〈血統騎士〉・〈契約の騎士〉・〈守護霊使い〉・〈神代人〉

〈血統騎士〉

◆〈血統騎士〉とは常人を遥かに上回る筋力・瞬発力・持久力・耐久力を有した特殊能力者の事である。神代歴時代に作られた超戦士『鋼の子』(フィリウス・カリュプス/Filius chalybs)の血統を受け継いだ存在である。


◆約一五万人に一人の割合で誕生する。また、子孫にその形質が受け継がれる確率は約一五%。〈血統騎士〉の家系同士の間の子でもその確率は約三〇%程。ただ上級貴族、王室、皇室の中には八〇~九九%の高確率で〈血統騎士〉が誕生する特異な家系も存在する。


◆身体能力が強靭な為に寿命は常人より長命で(空域における平均的な常人寿命は約八〇年)、平均して約一三〇年である。BMI数値は二五前後の人物が多い。


◆凄まじく毒に強く、病気に罹る事が滅多になく、常人よりも遥かに怪我の回復が早い。複雑骨折でも半日あれば完治し、眼球の喪失や手足の欠損であっても三~四日、または一晩で完全に自然回復してしまう。また手足が切断されても、ただ単に乱暴に縫い合わせておくだけで、一晩~半日少々で元通りに接合してしまう。


◆また五万℃超の高温に晒されない限り、火傷を発症する事もない。


◆上記の様に強靭な耐久力/再生能力を有している為、〈血統騎士〉を殺害するには頭部を粉砕するか、もしくは首を切り落とす以外に方法はない(ただ数時間以内に胴体と乱雑に接合されさえすれば蘇生する)。


◆基本的に魔術の類を習得出来ず、また守護霊を使う事が出来ず、その知覚も出来ないという体質の者が圧倒的多数に登る(ただし王家や上流貴族出身の血統騎士の中では、特注品の魔道具や守護霊を用いる事で、魔術や守護霊の使用を可能にしているケースは珍しくない)。


◆ただ『鉄火場の馬鹿力』(スタトス・クオ・ウルトラー/Status quo Ultra)なる、自己の身体能力や戦闘力を劇的に倍化向上させる特殊な魔術を先天的に用いる事が出来る。どうしてこの様な魔術を先天的に扱えるのか、その謎は一向に解明されていない。


◆身長が一九〇~二〇〇センチメートルを超える人物が圧倒的に多く、男女の体格差・筋力差がない。そのせいで騎士は身長が一七〇~一八〇センチメートル台であっても世間的には小柄な人物扱いされてしまい、騎士団への入団テストに落ちる事が多い。一八〇センチメートル台でも低身長コンプレックスに苛まれている騎士は珍しくない。


◆SRクラス以上の〈大いなる騎士〉、そして〈機甲馬〉を、〈人工魂魄〉の承認の元に操縦する事が出来る。


◆〈血統騎士〉同士の戦闘は、基本的に超音速の戦闘になり、常人の目で追える速度で行われる事はない。戦闘時には甚大な衝撃波と真空波が周囲に巻き起こる事は必須である。


◆〈守護霊使い〉が使う守護霊を認知・知覚する事が出来ないので、〈守護霊使い〉相手には非常に弱い。ただし歴戦の古兵となると、殺気で守護霊の存在を感じたり、経験によって能力の内容を看破する事が出来る様になり、それらの攻撃を回避・無効化してしまったりする事もある。〈契約の騎士〉相手には、身体能力的に優位であるので強い。ただし、金位の騎士相手には身体能力的には互角になる上、魔法が扱えないので不利である。


◆そして、遠距離攻撃魔術を得意とする〈魔術師〉相手にも不利になる場合が多い。


◆神代時代の古代遺跡から大量に発掘される、〈光刃剣〉(ルーメン・グラディウス)という遺物兵器を扱える。何故これが〈血統騎士〉にしか扱えないのか、その理由は不明である。



〈契約の騎士〉

◆聖獣神ヘイレヤ=マラ=ヌファン=メーメと契約を交わした騎士。神代歴時代に作られた人造人間『宝石の精霊』(スピリートゥス・ゲンマ/Spiritus gemma)の血統を受け継いだ者の中で現出する存在である。『宝石の精霊』は女性型が非常に数多く作られた。その為か、〈契約の騎士〉達は九割方、女性によって占められている。男性は極めて珍しい。


