密書8 闇の銃弾を狙い撃て

 平日休日問わず、静かに煙突から煙を上げる、千両箱のような風貌の銭湯「釜茹で」。店の地下にひっそりと存在する混浴浴場である巨大釜の中では、人々の穏やかな日々を守り続ける自称義賊組「頑張励」の4人が、今日もまた、情報を集って任務へと赴くのであった。

 話し合いが始まって早々、護衛門はモッサリ頭からビニール袋に包まれた新聞記事の切り抜きを取り出し、他の3人に見えるように掲げた。

「近々、海外のお偉ぇさんが来日するってこったが、その要人を狙ってスナイパーが動き出すってぇ話を情報屋からぁ聞いたぜぃ!」

「平和な日本で白昼堂々狙撃事件…要人さんの命も心配だが、近隣住民達の不安も大きくなるだろうな。」

「安息の地…断たれり…。」

「SPさんとかも警護に就くと思うけど、場所によっては狙撃手の位置を掴めないかもしれないし、私たちが出て行く必要は十分にあると思うわ。」

「決まりだ!せっかく遠くから来てくだっすた海外の客人に、血を流させるようなことはさせねえ!ここはいっちょ、この護衛門様がぁ…」

「いや、今回は全員で行くべきじゃねえか、旦那?」

凸三は、緑色の五円玉を3人に投げつけ、壁に掛けられていた木札を全て手に取った。

「スナイパーの人数も把握してないんだろ?目立たねえように単独で任務に臨む場合が多いだろうが、もう二人か三人待機している場合もある。相手の咄嗟の動きに対処できるように、四散して対応するのが一番じゃねえかな。」

「うむ、確かに…。それに、予防線は多いに越したことねぇな!」

「私たち自身の命にも関わることだから、気を付けて行きましょう!」

「応…。」

4人は、片手を重ね合って意気投合し、一人一枚木の札を受け取って、任務へと向かった。


 県境付近にある空港から出てくる黒いスーツ姿の男。周囲に筋肉質の厳つい男達を付き従わせ、外に停めてある黒塗りの高級車へと向かう。男は、海外の外交官で、これから県内にある大使館へと立ち寄り、最終的に総理官邸へと足を運ぶ予定だった。要人が現れたということもあり、空港の入り口には、珍しいもの見たさに見物客が溢れていた。警察が規制線を張って、彼らの接近を防ぐ。厳戒態勢の中、外交官の来日スケジュールが始まる。ゆっくりと車へと歩を進める外交官。彼の肉盾としてSPが彼を囲い、非常事態に備える。そんな地上の様子を、ガムを噛みながら見つめるサングラスをかけた男。近くのデパートのアドバルーンの上に腰を下ろし、グラグラ揺れる不安定な場所で、スナイパーライフルに弾を装填し、スコープを覗き込んで、ターゲットに狙いを定める。

「揺れ補正D型、ターゲット…5、3、1…。」

外交官が開かれた車のドアの前で屈もうとした瞬間、覗き込んでいたスコープがその頭を捉え、スナイパーはすかさず引き金を引く。音を発することなく発射された弾は、風の影響を受けることなく真っ直ぐと外交官の頭部を目指して飛んでいき…。

「!?」

キィンと何かが弾かれる音が響く。SPたちや外交官は、周囲を確認するように見回すが、特に変わった様子はなかった。外交官はSPと共に車に乗り込み、大使館へと向かった。狙撃に失敗したスナイパーは、サングラスを外し、目を疑うように弾の通った軌道を見る。確かに狙いもタイミングもバッチリだった。しかし、獲物に命中することはなかった。スナイパーが妨害したであろう何者かを探していると、地面にキラリと輝く何かを発見。スコープを覗き込んで見てみると、普通のものよりも金色に輝く五円玉が落ちていた。その五円玉に近付くマゲを結った男。凸三だ。凸三は、拾い上げた五円玉を指で弾くように構え、スナイパーの方を向く。見間違えることなくこちらに目を向けてくる凸三に、スナイパーは焦り、その場を立とうとする。スナイパーが僅かに動いた瞬間、凸三の指が五円玉を弾き、勢いよく上空を目指して進み、スナイパーが覗き込んでいたスコープのレンズに被弾。衝撃で五円玉は再び地上に落下するが、レンズにヒビが入って、スコープは使い物にならなくなった。

