第3話 自販機蹴飛ばして何が悪い!

「あ〜、ひま○こだな〜」

「いい加減、ど頭から下ネタ言うのやめない?」

「いや、すっしーの下ネタの使い方はうまいから、いいと思うぞ」


 俺たちアホ3人組は、いつものスーパーのイートインコーナーで、茶をすすりながらグダグダしていた。


「だって、ホントにひま○こじゃん。やることなさ杉謙信でしょ」

「すっしー、うまい!」

「白田は少し、黙って」


 まだ、夜の22時なので、なにかやるにしても早すぎる。かと言ってこのまま暇な時間を過ごすのももったいない。挙げ句の果てに、瑠はケータイをいじり始めた。


「ここ閉店する前に、なにかやること決めようぜ。決まんなかったら、俺は家に帰ってアニメ見る」

「は!? それは無くね!?」

「なら、はよ考えろ」


 たーちゃんは、何入ってない頭をフルに使って、これからやることを考えていた。瑠は、ひたすらにケータイをいじっている。真剣になってゲームをしている瑠も少女っぽくてかわゆす////


「あっ! いいこと思いついた!」


 たーちゃんが何か閃いたようだ。まあ、どうせくだらないことだろ。


「自販機ックしようぜ! 久々に!」


はーい。やっぱり、くだらないことでしたー。期待しなくて正解でしたー。


 自販機ックとは、タバコの自販機を思いっきり蹴飛ばすと、たまにタバコが出てくる自販機がある。その行為のことを自販機ックと言う。俺らはそれで、金がない時にタバコを入手していた。


「今、タバコ出てくる自販機なんかあるの? この前、高明が全部壊しちゃったじゃん」


 お、瑠も乗っかってきたな。ツッコまずにはいられないタチだもんな。俺がタチでツッコンでみたい気もするけど。


 さて、なぜ白田が自販機ックを久々と言ったのか。それは、数ヶ月前、俺らは今日みたいに自販機ックをしに行ったのだが、俺のキック力が強すぎて、タバコが出る自販機を、すべて壊してしまい、しばらくできていなかったのだ。


「それが、すっしーが壊した自販機が、最近全部新しいのに変わってたんだよ!」

「それ、タバコ出んの?」

「やってみなきゃわかんないだろ!」

「じゃあ、1時になったら行ってみるか。誰の車使う?」

「すっしーの車うるさいから、田中のでしょ」


 たーちゃんに、俺の車をディスられ、俺は帰りたくなった。……カッコイイのに。




「さ~て1時になりました!」

「じゃあ、行きますか」


 待ちに待った時間になり、久々の自販機ックが始まる。


「とりあえず、あそこ行く?」

「だね。高明、○○商店にお願い」

「了解!」


 今回は、俺が瑠の車を運転している。2人が、俺が蹴ると自販機を壊すから、ダメと言われ、大人しく運転手に回った。……辛い。


「とりあえず、目標は1機、3箱だな」

「でも、白田。高明なしで、3箱も出せる?」


 そう。今までの自販機ックで俺がいないときにやって、出たタバコは良くて2箱が限界だった。


「やっぱ、俺は必要じゃね?」

「いや、最初は我と田中で行く。すっしーは最終手段だ」

「……りょーかい」


 これは、俺出番あるな。


「「「貴様と俺とは同期のアナ○弟―♪」」」

「「「同じ性学校の庭に咲くー♪」」」

「「「ヤッたセッ○スなら果てるのは絶対―♪」」」

「「「見事果てましょ己のためー♪」」」


 俺たちは、○○商店に行くまでの道のり、某軍事関係の歌を替え歌しながら向かっていた。ホント、俺ら頭弱いな。




 車を走り進め、○○商店についた。


「さて、蹴るか。なんか拭くものある?」

「ボクのオ○ティッシュならあるぞ」

「拭けねえよ! ってか道理でさっきから臭うわけだよ!」

「瑠が久々に下ネタぶっこんできたな。そして、たーちゃんが久々にツッコんだ」


 自販機ックには必要なものがある。それは、拭くものだ。


 蹴った後に、足跡がついたまま帰ると、もし通報されたときに、足跡でバレて捕まる可能性がある。それを、警戒して俺たちはいつも拭くものを準備している。


「とりあえず、車止めようぜ」

「せやな」


 俺は、少し離れたところに車を止め、待機する。


「じゃ、頼んだぞ」

「「了解」」


 2人を見送り、俺は結果を待つ。あっ、ちなみに瑠の車の中に小汚いタオルがあったので、それを持って、2人は旅立っていきました。あれで拭いても汚れ広げるだけっぽいけどな。


 ドゴッ! ドン! バン!


 あー、蹴ってますねー。僕も蹴りたいです。思いっきり蹴飛ばしたいです。


 ドンドン! バゴン!


 ……まだ蹴ってんのかよ。


 あっ、戻ってきた。


「どうだった? 何箱出た?」

「1箱も出なかった……」

「そらみたことか」


「すっしー、蹴ってきてくんね?」

「高明、お願いしていい?」

「結局、こうなるのね。じゃあ、行ってくるわ」


……




 そんなに頑丈な自販機なのかね? まあ、買える以上には出せるだろうけど。


「あっ、あったあった」


 見た感じ前の自販機と同じような感じだ。特にいかついわけでもない。


「さて、いっちょブチかますかな」


 タオルをポケットに入れ、靴ひもを縛り直し、助走をつけ、自販機へレッツゴー!






ドッバァァァァァァァァァァァン!!!!






「あっ、やべ」


 思いっきり蹴飛ばしちまった。タバコが飾ってあるところのプラスチックの部分がメチャクチャになっちゃった。……てへっ☆


「てへ、じゃねぇぇぇぇぇ!!」


 やっちまった。やっちまった。またぶっ壊しちまった。あっ、タバコは!


「出てないし……」


 萎えた。萎えたわ。完全にやっちまった。足跡拭こうにも拭く場所もぶっ壊しちまったし。


「戻るか……」




「おっ、すっしー! どうだった?」

「……」

「高明、さっきすごい音してたけど、まさか」

「……てへっ☆」

「やりやがった……」


 こうして、自販機ックは失敗に終わり、2度と自販機ックが行われることはなかった。まあ、早く帰って、アニメ見れるからいいけどね☆



※良い子のみんなはマネしないように

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る