◆約二〇〇〇万分の一の確率で誕生する。遺伝的に受け継がれる事はほぼない。ただし、〈契約の騎士〉同士の間で生まれた子供は、約六〇〇〇分の一の確率で〈契約の騎士〉として生まれる。


◆銅位→銀位→金位の順に強くなっていく。銅位はまず聖獣と契約を行ない、魔法が使える様になった段階。銀位は契約した竜や聖獣を強化鎧に変化させて、自らの身に纏う事が出来る様になった段階。金位は契約した聖竜や聖獣を航空機に変形可能な可変ロボットに変異させる事も行える様になり、身体能力的にも〈血統騎士〉と互角になり、なおかつSSRクラスの〈大いなる騎士〉を構成するシステムになる事が可能となる。


◆守護霊を捕食・破壊する力を持っているので、〈守護霊使い〉の天敵である。しかし、〈血統騎士〉相手には身体能力的に劣る為に弱い。ただし、金位の騎士になると優勢に振る舞える様になれる。


◆聖獣との契約によって『魔法』が使える。通常の魔術師が使う魔術とは異なり、呪文を唱える必要がない。用いたい魔法の名を口にするか、考えるだけで魔法を使う事が出来る。その為、速度的な意味で魔術師・魔族相手に優勢に戦える。ただ、本人の性格に大きく依存した内容の物しか使えない。温厚な性格の持ち主は攻撃・デバフ魔法を扱えず、勝ち気で負けず嫌いな性格の持ち主は防御・回復魔法を使えない事が圧倒的に多い。


◆金位の騎士になると、前述の通りSSRクラスの〈大いなる騎士〉に高次元エネルギーを供給し、また機体管理・高度な情報処理サポートを行う事が出来る様になる。また〈守護霊使い〉は元より、〈血統騎士〉に対しても強くなる為、各国で憲兵職・捜査、ならびに法執行権限を与えられている事が多い。また裁判官や判事や弁護士の資格を持つ者も多い。


◆また、金位の騎士は〈契約の騎士〉全体の約二%弱しかいない為、非常に貴重な存在であり、国際法において保護される存在である。戦場において殺害する事は許されない。また捕虜にしても、当人の帰属国に速やかに無条件返還しなければならない。自由に犯罪者を死刑に出来る『自由処刑の権』を認められているケースも多い。


◆念話通信装置を使わずに、〈契約の騎士〉/聖獣との間でテレパシーを使う事が出来る。


◆〈契約の騎士〉として叙勲された際に、聖獣神ヘイレヤ=マラ=ヌファン=メーメより、聖獣と共にオーケアノス鉱石で作られた武器(その騎士にとっての得意武器)を授けられる。オーケアノス鉱石は一級ハイペリオン合金と遜色のない強度・剛性を誇る物質であり、ヘイレヤ=マラ=ヌファン=メーメのみが生み出せる虹色に輝く結晶体である。


◆オーケアノス鉱石製の武器は、幽霊を斬り倒せる、どんな呪いでも解呪する事が出来る。また劇的に魔力を増幅する特性を持っている。


◆余談だが、へイレヤ=マラ=ヌファン=メーメと懇意にしている唯一の大いなる騎士工房であるモノノセイウ工房では、年に三~四機、オーケアノス鉱石で作られたSR~SSRクラスの〈大いなる騎士〉を製造している。それらはOR(オーバーレア)/CR(クリスタルレア)クラスと呼称され、性能的にはHRクラスの〈大いなる騎士〉と同等同質の性能を誇る。その為、予約が数十年先まで埋まっており、大枚をはたいて超大国が買い求めている。


◆またヘイレヤ=マラ=ヌファン=メーメからの感謝の気持ちとして、OV/CRクラスが個人や民間組織に下賜される事もある。


◆出身国毎に〈契約の騎士〉に授けられる聖獣は異なっており、聖獣を見るだけで、その〈契約の騎士〉の出身国が分かる。


〈守護霊使い〉

◆守護霊と呼ばれる精霊と契約を果たした者。ス◯ンド使いや、ア◯ター使いの様な存在である。平均水準の霊力を持っている者ならば、誰でもなる事が出来る。その為、概ねの〈冒険者〉は、同時に〈守護霊使い〉としての側面を有している。なので〈守護霊使い〉というと、特定の冒険者職能に就いておらず、守護霊の使用のみを行う冒険者を指す事が多い。


