密書標(とお) 愛よ、降り止まぬ星の子達よ

 黒煙立ち込め、鮮血とマグマで赤く染まった母なる大地。暗雲広がる奈落の天には、轟々と雷が走り嘶き、時折、冷氷の礫を降り注ぐ。約束のかの地に集いし戦士たちは、一人、また一人…孤高を求めた修羅の凶刃に倒れ、地に伏した。所長が、冴子が、マスターが。光と共に歩んできた闇と陰の戦士たちもまた、深淵の奥深くへと引きずりこまれた。ピ・ティーコ、千佳、護衛門、ハムスター小娘、凸三、佑助…ついでに無限馬力。心を失いし悪鬼と化した河童の前に立つのは、もはやこの私以外に誰も居なかった。


「残るは貴様だけだ、ナレーター。すぐに仲間たちのもとへ送ってやる。」

何故だ…?河童、お前は何故禁忌の力に手を出した!?

「邪魔なんだよ…この世界が。万象を司るシステムという名の檻が。そいつがあるせいで、俺の妹は…トミ子は…!」

復讐のつもりか!?お前一人が魔道を進み、妹さんが愛したこの世界を滅亡させることで何が残る!?果てに待ち受けるのは、存在の意義すら分からぬ孤独の虚無だけだ!!

「黙れ!!貴様に何が分かる!?英雄だ、救世主だと祭り上げられた俺の努力に仇なし、無垢の妹を悪魔の女として家に火を放った貴様ら旧人類たちに、俺の、妹の、受けた痛みや苦しみが分かるはずなどない!!」

もう…何を言っても無駄なんだな…。

「もう、ではない。俺とお前、種族という壁に阻まれて生まれたその時点で、俺たちに対話など不可能だったのだ。」

河童…。

「ナレーター…。」


私と河童は、対となる心と体の剣をそれぞれの手に呼び出す。私は、恒星の如く光を放つ心の剣を構え、燃え滾る太陽の如く灼熱を発する体の剣を持った河童と睨み合う。天を迸る龍の轟きが地を揺らした刹那、私と河童はほぼ同時に倒すべき友へと走り出す。心の剣を振り下ろす私の攻撃を体の剣で弾く河童。体勢を崩した私に返しの一撃を放つが、弾かれた衝撃を利用し、剣閃を避けて横に跳躍。中空で一回転して着地すると、河童はすぐに追い討ちを掛けに迫る。着地したばかりの私に突きを繰り出すが、咄嗟に私は上体を逸らし、直撃を免れる。顔の上を通過する体の剣の熱で、私の眼鏡は瞬時に灰と化した。私はすぐに剣を持つ河童の手を蹴り上げ、体の剣を上空へと手放させる。舌打ちした河童は、もう一方の手で凍てつく吹雪を繰り出した。反撃のために剣を振ろうとしていた私は、吹雪の圧に押され、反撃できぬまま、後方へと吹き飛ばされた。後転しながら体勢を戻した時には、上空に跳んで剣を手にした河童が、両手で剣を握って叩きつける勢いで急降下してきた。私はすぐに立ち上がり、河童を迎え撃つ。


「うおおおおおおおお!!!!」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!


決着の瞬間、体の左側に激しい痛みが走る。振り下ろされた河童の剣は、肉を焼きながら私の左腕を付け根から切断した。その河童も、地に足を着いたにも関わらず、上半身がスライドするように、足元に崩れ落ちる。肉を切らせて骨を断つ、私の反撃の一閃が、彼の体を両断したのだ。体液で地を緑色に染め上げながら、河童は体を震わせて恨めしそうに私を睨む。私もまた、剣を捨て、失った左腕を押さえるように右手を当てながら、膝を地に着き、河童を見た。


「くそ…!く…そ…」

お前のことを…本当に、英雄だと思っていた。種族の壁は、必ず…超えられるって…。対話は可能だって、信じていたんだ!!なのに…なのに、なんで…。なんで!!!!


