第4話 ヒミコ
「ひかり姫さま、少々、まずいことになりそうです。……はっきり、申し上げれば、最悪の成り行きです」
その名のとおり、
背中に
ひかり姫とモグラ男も、その姿を同じ青い左目にとらえていた。
舟で海にのがれ、追手の兵をかわした三人だったが、都の
「だいじょうぶよ。ここは私にまかせて」
そういうと、ひかり姫は手でなにかの
彼女の
すると、海の波のあいだから、水の
「うわ! あれは、なに?」
モグラ男はおもわず叫んだ。
「あれはひかり姫さまの
「この力を狙って、都の貴族はひかり姫さまをとらえようとしていました。この力があれば国がひとつ滅ぼすこともできます。手に入らなければ、殺してしまえということでしょう。だから、姫さまは……」
「いいのよ。
ひかり姫は優しい言葉をかけた。
ひかり姫の
船はこっぱみじんになって、兵たちは海になげだされた。
となりの軍船が兵を助けるために近寄っていく。
その時、残りの
ひかり姫たちの小舟に、空から火の雨がふりそそぐ。
ひかり姫は、もう一度、手で
ふたたび、彼女の
そうすると、今度は、空に火の
だが、すでに、軍船はまじかに迫っていて、先頭の船の
ひかり姫は、すばやく手で
今度は土の
次の
すごい音が聞こえて、
その時、二隻目の軍船がひかり姫たちのそばまで迫っていた。
「姫さま。私がいきます。ご
三隻目の軍船に、奇妙な黄色の
一斉に、
「……うっ!
ひかり姫の青い左目が相手の正体をみぬいたが、血が流れている
「わたしの予知夢では、この次の攻撃がかわせないの。ごめんなさい。
モグラ男はひかり姫を守るように、彼女のからだをだいた。
無数の火矢が軍船からはなたれる。
太陽が無数の火の矢の影で一瞬さえぎられて、真昼に夜の闇があらわれる。
ひかり姫を守りたいと、モグラ男は強く願った。
彼女の肩をぐっとにぎりしめる。
彼の青い左目が神秘的な光をやどす。
いつまでたっても、火矢はふたりに届かなかった。
モグラ男は、ふと見上げた。
火矢はあいかわらず、太陽をさえぎったまま、空中で止まったままだった。
まるで、
時が、止まっていた。
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