◆守護霊を知覚・認知出来ない〈血統騎士〉相手には強く、守護霊を捕食/破壊する力がある〈契約の騎士〉相手には弱い。


◆守護霊は魔族が営む工房で作られる事が多い。


◆また血統的に特定の守護霊を代々継承している一族も存在する。


◆自発的な意志による展開、発動アイテムの使用、周辺にある物質を等価交換的に消費したり、特定の条件を満たす事によって守護霊使いは守護霊を行使・発現する事が可能である。また本人の意志に関係なく、一定の条件が満たされたら自動的に発動したり、また守護霊使いの意志によって能力解除をする事が不可能な物も存在する。


◆大まかに、器具使用展開型、資源使用型、自己発生型の三つに分類する事が出来る。


◆器具使用展開型の特徴は、特定の器具の使用によって守護霊を展開する事を可能としている点である。持続時間が長く、長期間に渡る使用が可能である。欠点としては器具を使用しなければならない為、自己発生型の様に即座に守護霊を展開する事が出来ない点と、器具が損傷した際に守護霊を展開する事が出来なくなる点である。


◆資源使用型の特徴は、〈守護霊使い〉の周辺にある無機物(もしくは特定の有機物)を等価交換的に消費して、守護霊を発生させる点である。巨大なサイズ、または身体に装着される形の物が多い。守護霊のダメージが、〈守護霊使い〉のダメージにフィードバックされないのが特徴。欠点としてはそれなりの質量体を等価交換的に用いる為に、守護霊の重量が重くなり、精密動作性が悪く、小回りが効かない物が多い。また〈守護霊使い〉が単体で空中にいる場合、周辺に無機物/特定の有機物がない為、守護霊を展開出来ない点である。


◆自己発生型の特徴は、〈守護霊使い〉の生命力を元に、自身の身体から直接発生させる点である。近距離戦闘と精密動作性に優れた物が多く、〈守護霊使い〉の精神的成長によって能力が劇的に進化/向上する物が多い。欠点としては守護霊がダメージを受けると、それがそのまま〈守護霊使い〉にフィードバックされる為、守護霊の破壊=〈守護霊使い〉の死亡という事態を招いてしまう点である。


◆発動条件が簡易、または緩かったりする物は、大規模な事象を発生させる事はまずない。概ね、守護霊使い本人の身体強化を起こす物か、もしくは近距離において発動する事が多い。発動条件が複雑、または数日間に渡る物は大規模な事象を発生させる物が多く、周囲に極めて甚大な被害・影響をもたらす物が多い。


◆効果が弱く、また限定的な能力しかない守護霊は市販されている事が多い。身を守る為に身体の剛性を上昇させたり、数%くらい筋力・瞬発力を向上させたりする物が売られている(それらの多くは器具使用展開型である)。日本円に換算すると一〇〇円未満、高い物でも数万円程度の価格で販売されている。


◆また魔族に対して、租税を免除する代わりに、作成した守護霊を税金として納める事を義務付けている国もある。


◆王家や貴族の家系に代々家宝として伝わる守護霊も存在している。それらの守護霊は〈血統騎士〉の守護霊使用を可能にしている特注品の場合が多く、また身体能力を劇的に向上させたり、強い戦闘力があり、または大規模事象・強力かつ特異な物理現象の発生を可能にしている物が多い。骨董品としての価値も高く、オークションでは高値で取引され、投資対象扱いされている物も多い。



〈神代人〉

◆神代人とは、約一〇億人に一人の割合で誕生する、神代歴時代に空域全域と〈地の底の大地〉を支配していた超人類の末裔である。神代歴時代に古代神代人は超高度文明を築き上げ、奉仕種族として現生種族を作り出し、それらを使役していた。また『鋼の子』と『宝石の妖精』を生み出し、それらが乗る為の巨大ロボット〈大いなる騎士〉を作る技術を生み出した。


◆主な特徴として、強大な『念動力』(ポテスターテ・クラールス/Potestate clarus )を用いる能力があり、また神代歴時代に作られた古代遺物を意のままに操れる力がある。また神代文字やそれによって書かれた文章の大意・内容を理解する事が出来る人物が多い。


◆念動力はハイペリオン合金の加工/製造の際には非常に重要であり、その為、冶金工学/金属加工のプロフェッショナル/スペシャリストとして活躍している人物が多い。その他にも頭脳明晰な天才的な人物が多いのが特徴で、若くして優れた学者や技術者、中には有力政治家として活躍する人物が多い。


◆身体的特徴として、念動力を使う際に髪や瞳の、または肌の色が変わる人物が多い。その原因は不明である。

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