私の声が彼に届くことは無かった。彼は既に絶命していた。いや、彼がこの地に誕生したその時から、彼の心は既に死んでいたのかもしれない。そんな彼に、少しでも命の灯火を与えられていれば…。私は、悔やんでも悔やみきれないこの気持ちの捌け口が見つからなかった。

 河童が起こした「第三次テラインパクト」と呼ばれる一大戦争は、多くの犠牲を払い、ようやく終結した。未だ影を潜める残党の存在や崩壊した地球の再建といった大きな課題は山のようにあるが、仲間たちが命をかけて守ったこの世界をこれからも守り続けていくために、私は戦い続ける。そして、再び、河童のような悲しい運命を辿るものたちを作り出さないように…。私は河童の墓前に、新たな戦いへの誓いを供えた。




「…何だよこれ?」

とある劇場の中央座席。スクリーンに映し出された「終」の文字を、河童と並んで座って見る私。念願だった、劇場出演を果たし、非常に満足なのだ。

「時間、無駄にしたわ。」

河童はチッと舌打ちをして、席を立つと、私に向かって開いた手を出し、無表情な顔を向けた。ポーカーフェイスをしつつも名作主演俳優との握手を求めるとは、ちょっとは可愛いところがあるのだ。

「ポップコーン代返せ。」

…それは割り勘である。ジュース代も含めて。

「うぜえ。」





☆デイモン・ヨゥディのトゥリービャ☆

やあ、実はS4本編よりもこのコーナーを楽しみにしているデイモンファンのみんな!

トゥーリッホァ!!

新しい靴を下ろすときは、捻くれて仏滅の日を選んじゃう暗黒戦士、デイモンだよっ!

いつも、たくさんの応援やクレームや耳に息ふーっをありがとう!

今回は、ファンサービス回として、リスナーのみんなから届いた年賀はがきのお便りを紹介しちゃうZO☆

まずは…

肩叩き県貝合市にお住まいのP.N.PT子さん!

デイモンって鼻水を啜る時はどんな音を奏でてくれるゾンババヌポ?

ん~…ゾンババヌポ?これはもしかして!?

最初のお便りからいきなり高難易度暗号が届くなんて、デイモンってラッキーボーイ!!え?いきなりどうしたかって?おっけえ!このメッセージが暗号文であることすら気付いていない考古学マニアの道を挫折した君たちに、特別に解読方法を教えてあげちゃうよ!

まず、「ゾンババヌポ」をローマ字に変換してみよう!

「ゾンババヌポ=ZONBABANUPO」

できたかな?そうしたら、それぞれを入れ替えて…

「ZONBABANUPO=BANANPOZUBO」

これを一定間隔で区切っていくよ!

「BANANPOZUBO=BAN ANP OZU BO」

見て分かるように3文字ずつに分けられるね!つまり、最後の群の末尾には、省略されたもう一字が隠されているよ!そうだね、からっぽを表わすEが省略可能文字だね!これを入れるよ!

「BAN ANP OZU BO=BAN ANP OZU BOE」

ここまでくれば、みんなももう分かったんじゃないかな?

これを古代ペリコモス法で、ひらがなに変換するよ!

ここで注意!「ANP」は、レクセス派理論では、ま行を取りがちだけど、今回のケースでは原文が疑問文かつリスナーが女性という可能性が高いから、女性詞として見なすケポノボ派理想論を適用するよ!

「BAN ANP OZU BOE=さ べ ぬ く」

出てきた4文字を、ミキサーに入れて混ぜ込めば…

「さ+べ+ぬ+く~WM~ベポ」

右辺に「ベポ」が出てきたね!

そう!この人、ベポナフストロフ星人なんだ!デイモンへのラブレターだったんだね、これは!ん~、モテる男って罪深いね!!

さぁ、続いてのお便りに行っちゃうよ!!

えっ、もう来てないって?AHAHA!スタッフさんってば、デイモン人気に嫉妬してヤギさんのおやつにしちゃったんでしょ!!いいんだよ!デイモンは海よりも山よりも、家の鍵を落としてしまった排水路のドブの中よりも心が深いからね!!不快じゃないよ!!深いだよ!!

リスナーさんも、スタッフのIJIWARUにめげないで、これからもドシドシ年賀はがきをお友達に送ってね!!手描き楽すぇぁーーーーーーー!!!!


次回も、日常でちょっぴり役に立つかもしれない豆情報をお届け!

それではみなさん…

トゥーリッホァ!

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