外法9 結局帰った首領
人々に新鮮で美味しい海鮮寿司を振舞ってくれるプチ人気の個人経営回転寿司店「美味い鯉」。人々に幸福と安穏をもたらす太陽のような名店に、日陰に隠れて悪の中枢が集う。そう、破滅と崩壊の象徴、はた迷惑追求所だ。幹部達は日々、店の右奥のファミリー席で世の不満を口にしながら悪い思考を巡り巡らせ大航海。今日もまた、世界に不幸の嵐をもたらすべく、幹部一同が集い語らい…。
「現実を見ましょうよ…。いつもの席、別のお客さんが入ってますよ?」
店の看板娘、みんなのアイドルプリティー千佳のありがたい助言で、私はようやく正気に戻った。そうだ。そうなのだ。ミスターワイズマンコォォォゥが敗れて以来、悪の中枢の「あ」の字もこの店には見られなくなってしまった。これも全てあの男の仕業なのだ。通行人A。新たな首領となったにも関わらず、何の成果も上げていない。ただ寿司を食べに店に通って「帰っていいっすか?」と言うだけの簡単な仕事だったのだ。もはやただの常連さんである。
「首領さんは悪くないと思いますが。というか彼も勝手に連れてこられたわけだから、彼もまた悪の被害者な訳でして。」
否、彼は確かに悪の資質を持っている。首領に任命されたにも関わらず、任務は愚か、会議にも消極的または不参加。帰りたいと駄々をこね、他の幹部たちを困惑させ、やがて組織に破滅をもたらした。同胞すらも喰らい尽くす、彼こそまさしく悪の中の悪と言えよう。
「物は言いよう…というか屁理屈ですね、それ。」
まごうことなき屁理屈である。
「それで、今日も首領さん来なさそうですし、どうします?」
仕方がないので、千佳嬢に〆て頂くとしよう。
「え?」
ぐぉぉぉぉぉ!!!ぐへへへへへへ!!!覚悟しろーーーー!!
「え?ええ!?」
カンペカンペ、足元の。
「へ?あっ。…えっと、わ、悪い奴はプリティー千佳がゆ、許さないのー!」
ぐぎゃぎゃぎゃぎゃごぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!
「えっと次は…くっ、喰らえ!プリティーダイヤモンドー!」
ポーズポーズ!
「え?いっ、いきなり言われても…。」
右手をパーにして前に突き出してウインク、これでいこう。
「分かりました…プッ、プリティーダイヤモンドー!!」
ぐぎゃあああああああああ!!!お、おのれ、プリティー千佳め…がくし。
「恥ずい…。えっと、プリティー千佳がいる限り、みんなの笑顔は傷つけさせないわ!!」
プリティー千佳の活躍で平穏を取り戻したプリティーアイランド。しかし、暗黒なる神ハラグロシの魔の手は未だ君達を狙う。全ての大地が光に包まれるその日まで、彼女の愛と勇気の戦いは終わらないのだ。
「グダグダですね…。」
ですね。
☆次回予告☆
もはや組織として機能しているのかも疑わしい闇の秘密結社、はた迷惑追求所。そんな悪の中枢のおぞましき秘密が今、ナレーターの口から明かされる。誰も予想だにしなかった、組織禁断の事実とは。
次回、救え!人助け研究所 外法10D(tEND) 悪の滅びた例なし を待てっ!!
☆ーーーー☆
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