからね?」


 やめてー! 俺に現実を突きつけないで! もう、高明のHPは0よ!


「なんで、現実ってこんなにも残酷なんだろうな……」

「なんで絶望してるの!?」

「まず、1つ目に瑠が男って時点で、もうこの世は腐ってやがる」

「なんで!」

「そして2つ目」

「えっ? ボクのツッコみスルーなの?」


 今は、世の中の不条理を説明するのが先なのだよ。


「お前らは何を話してるんだ? 我も混ぜてくれ」

「「あっ、たーちゃん(白田)」」


 便所から戻った糞野郎こと、たーちゃんが俺らの会話に混ざってきた。さて、これからミッションを開始するか。


「瑠」

「オッケーだよ。高明」


 瑠と確認を取り、行動に移す。ん? さっきの話? そんなのは後だよ。バカ。


「ん? どうしたんだ? お前ら」


 たーちゃんが油断している今がチャンスだ! 行くぜ!


「「うおー!」」

「うわ、なんだ!? あっ、ヤバい。また腹が……」


 たーちゃんを確保し、ポケットをあさる。そして、バイクのキーを見つけた。


「よし! 瑠! キーを見つけた。逃げるぞ!」


そう瑠に告げた瞬間、異様な匂いが俺の鼻孔をくすぐった。ん? この臭い、まさか……。そう思って瑠の方を見てみると、瑠も顔の色を変色させ、臭いの原因を見ていた。


「まさか…たーちゃん……漏らした?」

「だって、お前らが突撃してくるから……てへ☆」






「「ふざけんなー!」」


 俺と瑠の作戦はある意味成功だが、当初の目標と大きく変わる結果に終わった。そして、俺は問題なかったが、瑠はたーちゃんが漏らしたう○こが服に付き、ガン萎えしていた。それから、たーちゃんのあだ名が「だっぷん」になってしまったのだ。


「ホント、勘弁してよ……」



※良い子のみんなは風邪を引いたら家に居ましょう

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