「ちっ!何者だ、あいつ?邪魔しやがって…!」

スナイパーはアドバルーンの中央に移動し、敵の攻撃を受けないように身を隠して、壊されたスコープを新しいものに取り替えた。

「悠長にしていたら、他の連中に仕事を取られてしまう。証拠を残す真似はしたくないが、ここで仕留めねば、再び妨害するだろうからな…。」

スナイパーは再び地上を覗き込み、凸三の位置を確認する。凸三は、次の発射準備をしながら、スナイパーの方を見ていた。

「またスコープを潰されては厄介だ。ここは…」

スナイパーはスコープを覗く仕草をしながら、凸三に銃口を向ける。それに反応し、凸三は、すかさず五円玉を発射した。銃弾のような弾速の五円玉が放たれたのを瞬時に確認し、スナイパーは動きに合わせて銃を傾け、これを交わした。凸三の手元から五円玉が消えたのを見て、すぐに反撃の銃弾をお見舞いする。

「死ね!」

引き金が引かれ、音もなく弾丸が凸三に迫る。勝利を確信するスナイパーだったが、凸三は何故か笑っていた。

「何!?」

すぐにその意味が分かった。先程発射したのとは反対の手。そこには既に五円玉がスタンバイしていたのだ。発射された弾丸を目で捉え、凸三はすぐさま五円玉を放ち、敵の銃弾と相打ちさせた。外交官を狙ったときに聴こえた金属を弾く音が、再び耳に入ってくる。

「あいつ、化け物か!?とにかく、次の一撃で仕留めて…」

スナイパーがスコープで凸三を覗くと、凸三は、五円玉を準備することなく、口元を緩めながら、スナイパーのいる方をつんつん小突くように指を動かしている。ジェスチャーの意味が分からず、ふと、自分の後方上空を振り返ると…。

「てやんでぃ!!」

「なっ!?なんだおま…」

アドバルーンの更に上空、掴まっていた巨大凧から飛び降りてきた護衛門が、握り締めたほら貝をスナイパーの頭に思い切り叩きつける。衝撃に堪らず、スナイパーは白目を向いて意識を失った。スナイパーの気絶を確認して、護衛門はアドバルーン上から顔を出し、凸三に向かってサムズアップ。凸三も手を振り答え、スナイパーの処理を護衛門に任せて、次の警戒ポイントへと向かった。


 その日の夜、釜茹でに戻ってきた4人は、番頭に木札を渡し、報酬を受け取った。4人の帰還に番頭は喜びの声を上げて、瓶牛乳を御馳走してくれた。

「危険な任務、ご苦労だったな!スナイパーが要人の訪れる各所に二人ずつ…計10人居たそうじゃないか。」

「おう、凸の言う通り、総出で挑んで正解だったぜぃ!」

「さすがに一人だけだと行動範囲や守備範囲が限られちまうからな。」

「チームプレイの勝利ね!」

「我らぁ…頑張励ぃ…。」

「こら、佑助ぇ!オイラのお株を取るんじゃねぇ!!」

おどけて佑助が歌舞くと護衛門がそれにツッコミをいれ、一同和やかな雰囲気で笑い合った。

 危険を伴う任務でも、仲間との協力で成功を勝ち取る。彼らの戦いは常にワンマンプレイとは限らないのだ。




☆デイモン・ヨゥディのトゥリービャ☆

やあ、英語のVの発音の仕方に悪戦苦闘する、ジュニアハイスクールのみんな!

トゥーリッホァ!!

イギリス英語とアメリカ英語の違いに胸をときめかせる言語クエスター、デイモンだよっ!

昨日の夜に食べたカレーや朝に作った味噌汁の残り、みんなはどうしてる?

デイモンはね、今回紹介するようなシャレオツ奥義で味のマンネリとバイバイ廃棄を克服しているぞ!

というわけで、今日みんなに紹介するのは、余りものたちの夢の共演!この言葉を聞いてデイモンのプレゼンを予見できたそこの君!ご褒美に、デイモンの涎が染み込んだ、加齢臭枕を抽選で8億名に貸し出しちゃうよ!キャンペーンは過ぎちゃったからご応募はできないけどね!

そう、今回やることは、カレーと味噌汁のMIX!!!

カレーで召し上がりたい方は、緩くなり過ぎない程度に、スープで楽しみたい方は、ドバドバドップリ、カレーに味噌汁を入れようね!

すると、カレーに味噌汁特有のアレなコクがアレでそれが…

べりぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐうぐうg!!!!!!!

和食の店で食べるカレーを思い出しちゃうぞ!

というわけで、作り余りに困る、家飯のみんなも、チャレンジしてみてはどうかな?えっ、二つを混ぜたら塩分がやばいことになって体に悪すぎるし、別々に食ったほうが普通に美味しい?

  そ  り  ゃ  そ  う  DA  !!


次回も、日常でちょっぴり役に立つかもしれない豆情報をお届け!

それではみなさん…

トゥーリッホァ!

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