第38話 対決せよ
賢者ミカミは、長ズボンと白いシャツの上に、だぼだぼの
あきらかに、幼女の姿をしていた。もし、口を
自分の
ミカミの
「お前たち、
「賢者ミカミさま、お初にお目にかかります。私は僧侶のスガ=トズルと申します。村の者たちが襲ってきたのです。話せば長くなりますが、先日、ヒスイという女性が誘拐されたのです」とスガが今までの
ヒスイが村から消えたこと。ヒスイは見つからないが、行方不明だったコトリが帰宅したこと。コトリが
それを聞いたミカミは、ため息をついた。「はあ……情けないねえ。魔法使いたちが
「お言葉を返すようですが、魔法で戦えば、村人を傷つける可能性があります」とスガが反論した。「最悪の場合、死に
「お黙りなさい」
ミカミは私たち三人を見わたした。そのうちの一人、シンドウの顔をじっと見て、突然、笑い出した。
「あはは!誰かと思えば、お前さんは、王国最強の天才魔術師シンドウ=サキじゃないかい。賢者の
シンドウはにっこりと笑った。
まず、書斎にある本を、シンドウはほめた。「すばらしい
「
ミカミが書斎のドアを開けた。手で追い払うような
シンドウがドアのところまで来た。笑顔でお
さあ、間宮君、スガさん、出ていこう。そして、村人たちと戦おうではないか。一般人と戦って殺そう。そうすれば、王国最強の天才魔術師の
ただし、争いが、この館に飛び火するかもしれないがね」
ミカミが目を細めた。彼女の
「追い出せば、私の館を壊す――か。
「では、置いていただけるのですね」とシンドウは言った。「コトリや村人と戦いたかったのに残念です」
いよいよ、ミカミのほおが、ぷっくりとふくれた。
いったい、シンドウはどんなつもりで、こんな失礼なことを言っているのだろうか。ミカミの立場ならば、私だって怒るだろう。
下手をすれば、ミカミは魔法で私たちを殺すかもしれない。
ミカミは、腕を組んだ。「そんなに戦いたいのかい。だったら、私の館へ、コトリを呼んでやるよ。今、いいことを思いついたのさ。
「裁判?議論で戦えということですか?」
「あたしが裁判長だよ。そこで、お前たちがヒトモドキでないことを証明しな」とミカミが宣言した。
シンドウがうなずいて、こう頼んだ。
「わかりました。お任せします。賢者ミカミさん。できれば、コトリの家族も、一人残らず、ここへ来させてほしいのです。
そこで、今度の事件の真相を、お話しします。ヒスイ誘拐事件もコトリの件も含めて」
賢者ミカミは大笑いした。「事件の真相だって?いいだろう。好きにするがいい」
バカげていた。
事件の真相?
私が知るかぎり、証拠はおろか、事件の手がかりすら、まともにない状況なのだ。シンドウと常に
彼女がどんなに推理をしてみせたところで、真相に
無茶だ。
しかし、ミカミとシンドウは、きっかり二時間後に裁判を開くと約束した。
二時間では事件の手がかりすらつかめないだろう。
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