第2話 戦車暴発させて何が悪い!

「はいはい、ま◯こ?」


 自室でアニメを見ていると、たーちゃんから電話がかかってきた。ぶっ殺す。こっちはあの日、テメエの遊びに付き合った結果、リアルタイム視聴に失敗してんだ。泣いたんだぞ、 俺は。


 ネット放送で見てんだぞ、今! また邪魔しやがるのか。


「ま◯こ? あれ?なんか首筋がゾワゾワすんだけど……ま、いいや。すっしー、これから出れる?」

「えー……、アニメ見たいんだけど」

「それは、我も見たい。だけど、もっと面白いことを考えたぞ!」

「なんだと?」


 面白いこと……俺、気になりますっ!


「どういうことやるんだ? 教えろ。俺が面白いと思ったら出よう」

「言ったな? 今、田中の車に乗っているんだが、その車にサンルーフがあるのは知っているな?」

「ああ」

「そこからロケット花火をいろんなところへ撃つ。名付けて『戦車』だ!」


 はい、バカ。やっぱこいつバカだわ。でも……面白いこと言ってくれるじゃないの。


「その話、ノった」

「よし! じゃあ、今からお前んちに拾いに行くわ」

「おう。頼んだ」

「んじゃ、パイ◯—ン」


 さてさてさーて。準備始めますかなー。




「ま◯こ、ち◯こ、ま◯こ、ち◯こ、ま◯こ、ち◯こ、ま◯こ」

「うるさいぞ、たーちゃん」

「おっ、やっと来たか。すっしー」


 俺んちの目の前で下ネタを連呼するたーちゃんを黙らせ、瑠の車に乗り込む。ちなみに瑠の車はリアル戦車のように迷彩柄に塗装してある。ガチで戦車じゃねえかよ。挙句の果てに、瑠の服装は迷彩柄1色だ。そんな、軍オタ満載の恰好をしているのに、かわいい……だと!


 しかも、少し服のサイズが大きいせいか、袖が余っている。そのおかげで萌え袖になっているのだ! そして、その萌え袖で口を隠しているのだ! さらに! さらに! 後ろ髪を1本で縛っているだと……!


「瑠たんhshs////」

「入ってきて、ボクを見て一発目がそれ?」

「瑠たんにhshsして何が悪い!」

「いきなり、キモいよ。高明」

「ありがとう」

「いや、褒めてないよ!」

「さて、そろそろロケ花買いに行こうぜ」


 たーちゃんの久々なまともな提案により、俺たちはロケ花を買いにいつものスーパーに向かった。




「さて、ミッションを始めよう」

「「イエス・ボス」」


 俺の呼びかけに二人が反応する。瑠くん、あなたなんだかんだ乗るのね。


「さて、まずはどこから攻めていくか」

「やっぱ、人が多いとこが良くない?」


 瑠が的確なところを提案する。それにしても、コイツ本当に男か? 首かしげたとことか女にしか見えん。瑠ちゃんhshs////


「高明、キモい」

「グハッ!」


 瑠のち○ぽのごとく極太の言葉の棘が、俺の胸に突き刺さった。つらいよー……


「いや、人多いとかは最後だな。とりあえず近くの大学にでもぶっ放そう」

「夜の大学なんか、人いないだろ?」

「いや、案外いるもんなんだよ。どうせ中で乱◯パーティーでもやってんだろ。羨ましい」

「いや、やってないだろ」


 たーちゃんって下ネタしか言えないのかな? バカだからボキャブラリーをそっち系で使いきってんのかな?


「じゃあ、とりあえず大学にぶっ放すか」

「そうだな」


 俺たちは、たーちゃんの提案に乗り近くの大学に車を走らせた。




「よし、田中。スピード落とせ!」

「りょ」


 俺たちは大学の近くに着くと、俺がサンルーフから体を出して、たーちゃんがロケ花に火を付け、俺に渡す。そして、瑠は車のスピードを落とす。


「すっしー、人いる?」

「いたいた! よし! やるぞー!」

「よし! 主砲発射用意! 角度45°! 目標、腐れ大学生!」


 うっわ、瑠の軍オタが発動しちまったよ。


「3、2、1。イグニッション!」


 瑠のカウントダウンにより、俺は、大学生のいる方に向かってロケ花を発射した。


 ヒュ〜〜〜〜〜、バァァァァン


「「あははははははははは!」」

「なんか、音大きくない?」

「まとめて、5本撃った。てへっ☆」

「ファ◯ク!!」


 瑠は、車のアクセルを踏み込み、その場を一気に走り去った。


「何考えてるの!? なんで1本ずつ投げないの!?」

「1本じゃ、ショボいじゃん。なあ、たーちゃん?」

「まったくだ。普通5、6本は必須だぞ?」

「どーせ、相手は武器を持たない一般兵だったんだから、一気にじゃなくて、1本ずついたぶるように撃ったほうが、面白いのに!」

「「うっわ、軍オタ乙」」

「まあ、別にまとめて弾を撃つのも手段の1つだからいいけどさ」


 瑠も納得したところで、次のステージに行こうか。早くしないとアニメ始まっちゃうし。




 ラストの場所は駅前。これが終われば、帰ってゆっくりアニメが観れる。


「さて、ついにラストバトルだ。準備はいいか!」

「「イエス・ボス」」

「よし! 行くぞ!」

「「おう!」」


 次は、たーちゃんがサンルーフから顔を出し投げる役、俺が火を付け、瑠は変わらず運転。


「じゃあ、ラストアタックを開始するぞ」

「「了解」」


 俺は素早く全てのロケ花に火をつけ、たーちゃんに渡し、瑠は車のスピードを緩める。


「3、2、1……」

「ま、待て! サンルーフ開いてない!」

「は!?」


 ヒュ〜〜〜〜〜〜〜〜バアアアアアン!!


「痛い! 痛い!」

「高明も、白田もバカなんじゃないの!? ちゃんと見てよ!!」

「ヤバい! ヤバい! マジでヤバい!」

「死ぬ!!」


車内は大パニックだ。そして、追い打ちをかけるように後ろから、いつものあの声が聞こえてきた。


「そこの黒い車、止まりなさい」

「やべ、警察だ! いってぇ!」

「逃げろ! 瑠、ぐはあっ!」

「無理! こんな状況で……きゃあ!? うわあん!!」

「あ〜、萎えた〜、萎えチ○ポや〜」

「うるせぇ! 童貞!」


 たーちゃんはこんな時でも下ネタ言うのかよ……。あっ、落ち込んでるよ。




結果、捕まりました。ああ……またアニメ見逃すのか。つらたん。帰ったら、もうオ○ニーして寝よ。



※良い子のみんなはマネしないように。

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